「価値のゲートキーパー」を目指すー創業150周年へ向けた戸田建設のダイバーシティの取り組みとは
1980年東海大学工学部卒業後、戸田建設入社。2002年横浜支店建築工事部工事課作業所長、08年同支店建築購買部長、14年同支店次長、18年千葉支店長、20年九州支店長を経て、21年より現職。
歴史的建造物など戦前から官公庁関連や大学関連に数多くの実績を持ち、特に医療・福祉関連施設を多く手掛けています。2031年に迎える創業150周年に向けて「未来ビジョン CX150」を策定し、価値ある未来の創造、社会課題の更なる解決を目指し、歩みを進めています。
目次
ダイバーシティ経営に対する取り組み
当社は、2031年に創業150周年を迎えます。
その150周年に向けた経営戦略として「未来ビジョンCX150」を策定しました。未来に実現したい社会像を「協創社会」と定義し、戸田建設グループがそのような社会を実現し得る「価値のゲートキーパ―」となることを目指しています。
更に、戸田建設が未来へと向かう姿勢を表現した「Build the Culture.人がつくる。人でつくる。」という新しいブランドスローガンを打ち出しました。このブランドスローガンは、病院、学校などの建築、トンネルなどの社会インフラをつくるだけではなく、未来の様々な人の営みを支える力になりたいという、当社の強い使命感とともに、かねてより当社が掲げてきた、社員一人ひとりがステークホルダーの方々と真摯に向き合っていく姿勢を表しています。
また、当社が持つ人的資本を有効に活用するために、2021年3月に人事部、人財開発部、ダイバーシティ推進部、グローバリゼーション推進部を統合して人事統轄部を創設しました。人事統轄部のミッションは、会社の経営戦略と連動した人財戦略の推進です。企業価値の持続的な向上へつながる人財育成に取り組み、組織力の最大化を目指していきます。
ダイバーシティ経営の取り組みで苦労した点と、乗り越えるための施策
具体的な取り組みとしては主に3つあります。
1つ目は、人事制度の全面的な刷新です。 建設業界では仕事の経歴や経験が顧客である発注者から求められる傾向があり、当社の人事制度においても年功的要素が残っていました。そのような背景の中で、年功的な要素を排除し、より納得性・公平性のある制度へと移行しました。特に、報酬制度については全面的に刷新して、賃金体系をオープン化しました。これにより、賃金体系の透明性が確保でき、社員は自身の立ち位置を把握することができるようになりました。更に、人事考課制度も刷新しました。公正な評価を実施するため、上司、部下による定期的な1on1ミーティングを取り入れたことに加え、複数の評価者による「評価会議」における審査により人事考課を決定していきます。
2つ目は、人財育成制度の全面的な改革です。 研修制度については、人財価値の向上を目指して、既存の研修体系を全面的に改革しました。階層別研修体系を刷新して、新たに次世代経営人財育成の伴走型コーチングを創設しました。また、社内における人財の流動化や価値向上に対応するために、キャリアコンサルティング、リスキリング、女性の管理職の育成などに取り組んでいます。世代別のキャリアコンサルティングでは、外部のキャリアコンサルタントを招いて”個別”で面談する機会を設定するなどして、社員のキャリアパス作成を推進しています。
3つ目は、人財の多様化に対応した多様な働き方の実現です。 60歳で役職定年として、キャリアの選択ができるようにしました。そして、定年を60歳から65歳に延長して、選択定年制を導入しています。更に、フレックスタイム、在宅勤務、テレワークなどの導入により、働き方のバリエーションを増やしています。また、男性でも育児休業が取りやすい社内環境を整備するために、育児休業制度のガイドブックを作成し、三者面談(該当社員、上司、ダイバーシティ推進部)を実施して育休制度の説明をしています。その結果、2020年度から男性社員の育児休業取得実績は、100%を維持しています。
取り組みを行う前後の変化や取り組み後の反響
人事制度の刷新、人財育成制度の改革の導入時は、導入の各プロセス毎に社員へ詳細な説明を丁寧に行いました。
現在は、新制度への理解が深まり、運用が本格的に始まったところです。新制度の運用が社内へ浸透するにつれて、社員の抱えている不満や制度の歪みが少しずつではありますが、解消し始めていると感じています。
従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること
採用については、建築や土木などのコア事業とは別に、新規事業が複数立ち上がっているため、必要とされる人財の領域が広がっています。
2~3年前までは、ほとんどが新卒採用でしたが、最近は、キャリア採用者が大幅に増えています。キャリア採用者が、社内の既存の人財と協働することにより、配属された部門の活性化につながることを期待しています。その活性化の結果が出てくるのには、もう少し時間がかかると思いますので、注意深く見守っていきたいと考えています。また、多様な人財が、多様な価値観を尊重しながら持続的に働ける社内風土、環境の整備を推進しています。女性の活躍推進、仕事と育児・介護の両立支援、グローバル人財の育成、LGBTQ+に関する社内環境の整備、障がい者雇用の促進による2021年度からの法定雇用率の維持などに引き続き取り組んでいきます。
理想とする組織像と従業員への期待について
社会から求められる価値やサービスを提供するために、多様な価値観を持つ社員の集合体を目指しています。
それには、性別、国籍、人種、宗教、スキルなどが異なる、多様な人財の活躍が不可欠です。
社員一人ひとりが、「働き甲斐」を実感しながら自己成長のできる組織が理想です。「多様性を力に」していきます。
- 氏名
- 大井 清司(おおい きよし)
- 会社名
- 戸田建設株式会社
- 役職
- 常務執行役員 人事統轄部 統轄部長
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