近江の主将、山田はエースで4番。1回戦から一人で投げ続けてきた大黒柱は準決勝でも奮闘し、バッテリーを組む大橋をはじめとする野手陣が応えた結果のサヨナラ劇だった。 1―2の五回、山田が左足かかと付近に死球を受けた。倒れ込んでなかなか立ち上がれないほどだったが、続投を志願。「自分が折れてしまえばチームもずるずるいく」との思いだった。 ベンチとマウンドの往復では足を引きずり、投球時に踏み込む左足に思い切り体重をかけられない。それでも、最速145キロの速球や鋭い変化球で相手打線を圧倒。死球前の五回から延長十一回まで、野手も堅守でもり立て無失点に抑えた。 七回に、好守で山田を助けていた中瀬が同点スクイズ。十一回に大橋がサヨナラ3ランを放つと、全員で歓喜した。強気のリードでも170球を投げたエースを支えた大橋は、「小学校で野球を始めてから柵越えは初めて打った。(ベースを)一周してすごく気持ち良かった」。 大橋は昨秋に山田から内気な性格を指摘され、感情を表に出せるように変わってきたそうだ。チーム全体の変化も感じ、「山田を一人にさせない、山田を支える人間が増えてきた」と言う。滋賀県勢として春は初の決勝進出。「あしたも全員で勝ちにいきたい」とあと1勝を誓った。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕力投する近江先発の山田=30日、甲子園 〔写真説明〕延長11回裏近江1死一、二塁、サヨナラ3ランを放ち、ガッツポーズする大橋=30日、甲子園