熟成魚ブームの火付け役 津本氏おすすめ、家で出来る熟成方法も

2023年10月6日
くら寿司株式会社

くら寿司 ニュースレター2023年10月号
10月9日は「熟成の日」&10月10日は「まぐろの日」 《熟成魚ブームの火付け役 津本氏おすすめ、家で出来る熟成方法も》 美味しく、安定した供給を実現!熟成魚の魅力と進化を徹底解剖!

 
 2015年前後にブームとなった熟成肉に続き、美食ワードとして定着しつつある熟成魚。料理人や寿司職人、市場関係者、釣り愛好家など魚に精通した人々の間では、美味しい魚の概念が変わりつつあります。なによりも鮮度の良さだけを重視してきた時代から、濃厚な旨味をもたらす熟成の時代へ。魚の消費量が減少を続け、魚離れが進む日本で、熟成魚が消費を活性化してくれるかもしれないと期待されています。

 日本における魚の熟成の歴史は、江戸時代までさかのぼります。江戸前寿司とは、その名の通り江戸の前(東京湾)で獲れた魚をネタに使った寿司が原点です。冷蔵も流通も発達していない江戸時代、生魚の日持ちがするよう酢や昆布で締めたり、塩や醤油で漬け込んだりして、腐敗しない加工を施しました。現在では、受け継がれてきた技法も用いつつ、食材の美味しさを重視した方法を取り入れ、熟成魚を使った寿司や料理を提供するお店が増えています。

 食材をより美味しくする工夫といえば、塩漬けした鯖やいわしなどを米麹に漬け込むへしこ、塩漬けした魚と米を漬け込むふなずしなどの発酵食もありますが、熟成魚は発酵食ではありません。発酵と熟成の違いは、微生物が関係しているかどうか。微生物の働きによって新たな成分を生み出していくのが発酵。それに対して肉や魚がもともと持っている酵素によってたんぱく質などの分解が行われ、旨味成分であるイノシン酸などのアミノ酸が増加するのが熟成です。

 魚は締められた直後から、時間の経過とともに旨味成分であるイノシン酸が増え熟成が進みます。その一方で進んでしまう腐敗をどのように食い止めるか、というのが熟成魚の課題でした。今回は、魚の長期保存を可能にした「津本式 究極の血抜き」の考案者、宮崎県の仲卸店に勤務する津本光弘氏にインタビュー。熟成という新たな概念や、自宅でもできる魚の熟成方法を教えていただき、熟成の魅力に迫ります。

 また、くら寿司でも、美味しく、そしてリーズナブルな価格で安定的に供給するため、2013年から回転寿司には欠かせないある魚を熟成して提供しています。その商品が2023年8月にリニューアル。美味しい熟成の魅力と新たな工夫をご紹介いたします。

究極の血抜き技術で、熟成魚という新たな価値を創造
魚のプロ達に支持される、津本光弘氏にインタビュー
魚の死後、半日〜5日前後でピークを迎えるイノシン酸の増加を待つことは、熟成が失敗し腐敗するというリスクを抱えることでもあります。「熟成させたい」けれど、「腐敗させたくない」という双方をかなえた「津本式 究極の血抜き」の生みの親、津本光弘氏にお話を伺いました。

津本)魚の仲卸業に携わり30年ほどになりますが、冬の海の水温に近い15〜17度のいけすで生きている魚が美味しい、という考えにずっと違和感があって。海から港、市場と何度も環境を変えて生き続ける魚にエネルギーが残っていると思えなかった。数多くの魚を扱う日々の中で、美味しさに関係するのは鮮度ではなく脱血なのではないか、と考え始めたんです。

――「津本式 究極の血抜き」は、これまでの血抜きとどう違うのですか。

魚の血液は体重の4%だといわれていて、内臓に2%、残りが筋肉中の毛細血管に残る血です。以前はエラ膜を切り、海水を入れたバケツの中で振るという脱血を行っていましたが、それでは完全な脱血ができていなかった。突き詰め始めたのは5、6年くらい前かな。エラ部分から血液のフィルター役を担う腎臓に水を流し込むこと、特殊なノズルで背骨付近に走る動脈へ送水することで、今まで行なってきた中で一番効果的な血抜きが実現しました。

――津本さんが考える熟成魚とは?

僕の血抜きの技術は熟成できる魚をつくる技術であり、魚の熟成の技術ではないんです。血抜きした魚であっても、ただ放置しただけの魚は熟成魚とは呼べません。それはただ古くなった魚です。血抜きした魚を3枚におろし、塩をふるなどのひと手間をかけるところからが熟成の始まりだと思います。3枚におろした後の敵は、水分と酸化。血抜きをして、最適な保存環境を保てば、たいていの魚は10日ほどの熟成が可能、時間が許すなら数カ月かけて熟成させることもできます。

――熟成魚の個性を生かす食べ方をお教えいただけますか。

旨味が濃厚で舌触りのよい熟成魚はシャリとの相性が抜群です。甘めの醤油にポン酢を加えて味わうのもおすすめです。淡泊な白身の熟成魚には柑橘の爽やかさを加えても美味しいです。これからの時代、お寿司でいえばワサビ醤油一辺倒ではなく、どうやって一段上の美味しさに辿り着かせるか、というのが目指すべきところになってくると思います。消費者の皆さんにとって、産地や鮮度がどうこうより、美味しいことが正解なんです。

――熟成魚を通じて、どんな未来を望んでいますか。

これまでより長い期間、美味しく食べられる魚が増えることで、廃棄される魚を減らせればと思います。美味しく食べられるはずの魚が、捨てられてしまう状況をなくしたい。そのためにも、熟成によってこれまで味わったことのない熟成による美味しさ、という付加価値をもっと広めていきたいですね

