体操女子で日本の主力として活躍した寺本明日香(26)=ミキハウス=と畠田瞳(21)=セントラルスポーツ=が、21日開幕の全日本個人総合選手権(東京体育館)を最後に現役を引退する。取材に応じた2人が、思いを語った。 2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪代表の寺本は、20年2月に左アキレスけんを断裂。その影響もあり、昨夏の東京五輪で代表入りを逃した。アキレスけんは回復したものの、最近は古傷である右足の痛みが悪化。「本当に限界。以前のような難しい技を極限まで入れた演技はできないけど、日本代表で10年間やってきた熟練ぶりや、私らしい体操を見せたい」 痛みの影響で跳馬を回避するため、21日の予選が現役最後の演技になる。長く支えてくれた周囲への思いは強く、「感謝という言葉だけでは表せない。演技中に泣かないように頑張る」と笑みを浮かべた。 東京五輪代表の畠田は、昨年10月の世界選手権の練習中に首を大けが。一時は激痛で日常生活もままならなかったという。そこからリハビリに耐え、復帰に向けて練習を再開。だが、段違い平行棒の基本技「フット倒立」ができなくなっていた。その瞬間に「限界を感じ、心が折れた」。24年パリ五輪を目指すことにも、しんどさを感じた。 まだ、手にしびれが残っている。全日本はゆかのみ1種目に出場。「悔いのない演技がしたい。ファンの方にはSNSでいつも温かい言葉を頂いたし、最後も温かく見守っていただきたい」。家族や友人たちへの感謝も胸に、最後の舞台に向かう。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕体操の全日本個人総合選手権に向けて調整する寺本明日香=名古屋市(本人提供) 〔写真説明〕世界体操の女子予選で、ゆかの演技をする畠田瞳=2021年10月、北九州市立総合体育館