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2022年第3四半期 市況
需給
オフィス需給は引き続き弱含みしている。空室を残した大規模ビルが竣工を迎えたため、期末の都心5区グレードAオフィスの空室率は前年同期比1.4pp上昇となる4.6%となったが、募集面積率は同0.3pp減少の7.3%とほぼ変わらず。サブマーケット別にみると、京橋・八重洲エリアや飯田橋・九段エリアにおいて、ともに空室率は上昇した。高品質のビルに割安な賃料で移転する需要をうまく取り込み、新橋・汐留エリアにおける募集面積率は2021年8月時点の27%のピークからほぼ半減し、募集賃料も底打ち。対照的に、隣接する浜松町・御成門エリアにおける空室率は同9.8pp上昇となる11.8%となった。また、都心へのアクセスが劣る湾岸エリアの募集面積率は総じて二桁台で高止まり、フリーレントを6-12か月提案しても空室が埋まらない事例も散見されている。2023年は虎ノ門、三田、西新宿などで大型供給が予定されているが、期末時点での内定率は43.8%。依然として全体の総需要(ネット・アブソープション)がマイナス圏に留まることなどからも、更なる市況の緩和が見込まれる。
賃料
都心5区グレードAオフィス全体の平均想定成約賃料は前年同期比3.1%減少し34,370円。 全体の下落幅を俯瞰すると、募集賃料の落ち込みを想定成約賃料の落ち込みが上回っており、フリーレント等の奨励金を調整した想定実質賃料の落ち込みは相応に広がっている。こうした落ち込み幅の格差拡大からは ビルオーナーが認識している以上に需給が弱いことが示唆されているといえるだろう。そして、エリア別の動向をみても、浜松町・御成門エリアでは、平均想定成約賃料は前年同期比10%下落、築古ビルの多い銀座エリアなどでも実質賃料の下落が広がりつつある。総体的にみるとグレードの高いビルでの実質賃料の調整が進展してきたことから、玉突き的にグレードの低いビルでの価格調整圧力が波及していくことを見込んでおきたい。
アウトルック
賃料は下落傾向:今後二年間の賃料水準は、6%台を目処とした下落、景気減速を反映して2025年までは賃料下落サイクルが続くことを弊社では見込んでいる。水面下で高価格帯での賃料調整がある程度進んだことから、玉突き的にグレードの低いビルでの賃料下落幅が拡大傾向にある。弊社調査では、最もグレードの高いビル(貸床面積6千坪以上)をダブルA、 さらにグレードBにおいても基準床面積300坪以上をダブルBBとして細分している。このうちダブルA に該当しないグレードAビルでは、価格競争力が下振れ。賃料減額にもかかわらず、空室率頭打ちの兆しが未だ見られない。 ビルオーナーには、早期テナント確保を視野に入れたより柔軟な期間、賃料設定、賃貸条項の交渉を推奨する。
エリア別の空室動向は二極化:今後2年間の都心5区グレードAオフィス空室率は5%台半ばを目処とした緩やかな上昇を見込む。ただし、エリア別空室率には相応の格差が生じており、賃料を減額しても空室が埋まらない事例も増加していくだろう。ビル別に空室状況をマッピング(5ページ参照)すると、総じて周辺地域において空室率が高止まりした状況がわかる。テナントにおいては、大型再開発、利便性の向上が見込まれる都心地区を中心に早めの移転計画を作成することを推奨する。
築古ビルのプライシングに注意:資産クラス別に比較すると、築古の大型物件を多く含むオフィスにおける気候リスク・エクスポージャーは資産価値の約6%程度と最も高い。エクスポージャーの最も低い賃貸住宅と比較すると、割高な規制対応コストだけでなく、管理・維持・運営にかかるコストも趨勢的に増加が見込まれる。円安を伴う景気後退、市況全体の空室率上昇、賃料下落が暫く見込まれる中、投資家においては個別物件のプライシングがますます重要になってくると考えられる。
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