旅行で最安値の選択肢を提供する:株式会社オープンドアのこだわりとは
1968年兵庫県生まれ。1990年に甲南大学経営学部を卒業し、1994年に松下寿電子工業(現PHC)に入社。
1996年に旅行会社へ転職し情報収集を開始し、1997年にオープンドアを設立、代表取締役社長に就任し、以来現職。
2015年に東証マザーズに上場し、翌年には東証一部への市場変更を果たした。
資本金:6億4,829万円
従業員数:189名(2023年3月現在)
インターネットコンテンツの企画運営、ソフトウェア開発を行う。旅行比較サイト「トラベルコ」、多言語旅行比較サイト「Travelko」、日本の伝統工芸品紹介サイト「GALLERY JAPAN」等を運営。
これまでの事業変遷について
冨田:これまでの事業変遷についてお聞かせください。
株式会社オープンドア 代表取締役社長・関根 大介氏(以下、社名・氏名略)関根:当社は1997年に創業しました。私は元々家電メーカーに勤めていました。当時はインターネットが台頭してきた時期だったので、将来的には情報が紙からネットを通じてやり取りされると予想していました。そのため、自分が起業するなら生活情報分野の情報をインターネットを通じてユーザーへ届けたいという思いがあり、生活情報分野の中でも旅行業界に目をつけていたのです。しかし、旅行業界は私にとって全くの未知の領域だったので、1年間東京で旅行関係の会社に勤めてリサーチを行いました。そこでユーザー視点と業界側の視点からニーズがあることを学び、1997年に当社を立ち上げ、旅行の比較サイトとして事業をスタートしました。
その後、携帯電話のコンテンツ時代が到来したため、ゲームサイトや携帯向けのコンテンツサイトを展開していました。しかし、旅行サイト事業が順調に成長していたため、今後も大きな成長を描けると判断し、旅行業界にリソースを集中させることにしました。それからトラベル事業が急激に成長し、上場することができたのです。
冨田:コロナ禍で旅行業界が大打撃を受けましたが、貴社はどのように対応したのでしょうか。
関根:コロナ禍で旅行業界は壊滅的な状況に陥りましたが、私たちのビジネスモデルは固定費を超えると売上高が利益になるため、コロナ前に内部留保を蓄えることができました。そのため、コロナ禍でも社員の採用や開発投資を継続することができたのです。
現在、コロナが収束に向かっているものの、物価高や円安などの影響で旅行代金が高止まりしています。しかし、私たちのサイトは航空券やホテルの価格が最安値で見つかるという強みがあります。また、この状況下だからこそインバウンド需要は好調を維持することができています。
経営判断をする上で最も重視していること
冨田:これまでの経営判断や意思決定において、どのような点を重視してきましたか?
関根:私たちは、ユーザーの満足を叶えることが重要だと考えています。また、短期的な利益と長期的な利益の最適解は異なる場合がありますが、私は常に未来の最適解のために何が必要かを考えて意思決定をしています。
冨田:関根社長が基本的に想定している未来の時間軸はどれくらいですか?
関根:インターネットの世界は新技術が次々と登場し、市場の変化が激しいため、3年程度を1つの目安にしています。3年以上かかるような大きなプロジェクトを進めると、市場の変化や競合対策、テクノロジーの進歩などで計画が狂う可能性があるからです。
冨田:なるほど。3年後のシナリオを考えながら、高確率で起こりうる仮説を立て、それに基づいて現在何をすべきか意思決定をしているわけですね。
関根:そうですね。市場の変化を常に見て、対応しています。もちろん、3年後の予測も市場の変化によっては修正が必要になりますが、市場に対して謙虚に構えて、変化に対応しながら見通しを立てていくことが大切だと考えています。
また、私たちの強みは旅行業界において、最安値の選択肢を提供できることです。これはユーザーにとって魅力的なことだと考えています。同じ条件であれば最も安い選択肢がユーザーにとって最良です。これを強みとしている私たちは、市場が変わったとしてもファンが増え、ユーザー数やシェアが上がっていくと考えています。
経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み
冨田:関根社長の経営者としてのルーツや過去の経験から積み上げた強みを教えていただけますでしょうか。
関根:私の強みは最後まで自分自身が確認することだと思います。前職時代に商品のクオリティは細部に宿ると学びました。インターネットサイトの運営においても、私が大事にしているのは細部です。細部を蔑ろにすると、必ず気づくユーザーはいます。そのため、私自身が確認することがクオリティを担保する上で重要だと考えています。私の判断能力が向上すれば、確認する範囲も広がります。細かいところまでできる限り関与していくことで、ユーザーに届けるクオリティを担保できるのです。
冨田:素晴らしいですね。プロダクトが常に進化し続けているわけですね。
関根:はい、常に50件ほどのプロジェクトが同時並行で進行しています。年間で約100件の新しいリリースがありますので、基本的にそれら全てのプロジェクトと会議には出席するようにしています。
自社が今後関連していくテーマ
冨田:今後貴社がどのようなテーマで展開していく予定ですか?
関根:現在、「トラベルコ」以外にも「GALLERY JAPAN」という日本の伝統工業を扱うサイトを運営しています。
まず、「トラベルコ」では、既存のサービスをより便利にすることが目標です。具体的には、ジャンルを広げることを考えています。ホテルや航空券、オプションツアーだけでなく、現地のレストランやゴルフ、キャンプなども取り扱えることを目指しています。さらに、海外版の「トラベルコ」も展開していきたいと考えています。現在は日本のユーザーが中心ですが、海外の方にも使っていただけるサービスを提供していく予定です。
冨田:それ以外にも、何か新しい取り組みはありますか?
関根:私たちのサイトは1500以上の予約サイトと連携しており、常にユーザーの利便性を追求しています。旅行会社は年間数億円をかけてシステムを開発していますが、私たちが提供できる最先端のシステムを利用すれば、コスト削減や使いやすさの向上が期待できます。
また、旅行のトレンド情報も取り扱っており、期待値の高い事業分野を検討しています。旅行に特化している会社ではないと思っているので、展開している分野と関連しない領域でもチャンスがあると思う事業分野があれば、積極的に参入していく思いです。
冨田:なるほど。最後に、貴社が考える「トラベルコ」の強みは何ですか?
関根:常に最安値の旅行の選択肢を追求していること、そしてほぼ全ての旅行商品をカバーしていることです。どの国の人も安い価格を求めている中、私たちは価格だけでなく選択肢の豊富さも提供しています。徹底して価格を更新し続けることで、他のサイトよりも安い価格を提供できるのです。実際、比較サイトを通じて予約する方が、直接予約サイトに行くよりも安いことが多いです。これが、「トラベルコ」のファンが増え続ける理由であり、強みであると考えています。
ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言 など
冨田:ZUU onlineユーザーへ一言お願いします。
関根:コロナは徐々に収束に向かっており、来期以降も旅行環境は厳しい状況が続くかもしれませんが、私たちにとってこの状況はチャンスでもあります。 コロナ禍と同様に、今の環境を活かして大きく成長できるよう努力していきたいと考えています。
- 氏名
- 関根 大介(せきね だいすけ)
- 会社名
- 株式会社オープンドア
- 役職
- 代表取締役社長
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