「凡打を恐れるな。思い切り振れ」。昨年8月に就任した森監督が、浦和学院の選手たちに徹底させてきたフルスイング。その意識付けが、結果となって表れた。 1―1の六回は、伊丹が左翼へ勝ち越しソロ。「距離は入っていたので、切れるのが心配だった」という打球は、高々と舞い上がって左翼ポール上部に直撃した。 再び追い付かれた八回は1死一、二塁で4番鍋倉。内角の速球を思い切り振り抜くと、「少し詰まったのでライトライナーかなと思った」という鋭い当たりが、右翼席への決勝3ランに。要所での2発で強打の九州国際大付を押し切った。 大会を通じて本塁打が少ない中、1回戦の高山、2回戦の金田に続き、浦和学院だけで計4発。出色の数字に森監督は「冬場の取り組みの成果」と胸を張る。部長を務めていた昨夏の甲子園で対戦した日大山形や優勝した智弁和歌山を見て、当てにいかず振り切る大切さを実感。その意識を浸透させた上で「何も考えずに振っても飛ばない」と説き、冬季練習では木製バットを使って芯で捉える確実性も磨いてきた。 「一人ひとりがしっかりフルスイングで捉えられている」と八谷主将。新監督が築いたスタイルで、9年ぶりの頂点へ駆け上がる。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕6回裏浦和学院1死、勝ち越しの本塁打を放つ伊丹=28日、甲子園 〔写真説明〕8回裏浦和学院1死一、二塁、勝ち越しの3点本塁打を放ちガッツポーズする鍋倉=28日、甲子園