複数メダルの期待がかかるアルペンスキー女子座位の村岡が、最高のスタートを切った。全5種目のうち、最初の滑降で金メダル。五つのメダルを手にした前回平昌大会での大回転に続く2度目の頂点で、さっそく日本のエースの貫禄を示した。 北京のコースは幅が狭く、傾斜もきついなど難所が多い。プレ大会などはなく、日本勢は公式戦未経験のまま本番を迎えた。村岡は不安を感じながらも、覚悟を決めていた。「守りの滑りでは勝てない。絶対金を取ってやる」 最短距離を狙いつつ、スピードを殺さなかった。大きく長いターンでも崩れることはなく、スムーズに緩斜面につなげて2位に0秒82差をつけた。 昨夏の東京パラリンピックで陸上に出場。ブランクからスキーの感覚は鈍ったが、予想以上の収穫があった。雪上練習では得られなかった体幹の強化だ。バランス感覚が大きく向上し、持久力が付いた筋肉のおかげで後半もスピードを維持できる。「安定性が増している」。半数以上の4選手が転倒してゴールできない中、難関コースを見事に攻略した。 日本選手団の主将を務める今大会。自身の役割を考え抜いた結果、競技者としてできることが一つだけあった。「メダルを獲得して、日本チームに勢いをつける」。村岡の後には男子座位の森井が銅。25歳の有言実行の金が、日本に追い風をもたらしそうだ。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキー女子滑降座位で金メダルを獲得し、喜ぶ村岡桃佳=5日、延慶(ロイター時事) 〔写真説明〕アルペンスキー女子滑降座位、村岡桃佳の滑り=5日、延慶