阿部一と丸山の男子66キロ級決勝は、2020年12月の東京五輪代表決定戦以来の再戦。延長の末に指導三つで決着し、幕切れはあっけなかった。阿部一は「自分が五輪王者だ、と証明するために戦った」と会心の笑み。反則負けの丸山は、ぶぜんとした表情で畳を下りた。 阿部一の試合巧者ぶりが光った。釣り手をつかまれても、低い姿勢で引き手は取らせない。逆に背中をつかんで膝を突かせ、丸山に一つ目の指導。延長に入ると指導二つになっていた丸山に一気に攻勢を掛け、大内刈りから背負い投げにつなげながら攻めた。防戦となった丸山に三つ目の指導が入って決着はついた。 阿部一は「(丸山への)対策もあるが、気持ちの勝負かなと思っていた」という。重圧の中で24分にも及んだ前回の対決よりも「五輪王者になったからこそ、気持ちの面で少し、いつもより余裕を持って戦えた」。そんな姿に男子代表の鈴木監督も「もう一回り成長した印象」と評価した。 すでに目標は2024年パリ五輪での連覇に定めており、「進化していく阿部一二三を見てもらいたい」。高らかにそう話した表情は自信にあふれていた。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕男子66キロ級で丸山城志郎(左)を破り、優勝した阿部一二三=3日、福岡国際センター(代表撮影)