陸上女子100メートルと200メートルの日本記録保持者で、五輪3大会に出場するなど短距離のエースとして長年にわたり活躍した福島千里(33)=セイコー=が29日、現役引退を表明した。近年はけがと不振が続き、昨夏の東京五輪代表入りを逃した。 東京都内で記者会見した福島は、昨年9月の全日本実業団対抗選手権後に引退を決心したことを明らかにし、「ここ数年は苦しいシーズンがあった。目標が達成されるまで諦めない気持ちがあったので、ずっと続けてこられた」と語った。 北海道出身の福島は2008年、鋭いスタートを強みに頭角を現し、同年の北京五輪で女子100メートルの代表入り。五輪の同種目に日本選手として56年ぶりに出場し、「一番印象に残っているのは北京五輪。私の原点になっている」と振り返った。 09年6月に11秒28の日本新記録をマークし、その後に記録を11秒21まで伸ばした。200メートルの自己最高記録は22秒88。10年アジア大会で100、200メートルの2冠を獲得。11年世界選手権では両種目で日本勢初となる準決勝進出の快挙を果たした。日本選手権は両種目とも各8度優勝した。 16年リオデジャネイロ五輪後、所属していた北海道ハイテクACを退部してプロ活動に挑戦。18年にセイコーホールディングス入社を発表した。今後は同社のアンバサダー(スポーツ担当)として活動する。 ◇福島千里の略歴 福島 千里(ふくしま・ちさと)北海道・帯広南商高から北海道ハイテクACなどを経てセイコーに所属。08年北京五輪で女子100メートルに日本勢56年ぶりの出場。10年広州アジア大会では100、200メートルの2冠に輝き、11年世界選手権は両種目とも、日本選手で初めて準決勝に進んだ。100メートルで11秒21、200メートルでは22秒88の日本記録を持つ。12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪にも出場した。日本選手権は両種目で8度ずつ優勝。33歳。北海道出身。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕オンライン記者会見で現役引退を表明する陸上女子短距離の福島千里=29日午前