ジャンプをまだ三つも残しながら、演技中盤で軽快にステップを踏むチェンは笑みを浮かべていた。4回転を4種類5本入れた世界最高難度のプログラムを大きなミスなく終えると、会心の表情。両親の生まれ故郷である中国の観客から拍手を送られ、「まさか自分がこんなことをできるなんて」。世界選手権3連覇の王者も、五輪金メダルの味は格別だった。 4年前の平昌五輪で17位と出遅れたSPは、羽生の世界歴代最高得点を塗り替えてトップに。フリーは前回と同様に1位となり、史上最強とされた日本勢に付け入る隙を与えなかった。 記者会見では、貧しかった頃から競技環境を整えてくれた母をはじめ、周囲への感謝の言葉を重ねた。五輪に向けて競技に専念するため、名門エール大を休学中。今後については「分からない。8月には学校に戻る必要があるし、スケートについてはもう少し考えたい」。多才な22歳にとって、夢をかなえる舞台は五輪にとどまらない。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート男子のフリーで演技するチェン=10日、北京 〔写真説明〕記念撮影に納まるフィギュアスケート男子の(左から)銀メダルの鍵山優真、金メダルのチェン、銅メダルの宇野昌磨=10日、北京