【シドニー時事】女子テニスの世界ランキング1位で、1月に四大大会の全豪オープンを制したアシュリー・バーティ(25)=オーストラリア=が23日、自身のインスタグラムで現役引退を発表した。2019年から世界ランクのトップを守った実力者が全盛期に異例の決断を下した。 インスタグラムで公開したインタビュー動画では「テニスに感謝している。全ての夢とそれ以上のものを実現させてくれた。今こそ身を引いて、新しい夢を追う時。ラケットを置きます」と語り、涙を拭う場面も。モリソン豪首相もツイッターで「国を元気づけてくれてありがとう」と声明を出した。 10年にプロデビュー。166センチと小柄だが、正確無比なショットと冷静な判断力でパワー不足を補った。試合をチェスに例える戦術家でもあり、コースの打ち分けや緩急を駆使して相手のペースを乱すことが得意だった。 19年に全仏オープンで四大大会初制覇。そして、21年には「本当の夢だった」という「聖地」のウィンブルドン選手権優勝を成し遂げた。今年の全豪では、シングルスで地元選手として44年ぶりの優勝で四大大会通算3勝目を挙げた。 14年にテニスを「引退」し、クリケットへ転向してから復帰した異色の経歴を持つが、「今回は異なる感情がある」。女子テニス協会(WTA)によると、世界ランク1位の選手の引退は史上2人目。バーティは25歳の若さでコートを去る。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕地元での全豪オープン女子シングルスを制したバーティ=1月29日、オーストラリア・メルボルン(AFP時事)