日本ツアー挑戦を始めて12年目。悲願の初勝利にも、サイ・ペイインの目に涙はなかった。「出なかった。興奮の方が大きかった」。よどみのない日本語で言い、笑った。 4打差を追う5位からの逆転劇だった。前日までボギー二つの安定感に加え、最終日はバーディーラッシュで猛チャージ。2番で2メートル、3番でも3メートル弱を沈め、序盤の連続バーディーで勢いづいた。「アイアンショットを(的確に)ミートでき、大きな外れがなかった」。後半も13番から3連続など計7バーディーでノーボギー。最後は1打差で4人に競り勝ち、通算13アンダーはトーナメントレコードとなった。 父の勧めで2011年から日本ツアーに参戦し、13年にプロテスト合格。「(最初は)しんどかった」と振り返るが、指導する島袋美幸に「ゴルフの楽しみ方を教えてもらった」と感謝。予選落ちした前週の開幕戦後も助言を受け、基本に立ち返ることができたという。 30歳。遅咲きを「無駄ではなかった」と受け止め、「謙虚に自分ができることを一生懸命やっていきたい」。地道な努力を変わらず続けていく。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕3番でティーショットを放つサイ・ペイイン=13日、高知・土佐CC