B2PO2季連続SF敗退の信州ブレイブウォリアーズ 福島と明暗を分けた「ツケ」 小栗瑛哉「必ず良い結果で終われるように」
Bリーグ2部(B2)は信州ブレイブウォリアーズは11日、ホームで福島ファイヤーボンズとプレーオフ(PO)セミファイナル(SF)の第3戦を戦い、73-96で敗れた。1勝2敗で同シリーズを終え、ファイナル進出を逃した。
生原秀将や渡邉飛勇、栗原ルイスなど主力の一部を欠き、満身創痍で挑んだ第3戦。信州とは対照的に健康なチームを維持した福島にパワーとスピードで押し切られ、最後まで流れをつかむことができないまま敗戦。2季連続でSFで涙を飲む形となった。
そんな状況の中で、先発ポイントガードとしてチームをけん引したのが小栗瑛哉だ。劣勢の中でもペイントタッチから味方にチャンスを作り出したり、ディフェンスで奮闘したりと、25分55秒の出場で9得点2リバウンド2アシストを記録。最後まで意地とプライドを見せた。
先発出場で躍動も勝利に届かず 「出だしで全て持って行かれた」
初めてSFの舞台を経験した小栗。3連戦を通して、その表情は緊張感と責任感で包まれていた。2022-23シーズンから3シーズン所属した秋田ノーザンハピネッツでは控えの役割が多く、スタート起用もわずか。しかし、信州に移籍後はけがで欠場をすることはあったものの、POを含めて出場した42試合中38試合で先発起用されており、勝久マイケルヘッドコーチ(HC)からも期待と信頼が寄せられていた。
それゆえに、小栗の言葉からは度々「勝つも負けるもポイントガードの責任」と、覚悟が伝わる言葉が飛び出していた。
第3戦では自らの言葉を体現するかのように、攻守で存在感を発揮。ウェイン・マーシャルが生むミスマッチを攻めたり、福島のキーマンである笠井康平をマークしたりと、重要な役割を担った。第1クォーター(Q)残り7分15秒の場面では、一瞬の隙を見逃さずに3ポイントシュートを沈め、同残り5分30秒の場面では鋭いドライブで得点を奪取。その後のディフェンスでは懸命にリバウンドに飛び込み、試合のトーンセットに一役買った。
SF第1戦の前に、小栗に話を聞く機会があった。そこではポイントガードの責任について次のように話していた。
「コート上の司令塔って言われているので、どこに選手を置くか、どのタイミングでピック・アンド・ロールを使うか、どのセットプレーを使うかは、もちろんコーチからもアドバイスをもらいますが、その中でも常に判断しないといけないポジションなので、すごく責任感は感じています。ディフェンスでもボールマンにつく役割なので、そこでのトーンセットは大事にしないといけないです」
10日の第2戦では、ディフェンスはもちろん、第3Qで3本の3ポイントシュートを沈めるなど得点面でも大きく貢献。勝利を呼び込み、第3戦への望みをつなげていた。
それでも、第3戦では個人としてもチームとしても疲労が見え隠れする場面があった。小栗自身もターンオーバーが増えたり、福島の強度の高いディフェンスに対して攻めきれなかったりと、本来のリズムが奪われていく。前半終了時点で15点差のビハインドを背負い、後半にはリズムを取り戻す場面もあったものの、逆転には至らず。2年連続、SFで姿を消した。
第3戦後、小栗は「気持ちの部分が全てだったと思います。出だしで福島に全て持って行かれてしまいました」と試合を総括。勝久HCは「課題だったメンタル面で、オフェンスでも良いポゼッションがあっても、その次にはまた悪い遂行力になったり、慌ててしまい、どういうカバレージが来るか分かっていながらも、どうやってそれを崩すっていうのがうまくできなかったです。それが今度ちょっとパニックになって、悪いトランジションディフェンスにつながってしまったりという悪循環がやっぱりありました。われわれの課題としてあったものが出てしまったなというふうに思っています」と敗因を述べた。
プレータイムの偏りの「ツケ」 明暗を分けた選手起用の差とは
小栗のコメントにもあったように、第3戦ではチーム全体の動きが明らかに鈍くなっていた信州。ディフェンスも本来であれば、高い位置からプレッシャーをかけ続けて、相手のリズムを崩すことを得意としている信州だったが、ハーフコートからディフェンスを始めることが多く、福島を抑えるには不十分だった印象だ。
「今日(第3戦)はわれわれの悪い部分がたくさん出た試合になってしまいました。出だしからディフェンスが非常に悪くて、ずっと課題であったリバウンド面も今日は不十分だった。トランジションディフェンスでもやられてしまう。一番悔いが残るのは、やっぱり全力でプレーできていないというふうに感じてしまうところ。やっぱり数名の長いプレータイムというのはツケが来たのかなというふうにも感じています」(勝久HC)
勝久HCが言うように信州は11人がベンチ登録される中、基本的に8人のローテーションでPOに挑んでいた。クォーターファイナル(QF)を2戦で終えた福島に対して、2週間連続で第3戦まで戦うこととなった信州は、外国籍選手も日本人選手たちも満身創痍の中、過酷なチャレンジを強いられていた。
一方で福島はフレッシュな状態でPOのシリーズを勝ち進んでいる。信州と福島はどこに違いが現れたのだろうか。ライアン・マルシャンHCは次のように話す。
「このシリーズが始まる前から、信州は本当に実力のあるチームだと認めていて、自分たちがやろうと言っていたことは、『とにかく第3戦まで持っていって倒そう』と話していました。実力のあるチームですが、けが人や、平均年齢も結構高めのチームなので、その部分で自分たちにアドバンテージがあるとに思っていました。第1戦、第2戦で相手のことをどんどん疲れさせて、第3戦で倒すというプランがしっかり遂行できたと思っています」
中野司はチームが好調な理由をこう分析する。
「ライアンの考え方にタイムシェアもしっかりとして戦うというのがあります。疲労度的にも信州さんに比べれば自分たちの方がフレッシュな気持ちで戦うことができたと思いますし、シーズン中の18連勝でも誰かが30分、40分出るというゲームは少なかったです。日本人は特に(プレータイムを)シェアして戦うことができたので、誰かが悪い時に誰かがそこを補うことができるっていうのが、この1年間を通して、積み重ねができたことなのかなと思うので、それが大事なゲームですごく出たのかなと思います」
必死の思いで第2戦に勝利し、第3戦につなげた信州に対して、盤石な体制で大一番を迎えた福島。QFの福井ブローウィンズ戦では第3戦で劇的な勝利を収めたこともあり、福島との第3戦は信州のバスケットボールが存分に発揮できないまま終わってしまった感が否めない。重要な試合に万全な状態で挑めない状況は、昨季から続く課題として残された。
それでもまだ信州のシーズンは終わっておらず、3位決定戦もホームで行える機会が残されている。小栗は力を振り絞りながらその意義について話した。
「結果として負けてしまったことは受け止めるしかないです。本当に悔しくて次のゲームを考えられないですが、次がこのチームでできる最後の試合なので、必ず良い結果で終われるようにしたいと思います。来てくださる皆さんの前でプレーできるので、出ている5人だけではなくて全員で、最後の最後まで感謝の気持ちを持ってプレーしたいと思います」
チームの顔にまで成長を遂げた小栗瑛哉の言葉には、1年間をともに戦ったブースターへの思いがにじんでいた。3位決定戦のホームコートで、その言葉を体現するプレーを見せたい。
(芋川史貴)