けが人続出の信州ブレイブウォリアーズ の光明となった横山悠人 ”切込隊長”が見せた心の余裕と新たな可能性
Bリーグ2部(B2)は3月28日と29日の両日、各地でレギュラーシーズンの第27節が行われ、東地区首位の信州ブレイブウォリアーズはホームで同4位の福井ブローウィンズと対戦。第1戦を81-78、第2戦を79-90とし、一勝一敗で福井との対戦を終えた。
けが人が多い中での対戦となった福井戦。チームの窮地を救ったのは、練習生から這い上がってきた横山悠人だ。第1戦では20分7秒の出場で13得点2リバウンド1アシストを記録し、第2戦では14分1秒の出場で3ポイントシュート2本を含む8得点3リバウンド2スティールと躍動した。
ドライブから見せた新境地 勝久HCも称賛
2024-25シーズンから練習生として信州に加入した横山は、切れ味鋭いドライブや激しいディフェンスを持ち味とするシューティングガードだ。今季はプレシーズンゲームの前日に選手契約を勝ち取り、信州でのプロキャリアをスタートさせた。
栗原ルイスの欠場が続く中、福井戦では小栗瑛哉、J.J・オブライエンもけがで欠場。第1戦では生原秀将も欠き、エリエット・ドンリーも第1クォーター(Q)からファウルトラブルに陥った。そんな状況もあり、第1戦では第1Qから横山が出場機会を得る。残り1分56秒からコートに立つと、残り54秒付近のポゼッションでは、オフェンスリバウンドからゴール下の得点につなげるなど、エナジーあふれるプレーでチームを鼓舞した。
土家大輝と交代してポイントガードとしてコートインした第2Q残り6分53秒の場面では、ドライブからフリースローを獲得。2本ともきっちり沈めると、その後もセカンドチャンスポイントを記録したり、ドライブで再び得点を記録したりして存在感を発揮した。
「タフになることはわかっていたんですけど、何が何でも勝ちたかったです。特に何かをしたというよりかは、いつも通りの準備をして、いつも通りのマインドセットをして、その中で自分のやるべきことを考えてできました。日頃の準備がここにつながったのかなと思います」(横山)
福井に連続得点を許し、60-55と差を詰められていた第3Q残り1分24秒の場面では、バックコートからドライブをしかけてバスケットカウントワンスローを獲得し、流れを引き戻す活躍を見せる。極め付きは第4Q残り9分24秒、エンドスローインからのプレー。左45度でボールを受け取った横山は、ウェイン・マーシャルとのピック・アンド・ロールからペイントに侵入。これまではそのままリングにアタックするか、キックアウトすることが多い場面だったが、横山はストップからゴール下にいたマーシャルへのアシストを選択し、見事に得点に結びつけた。シーズンを通して横山が課題として掲げていた「視野の確保」を体現したシーンとなった。
勝久マイケルHCは横山の成長をこう称賛する。
「今日(第1戦)はポイントガードで使う予定はまったくなかったです。(小栗)瑛哉がいない中で、次はエリエットがポイントガードをやる予定だったんですけど、すぐにファウルトラブルになってしまったので、その次と考えた時に悠人でした。今週一番取り組んだかもしれないことが、スイッチの部分。ただミスマッチを見つけるのではなくて、ガード陣がどうやってアグレッシブにやるか。そのスイッチ相手に、悠人はものすごく表現できていました。
ペイントでツーフット(2歩)で止まってウェインを見つけたプレーは本当に素晴らしかったですし、ディフェンスでもエナジーを持ってプレーしていたから最後足をつってしまったわけですが、今日の悠人は本当に良かったです」
ドライブ以外も磨き、「3&D」として出場機会を狙う
29日の第2戦では福井に敗れてしまった信州。横山もドライブを警戒され、第1戦では決まっていたようなシュートを決め切ることができなかったり、ファウルがかさんで最終的には退場したりと、本人としても満足のいくパフォーマンスではなかっただろう。
それでも横山は前を向いていた。
「手応えはすごくありました。自分の武器が通用している中で相手も対策してくるので、そうなった時にもう一つの武器というか、自分としてもIQがあればスカウティングされても心配しないで自信を持ってプレーできるかなと思います」
「もう一つの武器」について詳細は語らなかった横山だが、3Pシュートが武器の一つとして挙げられるだろう。実際に第2戦では福井は横山のドライブを警戒し、少し距離を取って3Pシュートを打たせてもよしとする守り方を採用していた。その状況を逆手に取り、第2戦では3本の3Pシュートを放ち、2本を沈めた横山。距離を空けられる駆け引きの中で放ったのは1本のみだったが、今後ハンドラーやポイントガードとしてプレータイムを獲得するためには、キャッチ&シュート以外の形を磨く必要が出てくるはずだ。ディフェンスではすでに貢献できている部分があるだけに、外角のシュートを磨けば出場機会は増加するだろう。
経験が自信に 「周りを見ることもできている」
日々の試合や天皇杯などの大舞台で経験を積むとともに、プロ選手としての自信と余裕も出てきた。福井との第2戦、細谷将司とマッチアップした際に、横山が1本目の3Pシュートを決めた場面。その後のポゼッションで、細谷もすぐさま横山のディフェンスを交わして3Pシュートを沈めたシーンがあった。その時の横山は、悔しさをにじませつつも楽しさも感じているような表情を見せていた。
前半戦までの横山は誤解を恐れずに言えば、どこか追い詰められたような表情でプレーを続けていた。目の前に降ってきたチャンスを絶対に無駄にしないという必死さからくる表情だったのだろう。しかし、この試合では必死さの中に、勝負を楽しむ余裕が少し現れていた。その結果が、マーシャルへのアシストにもつながったのだろう。
「(天皇杯での)宇都宮戦以降、より吹っ切れたというか、強みを生かしつつ、周りを見ることも少なからずできたので良かったと思います」と横山は自信をのぞかせる。
練習生から選手契約を勝ち取り、チームの大切な戦力として成長を続けている横山悠人。けが人続出のチームの救世主となれるか。終盤戦でのさらなる活躍に期待したい。
(芋川史貴)