- 週間ランキング
ここからは、100万円で投資できる代表的な金融商品を紹介します。それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、自身の知識や目標に合ったものを見つけてみましょう。
株式とは、企業が資金集めのために発行する金融商品です。国内株式や米国株式、新興国株式などの種類があり、証券取引所に上場している銘柄は個人投資家でも取引できます。
株式投資のメリットとしては、3つのリターンが期待できる点が挙げられます。
<株式投資で期待されるリターン>
譲渡益:株式の売却によって得られる利益。購入時より株価が上がると売却益が生じる。
配当金:企業の業績に応じて分配される利益のこと。
株主優待:割引券や自社製品など、株主還元を目的として贈られる特典のこと。
相場の状況次第では株価が下落したり、為替差益で損をしたりすること(※外国株式の場合)もあります。企業分析や情報収集が必要になるので、銘柄を選ぶ時間がかかりやすい点です。
・国内株式や米国株式など、投資対象の種類や銘柄が多い
・売却益に加えて、配当金や株主優待も期待できる
・持ち株比率に応じた株主の権利を得られる
・株価が大幅に下落することもある
・外国株式は為替差益で損をすることがある
・銘柄の分析や調査に時間がかかりやすい
投資信託は、個人投資家から集めた資金を一つにまとめて、その資金を専門家(運用会社)が運用する金融商品です。銘柄によって運用先が異なり、国内外の株式や債券、不動産などに投資をする銘柄があります。
また、ファンドごとに運用方針が変わる点も、投資信託ならではの特徴でしょう。例えば、受取型のファンドでは運用成績や保有口数に応じて、定期的に分配金が支払われます。一方で、再投資型では分配金を使って同じファンドを追加購入することができます。
ただし、取引時にかかる購入手数料のほか、「信託報酬」やその他費用等の信託財産から間接的に負担するコストが生じる点には注意が必要です。信託報酬は日々計上され、ファンドの基準価額に反映されます。
・専門家に資産を運用してもらえる
・株式や債券など、一つの銘柄でさまざまな資産に投資できる
・投資対象や運用方針の選択肢が多い
・上場株式に比べてコストが割高になる可能性がある
・株式のようなリアルタイムでの取引ができない
ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場している投資信託です。基本的に特定の指数(日経平均株価など)に連動する成果を目指しており、投資信託と同じように株式や債券、不動産など幅広い資産に投資できる特徴があります。
一般的な投資信託とどのような点が異なるのか、以下で確認してみましょう。
比較項目 | ETF(上場投資信託) | 投資信託 |
---|---|---|
証券取引所での扱い | 上場している | 非上場 |
購入できる場所 | 証券会社 | 証券会社や銀行など |
リアルタイムでの取引 | できる | できない |
信託報酬 | 投資信託よりも低め | ETFよりも高め |
分配金の自動再投資 | できない | 銘柄によってはできる |
大きな違いとしては、取引のタイミングや基準価額(※)の値動きが挙げられます。
(※)投資信託の値段のこと。
投資信託は取引のタイミングが限られており、申し込んだ時点では購入できる基準価額が分かりません。この仕組みは「ブラインド方式」と呼ばれており、投資家の公平性を保つために採用されています。
<ブラインド方式とは>
投資信託の取引が、当日の基準価額が分からない状況で行われること。投資信託が投資している資産の評価値が確定した後に、投資信託の取引ができると、既存の投資家の利益が阻害されるため、このような方式を採用している。
投資家は、基準価額が分らないことから、注文の際に、口数を指定し、その後確定した金額を支払うか、あらかじめ金額を指定し、その範囲内で購入可能な口数分の受益権を購入するか、いずれかの方法で注文する。
(引用:一般社団法人 投資信託協会「用語集」)
一方で、ETFは市場が開いている時間に取引でき、購入時・売却時にはリアルタイムの基準価額が反映されます。信託報酬が低めに設定されている銘柄が多いので、保有コストを相対的に抑えやすい点もメリットでしょう。
