医療情報システムと建物OSを連携し、外来診療の効率化、病院運営の継続を目指す

2024年9月4日
社会医療法人 誠光会

医療課題の解決に取り組む社会医療法人誠光会(滋賀県草津市)は、清水建設株式会社(東京都)と共同開発し、2024年4月から実証運用を行ってきた日本初の医療施設DXシステム「eyeMIRU」の効果が検証されたことから本格稼働を開始したことを2024年8月発表いたしました。

医療業界全体の課題:患者の増加と生産年齢人口の減少
日本の医療需要は、いわゆる団塊の世代の方々が後期高齢者となる2025年に向けて増加していき、それ以降も大きく減少することはありません。これに対し、生産年齢人口は年々減少していくため、医療サービスの供給側である医療機関は、少ない職員で多くの患者を受け入れることが求められます。誠光会は、これに対応するため医療現場の状況を俯瞰的に見える化し、この情報をもとに指示を待つのではなく、全職員が自ら考え、タイムリーに動くことができる組織への転換を目指しています。

経営改善活動の終着点は、スマート・ホスピタルの実現
誠光会は、10年続いた赤字経営を改善するために2014年から様々な取り組みを行ってきました。その一つが各部署の所属長が自らの部門の収支を把握し経営する部門別原価管理の導入です。この活動によって経営者意識を持った所属長が、部門を経営していく上で必要であると考える情報や職員にタイムリーに知らせたいと考えたデータをデジタルの力を使って見える化し、所属長だけでなく現場の職員一人ひとりが自ら考え行動できる組織となることで経営改善を実現してきました。一方、すべての医療機能を有し、病院単独で医療を完結させることを目指していた草津総合病院を2021年に急性期病院の淡海医療センター(420床)と在宅療養支援病院の淡海ふれあい病院(199床)、草津介護医療院(100床)の3つの施設に分離し法人が提供できる医療機能を明確化しました。この取り組みによって法人内で足りない医療機能も明確になったことから、既に地域で医療と介護を展開されている法人との連携を強化し、それぞれの法人が持つ機能を持ち寄ることで医療を完結させる、いわゆる地域完結型医療を目指す事としました。これをさらに発展させるべく地域医療連携推進法人 湖南メディカル・コンソーシアム(33法人111施設が参画)を立ち上げ地域全体の医療提供体制の最適化に取り組んでいます。法人の経営改善から始まった取り組みではありますが、最終的にはスマート・ホスピタルを中心とした街づくりに繋げていきたいと考え今後の活動を強化していきます。

スマート・ホスピタルを実現するためのアプリケーション
地域完結型医療、スマート・ホスピタルを中心とした街づくりをすすめていく中で、2021年に入院関連アプリケーションのコマンドセンター(GEヘルスケア・ジャパン)を導入しました。コマンドセンターは、電子カルテに保存されているデータをリアルタイムに分析・可視化することで、限られた医療資源を効率的に配分し、必要なケアをタイムリーに提供するための意思決定を支援するためのシステムです。このシステムでは病床稼働率の向上や患者さんにとって最適な医療を提供するためのスムーズな入退院を実現することができました。2024年度からは外来関連アプリケーションの医療施設DXシステム
「eyeMIRU」 (清水建設)の稼働を開始し、外来の状況を俯瞰的に見える化したことで、全職員が自ら考え、忙しくなっている部署にタイムリーに応援に行くなど効果が確認されています。2024年度下期には患者用アプリケーションとの連携を予定しており、これによって外来待ち時間の短縮を目指します。私たちは、このような入院用・外来用・患者用の3つのアプリケーションを開発することによってスマート・ホスピタルが実現できるものと考えています。

アプリケーションの開発コンセプト
入院用・外来用・患者用のアプリケーションの開発では、「患者の顧客価値を向上する」「職員の労働生産性を向上する」「法人の持続可能性を向上する」ことをコンセプトとしました。具体的には、外来の待ち時間を短縮することや、外来から帰ることができる時間の予測などアクセシビリティを向上する情報を患者に提供することによって顧客価値を向上する。また、混みあっている採血室に応援を出すなど業務量に合わせて職員の配置を変えるなどして職員の労働生産性を向上する。これら2つが実現できることで患者数が増加し、かつ残業等の経費を低減することができるため経営効率が高まり法人の持続可能性が向上することを目指します。

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デジタルの力で組織行動と文化を変えていく
見える化されたデータを見て、コマンダーが指示を出すだけでなく、全職員が考え、動ける組織になるためには、2つのことが重要であると考えています。一つ目は、「少し先の状況を全員が把握すること」です。例えば、1時間後に採血のオーダーが多く出されていることを把握できると応援に行くために現在の業務をどのくらいの速さで行い、終わらさなければならないのかを考え、行動することができます。2つ目は「仕切り値を決めること」です。これまでは個人の感覚で込み合っているのか、そうではないのかを判断していましたが、例えば会計待ちの人数が40名を超えると、会計窓口をもう一つ開かなければならないというルールを決めます。
できる限り状況を定量化し、その数値になるとアクションを起こすという文化を醸成することで動ける組織へと変化していきます。

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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 日本初の医療施設DXシステム「eye MIRU」を導入