「バイオ医薬品業界を支えるファンダメンタルズはかつてないほど強固なものとなっており、新しい技術が医療の進歩を促進し、これまで満たされていなかった医療のニーズを持つ患者さんに治療法の選択肢を提供しています。業界の深い専門知識と包括的な治療領域別データを活用し、今年のDrugs to Watchレポートでは、患者さんの転帰に影響をもたらすと考えられる最近の科学的ブレークスルーに基づく革新的な医薬品を特定しています。」
2024年は製薬業界にとって、革新的な一年になることも予想されています。過去10年間の科学的ブレークスルーに裏打ち新しい治療法が臨床的成功を収め、これまで満たされていなかった医療ニーズを持つ患者さんに治療法を提供し始めています。その一方で、医療費抑制に向けた政府の取り組み、高止まりする資本コスト、世界的な地政学的紛争といった外部要因が、このセクターへの投資意欲にブレーキをかけています。 Drugs to Watchレポート2024年度版では、新薬の発見、開発、供給にとって重要なトレンドのいくつかに焦点を当て、ブロックバスターまたは画期的な新薬としての地位を確立するために、今後数年間で重要なマイルストーンを達成するであろう医薬品や新薬候補にスポットを当てています。
Exagamglogene autotemcel (CASGEVY™ /exa-cel) and lovotibeglogene autotemcel (LYFGENIA™/lovo-cel/formerly LentiGlobin™) 発売元: CRISPR Therapeutics and Vertex Pharmaceuticals Inc (exa-cel) and Bluebird Bio (lovo-cel) exagamglogene autotemcel(exa-cel)とlovotibeglogene autotemcelは、鎌状赤血球症(SCD)とβサラセミアに対する初の疾患修飾薬として大きな注目を集めています。exagamglogene autotemcel は、ヒトの疾患の根本的な遺伝的原因を標的とした新しい治療法 を発見および開発するために、CRISPR/Cas9に 焦点を当てて生み出された最初の治療剤です。
Mirikizumab (Omvoh™/ LY-3074828) 発売元:Eli Lilly and Company mirikizumabは、IL-23のp19サブユニットを標的とするモノクローナル抗体(mAb)であり、潰瘍性大腸炎のためのファーストインクラスの治療薬としてEMAおよび米国FDAから承認されています。クラスで3番目のク ローン病治療薬としても承認される可能性が高いと考えられます。Drugs to Watch 2023に含まれていましたが、米国FDAが製造に懸念を示したため上市が遅れ、Drugs to Watch 2024でも引き続き注目しています。
Niraparib + abiraterone acetate (AKEEGA™) 発売元: Johnson &Johnson Innovative Medicine AKEEGA™は、PARP阻害薬(niraparib)と第2世代ホルモン剤(abiraterone acetate)を組み合わせた、最初で唯一の二重作用錠剤(固定用量配合(FDC)錠剤)です。病的変異または病的変異疑いのあるBRCA遺伝子変異転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者への治療薬となり得ることから、より有効な治療薬を必要とするこれらの患者への対応促進に役立つと思われます。
RSVpreF (ABRYSVO™/PF-06928316) and RSVpreF3 (AREXVY/GSK-3844766A) 発売元: Pfizer Inc (ABRYSVO) and GSK plc (AREXVY) RSウイルス(RSV)感染症は、特に乳幼児および高齢者(65歳以上)においては常に公衆衛生上の問題となっています。RSV感染症は、季節性の一般的な上気道感染症の一種で、症状はインフルエンザおよびCOVID-19と類似しており、重症例では入院に至る可能性があります。公衆衛生の専門家が「トリプルデミック」と称している、RSV感染症、 インフルエンザおよび COVID-19の3つの感染症の同時期の流行により、 特に発症リスクが最も高い集団に関して、医療負担が増大しています。 乳幼児および高齢者を対象とした RSVワクチン(RSVpreFおよびRSVpreF3)の初の承認は、公衆衛生上の重要な節目となります。