ただし、投資信託に比べると銘柄数が少なく、分配金を再投資できるものはありません。
・一つの銘柄でさまざまな資産に投資できる
・投資信託よりも取引の自由度が高い
・リアルタイムでの基準価額が反映される
・投資信託に比べると銘柄数が少ない
・分配金を自動で再投資できない
REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金で不動産を運用する投資信託です。ETFと同じく証券取引所に上場しており、中でも日本の銘柄は「J-REIT(ジェー・リート)」と呼ばれています。
REITは数万円から購入できるため、現物の不動産への投資に比べると必要資金を抑えられます。また、現物不動産投資とは異なり、投資家自身が不動産の管理や売買を行う必要はありません。
・少額から不動産投資を始められる
・上場されているので換金性や流動性が高い
・物件管理の手間がかからない
・取引できる国内銘柄が少ない
・配当控除が受けられない
ここまで解説したように、100万円を10倍に増やすことは簡単ではありません。投資に失敗するリスクもあるので、どうしても目指したい場合は以下の注意点を意識しましょう。
まずは、資産を減らさないことが重要です。
一時的な損失によって資産がマイナスになることがあっても、年単位でみるとプラスになるような運用を心掛けましょう。リスクを考慮した上だったとしても、数年単位で資産がマイナスになっていては本末転倒です。
前述の通り、毎年大きなリターンを生み出しても、1,000万円まで増やすには多くの時間がかかります。時間を味方につける必要があるので、目標や方針を決めたら早めに行動を起こしましょう。
投資で得たリターンの再投資によって、利益を生み出すことで得られる複利効果や、平均購入単価を抑えられる積立投資は、早く始めるほど効果が大きくなります。
リスク許容度とは、日常生活および精神に影響を及ぼさない損失のことです。投資に失敗した結果、ライフプランを変更することは望ましくないため、「いくらまでの損失なら同じ生活ができるか」や「精神的に耐えられる損失はどれくらいか」は慎重に考える必要があります。
自身のリスク許容度を判断する際には、現在の資産状況や年収に加えて、年齢や家族構成、性格なども考慮しましょう。将来のライフプランを意識したリスク許容度を設定することで、損失のダメージを抑えやすくなります。
一般的な投資では、1年間の利益に対して20.315%の税金が課されます。税金は大きなコストになるため、以下のような税制優遇制度の活用を考えましょう。
一般NISAは、株式や投資信託、ETF、REITなどの運用益が非課税になる制度です。年間120万円までの投資枠があり、この範囲内であれば対象商品の譲渡益や配当金、分配金が全て非課税になります。口座開設年から最長5年まで運用できますが、2023年末までしか新規購入はできません。
つみたてNISAは、投資信託やETFを対象にした税制優遇制度です。投資枠は年間40万円まで、購入方法は積立投資のみですが、口座開設年から最長20年まで運用益が非課税になります。
また、全ての対象商品がノーロード(購入時手数料が0円)であり、信託報酬の低い銘柄が多いため、取引コストを抑えたい人にも向いています。
新NISAは、一般NISAとつみたてNISAに代わって2024年から始まる制度です。株式や投資信託などを対象にした「成長投資枠」と、投資信託・ETFの積立投資に特化した「つみたてNISA枠」があり、2つの投資枠を併用しながら資産形成を行えます。
現行のNISAと比べると制度が拡充されており、1年間の投資枠は360万円、合計で投資できる金額は1,800万円までで、運用期間も無期限化される予定です。
iDeCoは、あらかじめ設定した掛金を毎月拠出し、その資金で投資信託や保険商品などを運用する年金制度です。掛金の全額に所得控除が適用され、さらに金融商品の運用益が全て非課税となります。
原則60歳までは資産を引き出せませんが、受給時にも退職所得控除または公的年金等控除が適用されます。
企業型DCも、拠出した掛金で投資信託などを運用できる年金制度です。会社が導入していないと加入できませんが、毎月の掛金や手数料を会社側が負担するため、手持ちの現金が少ない方でも資産運用を始められます。
