ロッテの佐々木朗希が17日の日本ハム戦(ZOZOマリンスタジアム)で、「パーフェクト」進行中の八回を投げ終えて降板した。0―0の終盤。再び完全試合なら自身2度目という球界史上初の偉業となるが、味方がリードしない限り成立しない。それでも多くのファンが、是非を問わず「そこで交代か」と驚くシーンだったと言えそうだ。  佐々木朗の投球数は102球。井口資仁監督は「いろんなことを加味しながら、100球弱と思っていた。本当に素晴らしい投球。できればわれわれも最後まで見たかったし、ファンの方も見たかったと思うが、いろいろ先々を考えると、あそこがきょうの限界だったと思う」。チームの指揮官が、そう判断した。  八回裏にロッテが得点を挙げていたら、続投したのか。井口監督は「いや、それはない」ときっぱり。「七回が終わった時点で、ちょっとへばりつつあったので、何とか八回までと思っていた」  2019年7月の全国高校野球選手権岩手大会決勝で、佐々木朗を擁した大船渡高が敗れた。岩手大会の4回戦では球速160キロをマーク。同郷の大谷翔平選手(エンゼルス)が花巻東高時代の12年夏に同じ球場で出した高校生の公式戦最速とされる数字に並んだ。  準々決勝は登板せず、準決勝で快投。いよいよ甲子園出場まであと1勝に。その決勝、花巻東高戦で佐々木朗は投げなかった。4番打者でもあったが、投打で一切、試合に出なかった。当時、大船渡高の国保陽平監督は、試合当日の朝に佐々木朗の動きを見て決めたと明かし、「3年間で一番、壊れる可能性が高いと思った」と語った。  佐々木朗の入学時から「行動を観察してきた」という国保監督。他の選手と話し合う機会もあえて避けた。「そこは大人として、自分が決めた」  高校野球とプロ野球。ステージも次元も異なるが、球界を担いそうな逸材を預かる監督がそれぞれの場面で、ぎりぎりの重い決断を迫られた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕日本ハム戦で降板したロッテ先発の佐々木朗=17日、ゾゾマリン 〔写真説明〕8回を終え佐々木朗の交代を告げた後、グラウンドを見詰めるロッテの井口監督=17日、ゾゾマリン 〔写真説明〕2019年の全国高校野球選手権岩手大会決勝で試合後、取材に応じる大船渡高の国保陽平監督=19年7月25日、岩手県営野球場
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 佐々木朗めぐる「決断」=逸材の将来を視野に