歯の神経を守っていますか?神経を抜いた経験者は 20代で3人に1人、働き盛りのオトナ世代から要注意!

2022/11/4
日本歯内療法学会

一般社団法人 日本歯内療法学会(所在地:東京都豊島区、理事長:佐久間 克哉)は、いい歯の日にあわせて「歯の再治療」に関するアンケート調査を実施しました。昨年11月に同様の調査を発表いたしましたが、今回は20代~60代の勤労中心世代800名に対象を広げ調査しております。

本調査では、20代で神経(歯髄)を抜いた経験がある方は28.1%あり、年代ごとに高まり40代では60.0%に達します。また、むし歯の再治療経験も30代になると30.6%を超え、歯の神経(歯髄)を抜いた再治療経験は40代になると23.8%、60代以降になると33.1%に達し、働き盛りの年代で歯の再治療経験者が増えていく傾向がわかりました。

特に、歯髄を取り除いた経験を持つ方は、歯科医師の定期検診と日々のケアを怠らないことが重要です。本学会では、歯髄を守る大切さや、根の治療の適切な処置を広く発信することで、患者さんや生活者の健康維持に貢献してまいります。

 

むし歯治療の経験は20代で65.6%に達する、歯髄を抜いた経験も28.1%に
 ・  むし歯治療経験は20代で65.6%もあり、神経(歯髄)を抜いた経験も28.1%と3人に1人に達している
 ・  歯髄を抜いた経験は20代で28.1%あり、30代40.0%、40代60.0%と、働き盛りで大きく増加する傾向にある

さらに、むし歯や歯髄を抜いた歯の再治療は30代~40代で大きく増える傾向に
 ・  むし歯の再治療は20代23.1%、30代30.6%、40代44.4%、50代48.8%と30代~40代で増加する傾向
 ・  神経(歯髄)を抜いた歯の再治療も30代15.0%、40代23.8%、50代27.5%と同様の傾向に

歯髄を抜いた歯の箇所を明確に覚えていない人は63.3%、一方で通院頻度に課題も
 ・  神経を抜いた歯は痛みを感じにくく、むし歯に気づくのが遅れリスクも高まる中、歯髄を抜いた歯の箇所を明確に覚えていない方は63.3%と多かった
 ・  一方、政府が国民皆歯科検診の方針を出した中、半年に1回以上歯科検診をされている人は42.3%に留まった

出来るだけ歯髄を残す歯髄温存療法が重要
  ・  歯の神経(歯髄)は痛みでむし歯を知らせる役目もある
  ・  治療箇所が悪化し再度歯の神経部分を治療する根管治療となった場合は、治療難度がより上がる
  ・  歯科医の定期検診と日々のケアを怠らないことが重要

 

 
「歯の再治療」意識調査
                                          
Q1. これまでむし歯の治療をしたことがありますか?

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O5-bs8eb3eW
30代と40代で21.3%とギャップがあり、40代の治療経験は9割に達するなど、お口の健康の曲がり角は30代からを実証する結果となりました。また40代以降は9割以上の人が治療経験ありの状態になります。

 
Q2. むし歯治療で歯の神経(歯髄)を抜いた経験はありますか?

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O4-Lk48xxAS
神経を抜く治療(抜髄)の経験者は全体56.1%ですが、20代で既に28.1%と4人に1人が抜髄している結果になりました。また、30代以降で割合が伸び、40代では60%に達し、歯科医が歯の神経を守ることを重要視する中、働き盛りの期間で抜髄するまでう蝕を悪化させてしまう割合が高い結果になっています。

Q3. 以前むし歯治療した歯を再治療した(している) 経験はありますか? 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O1-HEVI2l35
こちらも30代から40代の伸びが13.8%と高い割合を示した。また、20代で既に23.1%となっている点や、50代から60代以降で11.2%とこちらも高い伸びを示しており、年代問わず、治療した歯のケアが求められる結果となりました。

 
Q4. 以前神経(歯髄)を抜いた歯を再治療(もう一度歯の根の治療)した(している)経験はありますか?
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O2-jy0Y3jZ5
歯髄を抜いた歯の再治療が60代以降で33.1%と3人に1人は治療経験があります。30代から40代では8.8%と増加する傾向も見逃せません。歯髄を抜いた歯は痛みを感じにくく、むし歯に気づくのも遅れがちのため定期的な検診がとても重要です。

Q5. あると回答した人にお聞きします。 神経(歯髄)を抜いた歯がどの歯か覚えていますか?
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O3-e35OjKFY
歯髄を抜いた歯は痛みが感じにくいという特徴がある中、歯髄を抜いた箇所をはっきり記憶していない割合は全体で63.3%であった。また、全く覚えていない割合は年代と共に高まる傾向にあり、治療した歯が多くなるにつれて、どの歯か把握できなくなり、神経(歯髄)を抜いた歯を意識した口腔ケアができていないことが想定されます。

Q6. 現在むし歯治療以外で、歯科医院で検診している頻度を教えてください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O6-WArg7zWh
一般の方々がセルフケアで治療箇所を把握し、状態をチェックすることは難しく、定期的な歯科検診は3~6カ月に1回程度が望ましいと思われます。現状、半年に1回以上の検診は全年代で42.3%と、日本の歯科検診頻度は低いのが現状です。政府より国民皆歯科検診の方針が打ち出された中、頻度向上が今後の課題になっています。

