日本勢初となる銅メダルを獲得した2018年平昌五輪からの4年間で、一番苦しかった時期を聞かれた時、チームの生みの親の本橋麻里さんは「全部」と解説した。スキップの藤沢五月選手ら4人が歩んできた道のりは、それだけ平たんではなかった。 平昌での活躍で、注目度はさらに高まった。「勝って当たり前」という周囲の空気に4人は苦しんだ。「今年は挑戦の年」と決めても、「結果を求められ、葛藤は大きかった」とリードの吉田夕梨花選手。本橋さんは「頑張れ」ではなく、「今楽しいと感じているかな」とメンバーに語り掛けた。「みんな十分に頑張っていたから」 平昌後、最高峰の海外大会「グランドスラム」に参戦し、モチベーションを取り戻した。サードの吉田知那美選手は「たくさんの敗戦から学び、チームとして、一人の選手として強くなってきた」という。 新たに掲げた目標が「世界一」。世界のトップチームに触発され、選手もそれぞれの工夫で腕を磨いた。新型コロナウイルス禍で海外遠征に行けなくなり、気持ちが落ち込んだ時期もあったが、「強くなるために何をするか、そこだけは何があってもぶれずに来た」と胸を張れる4年間だった。 「世界一」にはなれなかったが、大きな前進には違いない。吉田夕選手は「同じ事をやっていたら、同じ順位にはならない。それだけのことをちゃんと自分たちがやってきた」。藤沢選手は「金メダルを取ることは、もう笑い話ではなく夢でもない、実際に起こり得る目標になった」と実感を込めた。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕カーリング女子で銀メダルを獲得した日本(左側)。右から藤沢、吉田知、鈴木、吉田夕、石崎=20日、北京 〔写真説明〕カーリング女子決勝で英国に敗れ、抱き合う(左から)鈴木、藤沢ら=20日、北京