試合終了の笛が鳴ると、ホームのスタジアムが大きな拍手に包まれた。開幕から約3カ月、12戦目で神戸がついに初白星をつかんだ。 開始早々、前掛かりに出てきた鳥栖の背後を突き、抜け出した酒井がゴール前へ送る。待ち受けたのがイニエスタ。巧みなトラップからゴールに流し込んだ。前半2分での先制点に「落ち着いて試合を進めるきっかけになってよかった」。同14分の汰木の追加点もアシスト。先発復帰した大黒柱が攻撃を先導した。 リードしてからは、徹底的に守りを固めた。ほぼ全員が自陣に下がり、攻撃をはね返す。「苦しいときは割り切って守ると、全員が同じ方向を向けた」と酒井。ボールを保持して主導権を握る本来のスタイルを封印してでも、勝ちに徹した。 試合前に行われたサポーターとの意見交換会では、三木谷会長が「負傷者が続出したというのはあるが、現状については私を含めた現場の責任」と謝罪。開幕から暗闇に迷い込み、監督交代も行われたが、やっと光が差し込んだ。 イニエスタの「この1勝が勝ちを積み重ねていく第一歩となれば」という言葉はチームの総意だろう。開幕前には優勝候補にも挙げられた実力者がそろうチーム。浮上できるか。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、先制のゴールを決め、喜ぶ神戸のイニエスタ(右)=14日、ノエスタ 〔写真説明〕前半、ゴールを決める神戸の汰木(奥)=14日、ノエスタ