1993年に華々しく幕を開けたJリーグは、今季30年目のシーズンを迎えた。サッカー元日本代表FWで、Jリーグ副理事長を務める原博実氏(63)は「やっと少しずつ形になってきた。良い方向に来ているのは間違いない」。果たしてきた役割や今後の展望などを聞いた。 68年メキシコ五輪で日本が銅メダルを獲得後、一時的に盛り上がったサッカー人気は低迷。原氏は80年代にJリーグの礎となった日本リーグ(JSL)で活躍し、プロ化を見据えた三菱重工(現浦和)に所属。「五輪もワールドカップ(W杯)も出られない中でJリーグをつくったけど、タイミングもよかった」と振り返る。 人気絶頂の三浦知良らスターの躍動もあり、一躍時代の最先端に。日本は98年から6大会連続でW杯に出場し、競技力向上に大きく貢献。当初なかったJ2、J3も発足し、そこから日本代表に羽ばたく選手も生まれた。「30年たって、自分に合うチームを選べる環境ができた。レンタルで修行を積ませる海外みたいになってきた」と言う。 今後は選手だけでなく、指導者の海外挑戦が一層重要になると指摘。「海外に行くにしてもJリーグより低いアジアというケースが多い。(川崎の)鬼木監督みたいなのがヨーロッパとかで活躍してほしい。そうなるとまた一段加速する」。欧州5大リーグに伍(ご)する目標を達成するためには不可欠だと語る。 次期チェアマンとして3月に就任する野々村芳和氏(49)は、市原(現千葉)や札幌で活躍した元Jリーガー。原氏は「それこそ30年だよな」と歴史が生んだトップに感慨深げ。クラブが選手や指導者に積極投資する仕組みづくりの推進を願い、「難しいと分かっている課題でも違う目線で見たり、新しいパワーを与えてほしい」と期待を込めた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕Jリーグの原博実副理事長=2021年1月4日、東京・国立競技場(C)Jリーグ