【調査概要】     
 調査主体 : 一般社団法人 日本歯内療法学会
 調査対象 : 20代~60代・各160人(男女80名ずつ)の計800人
 調査方法 : WEBアンケート         
 調査時期 : 2022年10月28日(金)~31日(月)

 
歯の神経(歯髄)とは
歯は、人体の中で一番硬い組織です。その中には、神経と呼ばれる「歯髄」という軟らかい組織が、根の先のほうの小さな孔で、あごの骨の中の神経や血管とつながっています。そのため、歯の痛みを感じ、その異変を察知し、むし歯などの症状を知らせる役目を担っていることがわかります。しかし、歯髄が、むし歯(う蝕)や外傷で、細菌の感染を受けると、強い痛みや、歯肉の腫れを伴うようになります。

このような時に、その歯を救い、さらに長い間機能させるため、歯髄の一部や全部を除去して歯を残す治療が行われます。この治療法は『歯内療法(根管治療)』の領域です。

 
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ミリ単位の治療を行う歯内療法
むし歯の進行度は、C0~C4に分類されます。C0は初期のむし歯、C1はエナメル質のむし歯、C2は象牙質まで進行したむし歯、C3は歯髄まで進行したむし歯、C4は歯の根っこだけ残ったむし歯です。歯髄に進行したむし歯はC3とC4です。その治療法はどのようなものなのでしょうか。

▼C3の治療法

《歯の状態・治療方法》 歯髄という歯の神経に達し、炎症が起きます。穴が深く大きくなるためいつも痛むようになります。歯髄は多くの場合感染しているため、歯髄を取り除き根の治療を行うことがほとんどです。昔は悪い歯はすぐ抜いていましたが、できるだけ歯を残すという考えで、このような治療を行います。

 
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《治療》 歯質の残存の状態により修復の方法は異なりますが、歯髄をとった歯は破損の心配があるので咬む面は保護することが必要になります。根管治療をして歯髄のあった穴を完全に封鎖します。

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▼C4の治療法

《歯の状態・治療方法》 むし歯がもっとも進行した状態です。歯の根(歯根)の部分だけが残って、歯髄は感染し腐敗しています。このためアゴの骨まで感染すると痛みが出たり腫れたりします。健康な歯質がある程度残り、歯根の長さが十分ある場合は、出来るだけ根を残す努力をします。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O8-Ey555mSc
《治療》 根管治療をして歯髄のあった穴を完全に封鎖します。歯の形態を回復して冠をかぶせます。根管の先端は見た目の歯の根の先端から1mm内側にあり、繊細で且つ高度な技術が求められます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202211039207-O11-Sa964JAU
同じ歯で再治療を繰り返すと歯を失うリスクが高まる
今回のアンケートでは、20代から神経(歯髄)を抜いた経験や再治療の経験を持つ方がいらっしゃり、働き盛りのミドル世代で高い割合へ伸びる傾向が見られました。治療を施した歯の状態が再び悪化すると治療難度は高まります。さらに、治療で歯髄がなくなった歯は、痛みを感じにくいためむし歯の発見が遅れる傾向にあります。

このように、治療を繰り返すことは、歯を失うリスクを高めることに繋がります。「オーラルフレイル」が近年注目されるように、長い人生で歯の本数を保持することは健康維持においてとても重要と言われています。すなわち歯の本数保持には、歯髄を守ることが重要と言っても過言でないかもしれません。
歯髄を守る対策は日々歯のケアを怠らないこと、定期的な歯科検診で歯の状態をチェックすること、また普段の生活で歯に痛みを感じたら、放置せず早期に歯科医師への相談し、必要に応じて治療を行うことです。
これらの実践について、歯内療法の専門医にご相談いただき、適切なケアや治療についてアドバイスをもらうことも良いでしょう。歯髄を抜いた歯、そうでない歯も状態をチェックし、ケアを続けることが重要なのです。

日本歯内療法学会からのメッセージ
年齢を重ねるにつれ、むし歯が深く進行し、歯の神経(歯髄)を抜いた経験のある方も増加していく傾向にあることがわかりました。神経のない歯は、神経のある歯に比べてむし歯などによる異変を察知し、その症状の変化を知ることができなくなります。むし歯にならないような早期のケアが重要であるとともに、神経を取った歯では再治療を繰り返さないようにしっかりとした治療を受けることが必要です。

日本歯内療法学会会員の歯科医師たちは、ミリ単位の精度で成功率の高い歯内療法をご提供いたします。また当学会はさらなる研鑽を積み、症例審査、筆記試験、並びに口頭試問を通過した会員に「専門医」の資格を与え、国民が「専門医」を受診し易いように学会のホームページにその名簿を公開しております。
 
日本歯内療法学会HP(http://www.jea.gr.jp/ippan/index-6.shtml

 
日本歯内療法学会 概要

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 <日本歯内療法学会 ニュースレターvol.9>11月8日はいい歯の日、「歯の再治療」意識調査