スノーボードの男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢選手(23)=TOKIOインカラミ=は、小さい頃からこの競技への熱い思いと、目標達成へ向かう心の強さがあった。 小学校低学年で初めてスノーボード教室に入った。そこでは手首の骨折を隠しながら滑っていたという。周囲が気がついた時には「トレーニングを続けたい。痛いと言えば帰らないといけないから」と言葉を返した。誰よりもうまくなりたいと熱中した。 成長するにつれて向上心は高まった。子供の頃の平野歩選手を指導した工藤佳人さん(54)は「イメージ力がすごい。理論的に考えて頭と体を一致させられる」と話す。その独特の感覚と、他の追随を許さない練習量が金メダリストをつくり上げた。 スノーボードで高得点を出すためには、技の回転数を増やすことに重点を置かなければならない。平野歩選手は「自分のスタイル」を重視しながらも得点が出せる。パイプのボトムを滑る姿勢、空中へ飛び出す時の格好は誰より美しい。ボードとの一体感も高いとされる。 多くの選手は強引に体を使って回そうとするが、工藤さんは「歩夢は板を使ってきれいに回せる」と称賛する。戸塚優斗選手(20)も「ぐるぐる回る中でも格好よさを出せるのが歩夢君」と話す。多くの競技者が憧れを抱く存在だ。日本のスノーボード界の中心にいる23歳が、金メダルで新たな歴史を刻んだ。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕スノーボード男子ハーフパイプ決勝3回目の平野歩夢=11日、張家口 〔写真説明〕スノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢=11日、張家口