(画像=リンカーズ株式会社)






前田 佳宏(まえだ よしひろ)

リンカーズ株式会社 代表取締役社長

京セラ株式会社での海外営業の経験を経て、株式会社野村総合研究所においてコンサルタントとして欧米・アジア企業の事業戦略からM&A等を手掛ける。

2011年9月に、東日本大震災の復興支援と日本の産業の活性化を企図してリンカーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。大阪大学工学部卒業。







リンカーズ株式会社


「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、技術探索サービス、用途開拓サービス、SaaS型ビジネスマッチングシステムの提供を中心とした探索・マッチングサービス、グローバル技術リサーチサービスを中心としたリサーチサービス等の、ものづくり企業に向けたオープンイノベーションの支援サービスの運営を中心として、事業領域を拡大。


現在は、地域金融機関をメインにSaaS型ビジネスマッチングシステムの導入を拡大、事業会社にも導入が進むなど、ビジネスマッチングをキーワードに産業構造の改革に取り組んでいる。2022年10月、東京証券取引所グロース市場に上場。




創業から上場までの事業変遷


ーー 創業から上場までの事業変遷について教えていただけますか?


前田: リンカーズは2012年4月に設立しました。私は元々野村総研で7年間コンサルタントとして、日本法人と欧米法人のM&Aプロジェクトに従事していたのですが、そこで日本と欧米の産業構造の違いを感じ、日本のイノベーション停滞に危機感を抱いたのが創業のきっかけです。特に、日本の縦割りの産業構造が情報の流通を阻害していると感じたのです。そこで、技術情報が流通し、イノベーションを促進するプラットフォームを作ることを目的に会社を立ち上げました。


創業事業である、リンカーズソーシングでは、大手企業のロボット開発などで必要とされる特定の技術を持つ中小企業や大学を見つけ、そのマッチングを行っています。2016年には、逆に中小企業が自らの技術を大手企業に売り込むサービスと、最先端技術のリサーチ事業を開始しました。さらにスタートアップで創業期にここまで事業を持っているのは珍しいですが、金融機関向けサービスも、このタイミングで開始しました。


当時、金融機関は年間約8000件のマッチングを行内で手動で行っていました。300社ほどの支店が本部と連携して取引先や提携先をつなぐ作業をしていたんです。そのため、私たちのシステムを銀行向けにチューニングして開発するよう依頼があったのがきっかけです。




(画像=リンカーズ株式会社)



今後の事業戦略や展開


ーー上場を目指した背景には、どのような狙いがあったんですか?


前田:上場することで知名度が上がり、信用力が高まるため、新たなユーザーを獲得しやすくなると考えました。また、優秀な人材を獲得するためにも有利と考えており、実際、直近半年で20人の新入社員を採用しました。また会社として、一定の緊張感を保つことができるというのも狙いの1つでありました。


ーー 人材採用を注力されているとのことですが、貴社のマッチングにおける仲介の難易度はかなり高いのかなと思いますが、社内でどのような工夫をされているのでしょうか?


前田: 難易度は非常に高いですね。大手企業でさえ自力で探せない案件が私たちのところに来ることが多いです。私たちは、一般的なネット検索では見つけられないような特殊な技術や細かいスペックを要する案件に対応しています。例えば、先端技術や特殊塗料に関する要望があり、それに加えてさらに細かい条件が求められることがあります。そういった場合に、これまでの経験とデータベースを活用し、類似の課題がある場合にはそれを基に解決策を見出しています。


ーーどのような点を強化し、今後伸ばしていこうと考えていらっしゃるのでしょうか?


前田: オープンイノベーション支援に力を入れています。技術ライセンスや部品・材料の調達、共同開発など、さまざまな手段、特に弊社のネットワークを活用したM&Aなどを通じたイノベーションをサポートしています。やはり企業買収において、マッチングと同様で、特定の製造工程や人材を目的に行うことが多いです。実際にニーズの声も上がっております。これまでのリソースを活かし、より効果的にマッチングとM&Aを推進していく計画です。


もう1つが、AIを駆使して大手企業が技術課題を解決するためのソリューションを探しやすい状態を作り出していこうと思ってます。


マッチング市場はかなり大きいポテンシャルがあると考えており、国外も合わせると何兆円にもなると考えている。現在、既存のシステムをベースに、新たなシステムを開発しており、これまでのニッチから脱却し、広大なマーケットを取りにいく準備を進めており、成長を急加速できると確信しております。


ーー金融機関向けのビジネスは金融機関内ビジネスですか?


前田: 現在、ほとんどの商談は金融機関内で完結していますが、内外のつなぎを強化することで、さらなるビジネスチャンスを掴むことができると考えてます。
そのために、プラットフォームとしての信頼性を高めることが重要で、我々は広域連携と呼んでおりますが、自行の領域に閉じこもることなく、お客様のニーズを起点にサービスを展開できるように、ニーズに応じた取引先を探すことで問題を解決できると考えています。実際、昨年からそのような取り組みをスタートしています。実は、ここのシステム機能としては既に開発済みでして、むしろ銀行側のマインドを変える方が難しいと感じています。


3年、5年後での未来構想、御社の描く未来像


ーー 前田社長、貴社の将来構想についてお聞かせいただけますか?


前田: ものづくりの良い点として全世界でサプライチェーンが同じであるという点。つまり、日本での課題は海外でも同様のケースが発生していることになる。つまり、日本での成功を海外にも展開できるということになります。
さらに弊社独自の付加価値の高い「コア領域×カスタマイズ品」は大手商社が手動でやっている領域であり、そこを弊社の持つプラットフォームで全部置き換えることで、一気に弊社のサービスが全世界で展開されることを構想として描いております。


ーー成長戦略としてM&Aを考えていらっしゃるのでしょうか? また、その際のターゲットとされるゾーンはどこになりますか?


前田:既存事業のリソース補完が一番のポイントです。M&Aには実務エクスキューションのノウハウが必要で、我々はそれを持っていません。また、技術マッチングを進める中でオープンイノベーションを手段として考えており、技術人材が不足している場合は、人材紹介会社の買収なども視野に入れています。長期的には、海外展開を見据えて現地の運用組織を構築することも重要と考えております。


ーー 開発人材は海外の人材の活用は考えていらっしゃるのでしょうか?


前田: 現在は国内の人材のみです。海外の人材も魅力的ですが、時差等コミュニケーションの問題があり、現在は国内在住の人材のみです。


ZUUonlineのユーザーに一言


ーー最後に、投資家ユーザーに向けて一言いただけますか?


前田:私たちの事業は、これまで解決されなかった大きな社会課題に取り組んでいます。眠った技術や隠れた技術を活用し、それによって世界のGDPを拡大し、人々の豊かな生活に貢献することができると信じています。私たちが提供するバリュープロポジションにより、大きなレバレッジをかけていけると期待しています。投資家の皆様には、我々のビジョンにご期待いただき、支援をお願いしたいと思っています。



氏名

前田 佳宏(まえだ よしひろ)

会社名

リンカーズ株式会社

役職

代表取締役社長

情報提供元: NET MONEY
記事名:「 リンカーズの挑戦:産業構造の変革を目指して創業から上場へ