投資の話で「複利」という言葉をよく耳にすると思います。しかし、この複利の力がわかるようでわからないという人も多いのではないでしょうか?


しかし、実は僕たちの生活の中にも「複利の力」はたくさんあり、もしかするとあなたも自然と複利のすごさを実感しているかもしれません。


今回は、この「複利」を解説していきます。


複利と単利の違いは、得たものを次に活かすかどうか


複利と単利の違いはシンプルです。僕は、複利について「得たものを、次に活かすこと」と捉えています。単利はその逆。たったこれだけです。利率とか元本とか、金融の世界で聞く言葉は一旦忘れましょう。


読書を例に考えてみましょう。本を読み慣れていない頃、1冊の本を読むことは大変です。しかし、毎日読み続けていくことで少しずつ読むスピードは速くなり、読み終えた本の数は貯まっていきます。


そうやって読書を続けることで少しずつ自分の頭の中に読んだ内容や感じたことが貯まっていきます。すると、1冊目に読んだ内容が2冊目の読書に役立ったりします。「あの本でも書いていたな」と思えたりします。


つまり、僕たちは本を読むごとに知識を得て、次の読書へ活かしているわけですね。これって複利の力ですよね。たくさん本を読む人は、これまで得た知識を活かして、昔の自分では考えられないようなアイデアを思いつくことができます。これも複利の力といえるでしょう。


一方で、一夜漬けのような本の読み方は単利的です。試験や論文などのためだけに本を読み、得たものがその瞬間にしか活かされないからですね。


勉強もスポーツの練習も同じです。過去に得たものがリセットされずに、次のステップに乗っかっていきます。このように僕たちの生活は、複利的な営みで溢れています。


街のお弁当屋さんで複利を考えてみる


では、これをお金の世界に置き換えてみましょう。


あなたの住む街にとあるお弁当屋さんがあるとします。このお弁当屋さんは毎年ちゃんと利益を出しています。しかし、毎年の利益を全て自分の生活費に充てて使い切っていたとします。また翌年も同じように稼いだお金を全部生活費に使います。


これって、得た利益を次に活かしていないので単利的ですよね。では、このお弁当屋さんが利益の一部を広告を出したり、新メニューを開発したりということに投資して、今年より来年の方が売上が上がったらどうでしょうか?


今年得た利益を次(来年)に活かしているので、これは複利的といえますね。


実際に多くの会社は今年の利益を使って来年の利益をアップさせようとしています。つまり、会社(企業活動)とは複利的な仕組みになっているわけです。


株式投資は、会社の頑張りに相乗りするようなもの


ここまで理解できれば、株式投資がなぜ複利的なのかがわかるようになります。


さっきのお弁当屋さんのオーナーになる権利が株式の値段である株価です。そして、株価を払って株主になるとお弁当屋さんのオーナーの一員になれるので、お弁当屋さんの毎年の利益の一部を受け取る権利が手に入ります。


そして、もしお弁当屋さんが売上アップのために店舗拡大したりして事業を大きくしていき、会社の売上が上がると、自分の取り分も増えていきます。


これがよく聞く「お金に働いてもらう」ということですね。お金に働いてもらうという言い方は少し冷たく聞こえるかもしれませんが、実際はお金の向こうには人がいます。そして、お金に働いてもらうというのは、お金の向こうにいる人たちが頑張って売上を増やしているから間接的に僕たちのお金が増えるということです。


つまり、「お金に働いてもらう」とは、お金を通じた「誰かの頑張り」によって自分のお金が増えていく事とも言えます。


投資信託なら、複利の力をもっと活かしやすい


ただ、お弁当屋さんだけのオーナーになっていると、万が一お弁当屋さんが倒産した場合にオーナーのあなたにも大きな影響があることも事実です。


でも、もしあなたが一つのお弁当屋さんだけではなく、たくさんの会社のオーナーになっていたらどうでしょうか?


一つの会社の影響は小さくなりますよね。


まさにこれが『投資信託』という商品に投資するということです。


投資信託とは、「いろんな会社の誰かの頑張り」で自分のお金が増やせる可能性がある商品です。


最近では、株式を金額指定して購入できるサービスが増えていますが、投資信託は金額指定で購入するのが一般的です。


さらに、運用で得た利益を再び投資に回す「再投資」の仕組みも利用しやすいです。つまり、「投資信託」は複利の力をより活かしやすいということです。


複利の力は時間がかかる?


最後に少しだけ数字を使って複利と時間の関係を考えてみましょう。例えば、100万円を5%で運用した場合、1年で5万円増えます。この5万円を翌年に活かすなら複利です。つまり、105万円を運用するのが複利ですね。


2年目は105万円の5%は5万2,500円です。こうやって見ると、複利の力は2,500円しか生まないように思いますね。


30年目だとどうでしょうか?


同じ5%ですが、なんと約20万円も増えます。元手に1円も足していないのに、100万円が30年目には約432万円にもなるからです。


複利の力を実感するには時間がかかるのです。


バフェットの資産のほとんどは、65歳以降に生まれた


複利のすごさを体現するのは伝説の投資家ウォーレン・バフェットです。モーガン・ハウセル著の『サイコロジー・オブ・マネー』で複利の魔法についての話があります。


バフェットの資産は2020年時点(90歳時点)で845億ドルです。この資産のほとんどは何歳以降に築かれたと思いますか?


正解は65歳以降です。


本書によれば、815億ドルは65歳を過ぎてから生まれたものだといいます。つまり、65歳から90歳までの25年間で、資産の96%が生まれたということです。


だからこそ、時間を味方につけることが複利にとって大切だということです。当然、お金を使うことで得られる経験やスキルは違う形で自分の人生を彩ります。お金を増やすことだけが人生ではありませんが、複利の力を活かすためにも、少額からでも投資をスタートしてみてはいかがでしょうか。


※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。




著者:井上ヨウスケ

役者から転身した異色のファイナンシャルプランナー。演劇で培った「伝える力」を活かし、「誰よりもわかりやすく」をモットーにお金の知識を発信。27歳でFP資格を取得し、独立系FPとして講演や相談業務を展開。動画講座やYouTubeでも活動し、「どこでも働ける」を実現。投資や保険の知識に加え、価値観を軸にした柔軟なお金の使い方も提案する。現在は高知県在住。

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情報提供元: Wealth Road
記事名:「 複利とは、得たものを次に活かすこと。身近な生活から考えるお金の増やし方 」