サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会は、新型コロナウイルス下で本格的に観客を動員する初めての世界的スポーツイベントになる。大会組織委員会は海外を含めて120万~150万人の来訪を見込む。チケットは第1次販売で80万枚以上が購入された。約2350万件の申し込みがあった第2次販売の抽選結果は、5月末に発表される。 カタールはコロナ対策の実績を積み上げてきた。昨年11~12月にW杯と同じ日程でテストを兼ねたアラブ・カップを開催。チケットは約50万枚売れ、12月18日の決勝には6万人以上のファンを集めた。大会期間中、国内の新型コロナ新規感染者数は1日あたり100人台で推移した。 入場者には2度のワクチン接種が義務付けられ、スマートフォンに接種や陰性を証明するアプリの導入が求められた。外出時の買い物や食事もアプリを店の入り口で提示し、陰性証明がないと入店拒否に遭う。W杯も同様の運用となる見込みだが、3度目のワクチン接種を義務化するかは未定だ。 国土が狭く、宿泊施設が不足する懸念もあるが、主催者はホテルやアパート、ヴィラの他、2隻のクルーズ船で約20万室を確保。さらに砂漠でのテント生活も選択肢になる。三つ星ホテルで1泊約1万5000円、アパートなら1万円程度から宿泊可能。大会実行委員会が立ち上げた専用のウェブサイトで予約できる。 受け入れ準備を進める組織委のタワディ事務総長は「コロナ後の世界を再びつなぐ」とアピール。決勝会場のルサイル競技場の周辺は建設中のビルが乱立し、砂ぼこりが舞う中に多数の重機が点在。持続可能性も理念に掲げ、大会後にはスタジアムの大部分を解体し、約20万人が暮らす都市にする計画がある。 ドーハ中心部では4月初旬、至る所でW杯関連の看板やポスターが目立った。中東初開催の祭典に、熱視線が注がれる。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕W杯開幕を待つドーハ中心部=4月2日、ドーハ