【北京時事】険しい道を歩んでたどり着いた3度目の大舞台だけに、感慨もひとしおだろう。アイスホッケー女子日本代表(スマイルジャパン)のGK藤本那菜(32)は「チームとしても個人としても目に見える結果を残したい」。昨年12月下旬の代表発表会見で力強く話した。 ソチ、平昌両五輪で日本の正GKとして活躍。北京への道も描けていたが、新型コロナウイルス感染拡大で暗転した。海外チームでのプレーを模索していたが諦め、この2シーズンは所属チームなしで練習することを選択。孤独な日々を支えたのは元アイスホッケー選手で妹の奈千さん(30)だ。貸し切ったリンクで、姉に向けてシュートを打ち続けた。 藤本那は昨年8月の世界選手権に出場したが、けがに悩んで心が折れそうになり、「これからどうしようか、と考える時期だった」と振り返る。 だが、奈千さんは姉の弱音を聞いたことがない。「姉は基本、自分の世界を持っている人」と語る。普段は話し下手で、一人で部屋にこもるタイプ。運動もアイスホッケー以外は基本は苦手だった。それでも「集中力はすごい。『これをやれ』と言われたら、できるまでやり続けられる。だからGKとして開花したのかな」と奈千さん。「やると決めたからにはやる」タイプだと知っていたから、姉の選んだ道を黙って見守ってきた。 藤本那も「ふとした日常会話の中で感じ取ってくれて、活動しやすいような雰囲気づくりをしてもらった」と感謝する。自らの集大成に位置付ける五輪本番へ。準備は整いつつある。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕公式練習するアイスホッケー女子のGK藤本那(右)=28日、北京 〔写真説明〕アイスホッケー女子日本代表GK藤本那菜の妹、奈千さん=15日、札幌市内