家族を題材にしたこの短編動画は、ランウェイを歩く従来のファッションショーの代わりに今月7日からオンラインで配信されている。
Q:デザイナーとして、この特別な時期をどう乗り切るか?
ガッバーナ氏:ドメニコも私も前向きな性格で、何かができないからといってめげることはない。もちろん、いろいろなことが以前のようにいかないことは事実だが。
でも、これはぜひ言っておきたいのだが、1984年にブランドを立ち上げたときの私たちはわずか300万リラ(現在の1500ユーロ、約18万9000円)しか持っていなかった。コートを作ろうと思っても、カシミヤは無理だったのでフリース素材にしたし、ジャージー素材でも服を作った。高価な生地を買うお金がなかったからだ。これが買えない、あれができないという状況は、今と似ている。
こうした状況にいると、創作力が研ぎ澄まされる。ドメニコも私も、追い詰められると最善を尽くす。挑戦するのが大好きだから。
ドルチェ氏:こういうところが「イタリア人らしさ」で、私たちは1000%イタリア人。大変なことが起きたときは創意工夫を凝らす必要がある。そこで止まっていてはだめ。自分の運命を嘆いている場合じゃない。楽観的に前向きな気持ちで対処しないと。
Q:高級ブランドをめぐる状況は複雑だ。今年の売上高は世界的に20%以上の落ち込みが予想されている。ドルチェ&ガッバーナの場合は?
ガッバーナ氏:ほとんどのことはオンライン上でなされている。eコマース(電子商取引)では4か月間で170%の伸びを記録している。顧客が皆、オンラインで購入しているためだ。
■コロナ禍で制限も強いられたが解放もされた
Q:今回のオートクチュールコレクションはどうやって用意を?
ドルチェ氏:オートクチュールは通常なら、半年もしくは1年も前から計画するのだが…。私たちは自問した。今、重要なことは何だろう? 従来と同じようなファッションショーをやってもあまり意味がない。つまらない気がした。
私たちにとって、今回のコレクションはセラピーのような効果があった。こうした状況で制限も強いられたが、一方で、解放もされた。ルールをどんどん壊していいんだと思えた。
Q:コロナ禍で2人の働き方は変わった?
ガッバーナ氏:(以前は)やることが多過ぎて、がむしゃらに働いていたが、今はゆとりができてきた。
ドルチェ氏:何かをするにしても、間に合わないんじゃないかと気が休まらなかった。今は、とても幸せなことに、考える時間が私たちにはある。まるで1985年か86年ごろに戻ったようだ…。じっくり楽しみながら仕事をする喜びを私たちは再発見したところだ。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2020/12/15-12:23)
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記事名:「 運命を嘆くな コロナ禍に挑むドルチェ&ガッバーナのデザイナー 」