ここからは、100万円を1,000万円にするための基礎知識を紹介します。
分散投資とは、さまざまな金融商品に資金を分散させる手法です。大きく分けると4つの方法があり、投資先に集中させるケースと比べてリスクを抑えやすい特徴があります。
<分散投資の方法>
商品の分散:株式や債券、投資信託など、さまざまな資産に投資をする。
地域の分散:日本や米国、欧州など、投資先の地域を分散させる。
時間の分散:少額投資や積立投資など、時期をずらしながら金融商品を購入する。
通貨の分散:円資産やさまざまな外貨建て資産を組み合わせる。
例えば、投資先を国内株式と米国株式に分散すると、国内株式のみに投資していた場合より日本の相場が落ち込んだときの損失を抑えられます。ただし、値動きが異なる資産を組み合わせないと分散効果は下がるため、その点に注意しながら投資先を選びましょう。
ドル・コスト平均法とは、一定金額を同じ間隔で積み立てることで、金融商品の平均購入単価を抑える手法です。購入金額と頻度を一定に保つと、「高いときに少なく買う」「安いときに多く買う」を自然と行うことができるため、長期的な価格変動リスクを抑えやすい効果があります。
ドル・コスト平均法は積立期間に応じて効果が高まるので、長期間続けるために少額ずつ投資することを考えてみましょう。
リターンの再投資によって得られる「複利」に対して、投資元本のみで得られるリターンは「単利」と呼ばれます。
単利と複利にはどれくらい違いがあるのか、100万円を利回り3.0%で運用した場合の差を見てみましょう。ただし、実際の投資では以下のように毎年の利回りが3.0%で続くことはありません。
投資期間 | 単利のリターン合計額 | 複利のリターン合計額 |
---|---|---|
1年 | 30,000円 | 30,000円 |
5年 | 150,000円 | 159,274円 |
10年 | 300,000円 | 343,916円 |
15年 | 450,000円 | 557,967円 |
20年 | 600,000円 | 806,111円 |
(※手数料などのコストは考慮しない)
1年目のリターンは同じですが、複利ではこの利益を再投資に回すため、2年目以降からリターンが増えていきます。5年目の差は1万円以内ですが、投資期間が経つほどその差は広がっていき、20年後には20万円以上の差が生じました。
ここまでの内容を踏まえて、以下では100万円で行える投資方法をまとめました。自分自身の知識や経験、リスク許容度を踏まえた上で、適切な投資方法を選びましょう。
100万円を一度に投資すると、前述の分散投資やドル・コスト平均法を行えず、損失のリスクが比較的高まってしまいます。仮に毎月1万円を積み立てる場合は、積立投資を8年(元本のみ)ほど続けられます。「いつまで続けられるか」を意識しながら、自身に合った積立金額や頻度を設定しましょう。
株式の配当金や投資信託などの分配金を受け取ったら、長期的な複利効果を高めたい方は、再投資を検討してみましょう。
リターンが期待できる株式・投資信託に投資する場合は、相応のリスクを背負うことになります。つまり、大きな収益を期待すると、リスクが大きくなるのに応じて損失の可能性も増す、ということです。
このようなリターンとリスクの関係を踏まえた上で、株価・基準価額の上昇が期待できる銘柄への投資を検討してみましょう。
資産を減らすリスクを極力抑えたい人は、分散投資を徹底してみましょう。商品や地域を分散することで、損失のリスクを抑えることが期待できます。さまざまな銘柄に目を通し、値動きの傾向が異なる金融商品をポートフォリオに入れることを検討してみましょう。
100万円を1,000万円にすることは難しいため、無理して増やそうとするのは控えましょう。資産を失ってしまっては本末転倒なので、まずは自身のリスク許容度を確認し、10年後20年後を意識して100万円を運用していくことが大切です。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
The post 100万円を1,000万円にすることは可能?投資方法や注意点を解説 first appeared on Wealth Road.