村岡は1回目でトップの劉思※(※杉の木ヘンを丹に)(中国)に1秒以上の差をつけられた。連覇への緊張があったとはいえ、女子座位の大回転は最も自信がある。「巻き返してやる、3秒くらいタイム差をつけてゴールしてやるという気持ちだった」。プライドを大いに刺激された。 その言葉通り、2回目は圧巻の滑りだった。スタート直後からしっかり加速し、スピードに乗って豪快かつ滑らかなターンを次々と決めた。終わってみれば2位を7秒28も引き離し、この種目では突出した実力を持つことを証明してみせた。 村岡によれば、大回転は最も基礎が詰まった種目で、練習時間を最も割く。「高速系みたいなライン取りや恐怖心の克服、それに技術もすごく必要」。2本のレースに持てる能力を全て凝縮させるところが「私には合っている」と胸を張る。 座位で10個のメダルを獲得した日本障害者スキー連盟の大日方強化本部長は、村岡の成長ぶりに目を細める。「技術も体力も、平昌パラより強くなった」。昨夏の東京パラでは夏冬の「二刀流」選手として陸上に出場。慣れない競技の練習に一から取り組んだことで、心身ともに強くなったことは周囲も認めている。 金メダル通算4個は冬季での日本勢最多で、同一大会3個はタイ記録。「楽しくて、やりがいがあってやっている。その結果、記録を更新できるのはうれしい」。競技の魅力を味わう25歳。まだ記録を伸ばしそうだ。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキー女子大回転座位、金メダルに輝いた村岡桃佳=11日、延慶 〔写真説明〕アルペンスキー女子大回転座位で優勝し、今大会3個目の金メダルを獲得した村岡桃佳=11日、延慶