フリースタイルスキー男子モーグルで2018年平昌五輪銅メダルの原大智(25)が、「二刀流」で続けてきた競輪に専念する。21日に札幌市で行われた全日本選手権で、モーグルを引退。「滑り終わった瞬間すっきりした。本当にやり切った」と充実感をにじませた。 ラストランでは、スタート前に号泣。ライバルの堀島行真(トヨタ自動車)がモーグルとデュアルモーグルの2冠を達成した17年の世界選手権、予選落ちが続いた平昌五輪直前のワールドカップ(W杯)、モーグルから離れて競輪選手養成所に入った1年間など、さまざまな場面が頭をよぎったという。「つらいことを乗り越えて、よくここまで頑張ってこられた」 20年に競輪でプロデビューした後は、二つの競技を両立。モーグルでは一時不振を味わったが、今季のW杯で自己最高の2位に。見事に滑り込みで北京五輪の切符をつかみ、7位に入賞した。異例の挑戦にも「僕はやりたいことをやってきただけ」と言い切った。 夏季五輪の自転車競技を念頭に、競輪選手養成所の滝沢正光所長は「冬季、夏季両方の五輪でメダル獲得の可能性がある」とエールを送る。それでも本人は「夢のまた夢。まずは競輪選手として強くなることが第一」と足元を見据えている。 競輪では、6段階で上から5番目のランクに当たるA級2班に所属する。上位クラスのS級への昇格を目指し、3月末に再スタート。「ここまで頑張れたから、これからも心折らずに頑張れる」。貴重な経験を胸に、新たな一歩を踏み出す。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕フリースタイルスキー全日本選手権の男子モーグル決勝、原大智のエア=21日、北海道・ばんけいスキー場