【モンペリエ(フランス)時事】ロシア軍によるウクライナ侵攻の影響で、フィギュアスケート世界選手権(フランス・モンペリエ)は強豪ロシア勢の参加を認めずに実施された。一方、ウクライナ勢は男子1人とアイスダンス、ペア各1組が出場。母国を思い、温かな拍手に包まれながら演じた。 男子のシュムラトコは衣装ではなく、代表チームのTシャツを着てショートプログラム(SP)に臨んだ。「ウクライナ国民は今、生きること、国や家族、自分の身を守ることを考えていてスポーツどころではない」と話す。その中でも「希望を届け、皆さん自身を誇らしく思ってもらうために何でもする」との決意で舞った。 アイスダンスのナザロワ、ニキチン組も代表Tシャツを着用。ウクライナの歌手の曲を使ってリズムダンスを滑った。侵攻が始まった2月下旬から、ほとんど練習を積めずに現地入りし、調整不足のためフリーは棄権。ペアの代表もフリーを滑走しなかった。 ナザロワは「ウクライナで今起きていることを世界に話すのが大事」と言い、戦禍の現状について訴えた。自分たちだからこそ担える使命を果たそうとし、ニキチンは「真実を伝えることが、家を失い、危険な状況にある国民の助けとなればいい」。そう願った。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート世界選手権の男子ショートプログラム(SP)で、ウクライナ代表チームのTシャツを着て演技するシュムラトコ=24日、フランス・モンペリエ(EPA時事) 〔写真説明〕フィギュアスケート世界選手権のアイスダンスで、青と黄色のTシャツ姿でリズムダンスの演技をするウクライナのナザロワ(左)とニキチン=25日、フランス・モンペリエ(EPA時事)