人や車、台風など移動体の位置や属性など、時間の経過と共に変化する移動体データ(Moving features data)を照会し、また、それにアクセスするための標準インターフェースを規定した国際規格OGC API - Moving Features - Part 1: Core(以下「本規格」という)が発行されました。OGC(Open Geospatial Consortium)は企業、研究機関、政府機関、非営利団体など多様なステークホルダーが参加し、地理空間情報の相互運用性を促進するオープンな国際標準化団体です。地理空間データの交換形式やサービスインターフェースなどの共通基盤となる規格を策定し、製品およびサービスの開発者と利用者に向けた重要な標準を提供しています。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は2007年よりAssociate memberとしてOGCの活動に参加しています。今回、移動中の位置と時間を組み合わせた軌跡などの移動体データに関する国際標準を策定する作業グループであるOGC Moving Features Standards Working Group(以下「OGC MF SWG」という)と協力して、移動体の位置情報を円滑に流通させるためのウェブサービスインターフェース仕様を開発し、本規格の発行を主導しました。
下線部は【用語解説】参照
社会課題の解決
近年、測位技術の進歩により、人や車、台風など移動体の時間によって変化する位置情報が大量に収集・蓄積されています。これらのデータは、公衆衛生管理、災害時の効率的な避難誘導、ライドシェアサービスなど、多岐にわたる活用が期待されています。今までに発行された移動体に関するデータ構造の国際規格ISO 19141およびOGC Moving Features Accessのデータアクセス仕様は、移動体の位置情報に関するデータモデルや、特定の時間を指定して位置情報にアクセスするためのインターフェースについて抽象的な仕様が定義されました。しかし、その仕様を実装するための具体的な技術的方法は提示されていませんでした。そのため、異なるソフトウエアやシステム間で相互に通信できず、企業や組織で独立したサービスが運用され、相互の連携や情報共有が困難でした。