「津本式 究極の血抜き」の考案者であり、魚のスペシャリスト
津本光弘氏が伝授する、おうちで簡単!熟成魚に挑戦

「魚は新しいか、古いかというだけの価値基準では語れなくなってきています。僕は、買ってきたばかりのコリコリとした弾力だけの魚より、塩ふりなどの加工を施して旨味を増した魚の方が、絶対に美味しいと感じます。一日寝かせるだけで、絶品の熟成魚になりますので、ぜひ試してみてください」と津本氏。今回は、身近なスーパーなどで購入できるサーモン、カンパチ、真鯛など、お好きな魚(柵の状態)を使った、シンプルで簡単な熟成方法を教わりました。

1.ボールに水、氷、塩を入れて海水の3分の1(塩分濃度約1%)の塩水をつくる

2.ボールの中に、買ってきた柵の状態のままの魚を入れて、10〜15分置いておく

3.ボールから取り出したら、吸水ペーパーで魚の水分をしっかり拭き取る

4.別の乾いたキッチンペーパーを敷き、身が下、皮が上になるようにおいて全体に巻く

5.キッチンペーパーの上からラップをしっかり巻き、アルミホイルをかぶせて冷蔵庫に入れる
※冷蔵庫に入れる時も、魚の身が下になるように注意

6.数時間経過したところで、キッチンペーパーを取り換えて余計なドリップを除去する

7.そのまま冷蔵庫で一日寝かせたら、熟成魚の完成
 ※変色した箇所は削り落とす

(津本さんからのひとことコメント!)
刺し身で味わう場合は、米粒くらい少量のガリをのせると、魚の旨味がさらに引き立ちます!

 
津本 光弘(Mitsuhiro Tsumoto)
大阪生まれ。宮崎県に移住し水産卸会社で働きながら、日々、魚を美味しくさせるために研究を続け「津本式 究極の血抜き」にたどり着く。
現在、「津本式 究極の血抜き」は全国の水産会社や料理店など様々な漁業関係者に支持され、活用されることで古い魚の付加価値が上がり、結果的にフードロスの軽減にも繋がっている。
自身のYouTubeチャンネル「究極の血抜き津本式/Tsumoto」や各メディアで発信を続けながら、魚食革命を起こすべく、多忙な日々を送る。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202310060747-O4-Cy0d2268

 
くら寿司の中でも不動の人気ナンバーワンを誇る
熟成まぐろが“ふり塩”によってさらに進化
 1977年の創業時から、「その価格で最高の味を実現する」という経営姿勢の一つとして、最高のクオリティを追求してきたくら寿司のマグロ。時代のニーズに合わせてさまざまな提供方法を追求しながらファンを増やし、今では年間7000万皿、1秒間に4.5皿が売れている不動の人気ナンバーワン商品です。

 回転寿司に関する消費者実態調査2023(マルハニチロ)によると、回転寿司店で最もよく食べるネタは12年連続でサーモン、次いで2位がマグロ(赤身)でした。ただ、赤身、中トロ、大トロを合わせると、男性ではサーモンを超える人気1位がマグロという見方もできます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202310060747-O5-PL3Wx1m4
(引用/https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/news_center/research/pdf/20230316_research_sushi2023.pdf

くら寿司の熟成まぐろが美味しい理由

安定した美味しさを全国に届ける自社加工センター
マグロの旨味を引き出すこだわりの熟成が実現できるのは、1995年に完成した自社加工センター(セントラルキッチン)があるからです。徹底的な管理体制によって全国のくら寿司ファンの方々に安定した美味しさの熟成まぐろをお届けできています。

独自の研究で導き出した濃度の塩水にくぐらせて品質を保つ
自社加工センターに届いた冷凍状態のマグロは、温塩水にくぐらせて解凍を開始します。温水は、解凍時にマグロの色の変化が発生する温度帯を素早く通過させるために、そして塩水は、浸透圧の効果によってマグロに水分が流入するのを防ぐ役割があります。徹底した管理体制の下での温塩水解凍は、長時間かける熟成工程において、不可欠な要素と考えています。

 
2023年、ふり塩というひと手間で熟成まぐろが進化
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202310060747-O6-iF7gt4N2

 2023年8月から「熟成まぐろ」は「ふり塩熟成まぐろ」に。これまでの温塩水による解凍などは継続しながら、熟成に入る前段階でマグロの表面に均等に塩をうつ「ふり塩加工」を取り入れました。均等にふり塩ができるのは、セントラルキッチンを持つくら寿司ならではの強み。まぐろに余計な水分を残さない加工技術と、各店舗に届くころが食べごろになるよう計算された熟成技術により、定番マグロにおいて、くら寿司史上最高峰の美味しさをご堪能いただけます。完成したマグロの旨味を楽しめるよう“1滴の醤油”とともに味わうのがおすすめです。

 ふり塩加工により、事前に余計な水分を飛ばす工程は、ドリップの流出にも大きな差が出ます。(図右側)
 味わいの特徴としては、水っぽさがなくなりねっとりとした食感で、より旨味を感じることができます。もともと濃厚な味わいの「熟成まぐろ」が、ふり塩加工することで更に味わい深くなります。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202310060747-O7-8cJ31zG5
左側はふり塩熟成をしたまぐろ 右側はふり塩をしていないまぐろ

 

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 10/9は熟成の日&10/10はまぐろの日 美味しく、安定した供給を実現!熟成魚の魅力と進化を徹底解剖!