グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、東京におけるオフィス市況について最新のレポートを発表致しました。

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2023年第2四半期 市況
需給
2023年第2四半期末、都心5区グレードAオフィスの空室率は前年同期比1.1pp上昇し4.5%、募集面積率は前年同期比0.4pp上昇の7.3%と小幅に上昇。三田・田町エリア及び浜松町・御成門エリアの新規竣工物件が空室を残して竣工したことが主な要因である。供給要因に影響された当該エリアを除いた空室率は2.8%、前年同期比0.6pp上昇にとどまり、その他のエリアのおける需給は比較的安定していることに留意したい。第2四半期末までの年間ネット・アブソープションをみると、オフィスワーカー数の増加率を若干下回る過去10年平均比5%ほどの上昇にとどまった。

新規竣工物件は、柔軟な賃貸条件を設定し満室稼動での竣工を目指す貸主がいる一方、賃貸条件を下げずに時間をかけてテナント誘致活動を行う貸主もおり、竣工1年以内ビルの稼働率は66.6%となった(下記グラフ参照)。麻布台ヒルズ(港区)の竣工を受けて、今後1年以内に竣工予定の貸室面積は、過去10年平均の8割程に減少するものの、内定率は未だ58.4%。2025年に過去10年平均の2倍以上の大量供給が予定されていること、移転を急がないテナントの移転を後ずれさせることが懸念される。しかし、携帯電話データなどを基に試算すると、都心5区オフィスエリアにおける出社率も2019年の8割を超える水準まで概ね回復。テレワーク導入、フリーアドレス活用、拠点集約等を通じた、賃貸面積の合理化は継続しているものの、大幅な入居面積削減は限定的。新規供給の影響を受け変動しているエリア別空室率も年単位では安定して推移していくと予想される。

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賃料
2023年第1四半期の都心5区グレードAオフィス全体の平均想定成約賃料は前年同期比1.0%減少の34,234円と、緩やかに下落。想定成約賃料の下落幅は募集賃料の下落幅(同マイナス0.6%)を上回り、借り手市場が継続している。物件別にみると、築年における格差(下記グラフ参照)が広がっていることに注目していきたい。コロナ前の2019年第4四半期と当該四半期の空室率と賃料水準を比較すると、バブル経済前後に竣工した築21年以上の物件の落ち込みが最も顕著である。東京都23区では1990年代竣工のオフィスビルが空室全体の3割を占めて最も多く、他の年代のビルと比較して価格競争力が落ちこむなか、テナント需要を喚起できるだけの差別化がもはや難しくなっているとみられる。

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グローバルな傾向と足並みを合わせて、東京においても大規模移転の動きが限られるなか、500坪以下の移転の問い合わせは増加傾向にある。大型新築ビルが多数竣工し、市場での選択肢が増えたこともあり、既存賃貸借契約の見直し時に移転も視野に入れるテナント企業からの問い合わせも増えてきている。当該四半期の都心5区の成約面積は約257千坪と推定され、過去10年平均対比で34%増となっている1ことからも、新規供給に伴う空率面積の増加がテナント需要を喚起していることが確認できる。
更に、外資系ファンドが日本において増員/増床を検討する事例も増加傾向。比較的賃料負担能力が高いテナントは、金融サービス業が集積する丸の内・大手町エリアを志向しており、エリアのトップ・レントを下支えしていくといえるだろう。



売買動向
2023年6月末までの年間オフィス売買額は前年度比28.8%減少。400億円以上の大型取引を除いた場合でみると同34.8%減となり、件数も119件減少した。高品質の大型物件に巨額の待機資金が集中する一方で、全体的には「様子見」姿勢の投資家数が多かったとみられる。属性別では、機関投資が前年比55.1%減、海外投資家は同68.9%減。足許のオフィス需給の悪化が見込まれている中、バリュー・アドの機会が十分に残されている限られた好立地の優良物件に資金が集中。開示されている都心オフィスの取引キャップ・レートベースだけでみれば、 3%程度と緩やかな低下傾向にある。

期中取引では、100億円未満とみられる小規模の取引、2019年以降に改修・竣工した築浅ビル、都心の立地に優れた物件が目立った。リテール向けクラウドファンディングを追い風に過去1年間で受託資産残高が倍増したロードスターキャピタルは、2021年末に竣工したCircles二番町を開発した三菱地所から取得。当該物件の取得価額は2012年に創業した同社においては最大規模の投資であったことと発表している。



アウトルック
実質賃料は緩やかな下落:新規供給が増える中、賃料の価格競争は継続するものの、新規供給による市場全体の賃料水準の引き上げが見込まれるなか、今後二年間の賃料水準はほぼ横ばい、物価上昇の影響を控除したうえでは約4%の下落を見込んでいる。引き続きビル・オーナーにおいては賃貸条件を柔軟に設定していくことを推奨。 ​
空室率は緩やかな上昇へ:都心5区グレードAオフィス空室率は新規供給が需要を若干上回り、二次空室が増加。今後2年間は5%半ばを目処とした緩やかな上昇を見込む。 テナントにおいては、引き続き機動的な移転戦略を推奨する。
金利上昇局面でもキャップレートは低位安定:今後1年間は金利の調整局面、10年国債利回りはコロナ前のマイナス28bpsから6月末はプラス43bpsまで上昇、植田日銀でのYCC の段階的な解除を受けて中立金利とされる80 bps までの上昇も見込まれる。しかし、主要国中銀の金利政策の格差が意識される中、ドル円相場は当面のハードルとなる150円を意識した円安ドル高傾向が継続。投資家においては、追加投資や用途転換も踏まえて投資対象物件を拡大したうえで、物件選別基準を厳格化し、選択的に安値でのポジションを増加していく局面にあるといえるだろう。



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クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2022年の売上高は101億ドルを記録しました。受賞歴のある企業文化や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、環境、社会、ガバナンス(ESG)へのコミットメントにより、業界内外から高い評価を頂いております。詳しくは、公式ホームページ https://www.cushmanwakefield.com/ja-jp/japan にアクセスするか公式ツイッター @CushWake をフォロー下さい。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 C&W、2023年Q2の東京オフィス市況 賃料は下降、空室率は緩やかに上昇傾向