【シドニー時事】一つの誓いを胸に秘める。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会出場を決めた日本代表のDF吉田麻也選手(33)=サンプドリア=は「自分が信じる形、信念でチームを引っ張っていきたい」。2018年W杯ロシア大会終了後、長年代表チームを支えた長谷部誠選手(38)=フランクフルト=の後を受けて主将に就任。自らのリーダー像を模索してきた。 ロシア大会では8強入りを懸けたベルギー戦で終了間際に高速カウンターを浴びて屈した。「あの試合でできなかったことをこの4年間で追求していくことがテーマ」。試合運びや終わらせ方に強豪との差を痛感。壮絶な逆転負けの悔しさを胸に、結果が出なかった理由を考え続け、ピッチ内で選手の判断で軌道修正することを重視してきた。 守備の要として声がかれるほど指示を出し、年下の選手の声にも耳を傾ける。長崎市出身で3人兄弟の末っ子。年の離れた兄と育ったことで、年齢差を感じさせないコミュニケーション術を身に付けた。小学生時代の吉田選手を指導した後援会長の横田祐治さん(64)は「大人とも対等に会話できた」と当時を振り返る。 日本サッカーの発展につながるならば、批判覚悟で発信してきた。年齢制限のないオーバーエージ枠で参加した昨夏の東京五輪の開幕前には有観客を訴えた。昨年10月にサウジアラビアに敗れ、W杯アジア最終予選で2敗目を喫した際には「予選敗退ならすっぱり辞める」。選手として背負うには重過ぎる責任。キャリアを賭して大舞台にたどり着いた。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕豪州戦の前半、激しくチャージする吉田(左)=24日、シドニー 〔写真説明〕豪州戦の後半、ゴール前に飛び込む吉田(左上)=24日、シドニー