気候変動に十分に備えている保険会社は全体の8%。これに対し保険契約者の73%が最大の懸念事項としている

キャップジェミニ株式会社

【2022年5月17日、パリ発】 – キャップジェミニEfmaが本日発表したWorld Property and Casualty Insurance Reportは、気候変動が保険業界に打撃を与えていることを明らかにしています。また、気候変動に対応するビジネスモデルの構築に注力する保険会社は、レリバンスと収益性を高めながら顧客からの信頼を深めて有利な立場になると指摘しています。Walking the Talk: How insurers can lead climate change resiliency」レポート第1号では、現代において最も喫緊の課題の1つが、保険業界に与える影響について取り上げています。

ますます増加する気象災害は保険業界にネガティブな影響を及ぼしており、保険会社は今後の損害に対する保護と予防の両方に備えなければなりません。レポートでは以下の点が指摘されています。
  ● 気候変動による世界的な経済損失は過去30年間で250%増[1]。
  ● 保険契約者の73%が気候変動を最大の懸念事項として挙げている。
  ● 顧客の懸念事項を反映し保険会社の約40%が気候変動を最優先事項と位置づけており、保険適用と収益性が主要課題となっている。

過去30年間に保険で補償された自然災害による被害額は3.6倍、保険適用外の被害額は2倍に増加しています 。 [2] レポートでは、このことは懸念事項ではあるものの、保険会社にとっては状況が大きく変化する中で、顧客へのサービス提供の方向転換や再調整を図る機会になる、と提言しています。

将来を見据えた保険会社は、経営やビジネスモデルに気候リスク軽減戦略を導入
顧客志向かつレジリエントなビジネスモデルの構築には、抜本的な変革が必要です。本レポートによると、保険業界の個人および小規模法人顧客の80%超が気候の影響を強く意識しており、過去12か月間に少なくとも1つの持続可能性のある重要な活動を実施していることがわかっています。ただし、調査対象の保険会社のうち、保険のフロントランナーすなわちレジリエンスの勝者(レポートでは、強力なガバナンス、高度なデータ分析力、リスク予防への強い関心、引受業務や投資戦略を通じてレジリエンスを推進する保険会社として説明)はわずか8%に過ぎず、気候変動がもたらす弊害を抑制するにはさらなる変革が必要です。

リスク予防とリスク管理のバランスの必要性
気候変動に対応するレジリエンスを有言実行するには、保険会社が自らのビジネスモデルを見直し、リスク予防とリスク管理のバランスをとる必要があります。レポートの調査結果は、リスクの状況が変化する中で必要な能力を構築するには、「気候変動に対応するレジリエンスの枠組み」が重要であると指摘しています。レポートでは保険会社に対して、現行のリスク評価モデルを見直し、リスク予防を大規模に展開し、さらにサステイナブル投資と引受査定戦略を推進し、排除・ダイベストメントを超えた取り組みを行うことで、レジリエンスあるエコシステムを構築するよう推奨しています。本レポートは、「レジリエンスの勝者」ととされる保険会社について、以下の点に注目しています。

  ● 82%に最高サスティナビリティ責任者あるいは相当する管理者がいる。
  ● 77%近くが製品やサービスに気候リスクデータを組み込みんでいる。
  ● 約60%で機械学習ベースの価格設定モデルの導入が高度な段階にある。
  ● 約53%が衛星データ、リモートセンサー、気象観測所、位置情報、ソーシャルメディアデータ、ESGモデル、水位などの新しいデータソースを利用し、正確できめ細かなリアルタイムのリスク情報を提供している。

キャップジェミニ、グローバル・インシュアランス・インダストリーリーダーSeth Rachlinは次のように述べています。「気候変動の影響により、保険会社はリスクを軽減するために、より大きな役割を設定し果たすことを余儀なくされています。持続可能性を優先する保険会社では、将来のレリバンスと成長に好影響をもたらす長期的で賢明な経営判断が行われています。重要なことは、革新的なリスク移転とリスク予防を調和させ、経営陣が責任を果たし目標達成を最優先することです」

気候変動に対応するレジリエンスは企業の持続可能性戦略にとって不可欠な要素に
本レポートでは、保険会社がレリバンスと収益性を向上しながら気候変動へのレジリエンスを強化するための、3つの重要なアクションが紹介されています。第一に、気候変動に対応するレジリエンスを企業の持続可能性戦略に組み込み、経営幹部に明確な行動を課し、オーナーシップと責任を確保する必要があります。第二に、保険会社のバリューチェーン全体にレジリエンスを組み込み、イノベーションへのアプローチを再構築して、長期目標と短期計画の間のギャップを埋める必要があります。最後に、製品のイノベーション、顧客体験、企業の社会的貢献を中心に据え、テクノロジー戦略を再設計する必要があります。これを実現するために、IoT、クラウド、AI、ML、量子コンピューティングなどのテクノロジーを統合します。

Efma、CEO John Berry氏は次のように述べています。「ほとんどの保険会社が気候変動の影響を認識していますが、気候変動に対応するレジリエンス戦略を策定するための実証的な行動という点では、もっとやるべきことがあります。顧客が気候変動が生活に及ぼす影響に細心の注意を払い続ける中、保険会社は商品持続可能性が業界で果たす基本的な役割を認識し、常に変化する市場で競争力を維持するするために商品を進化させ、独自の取り組みを強調する必要があります」

調査手法
World Property and Casualty Insurance Report 2022は、「2022 Global Insurance Voice of the Customer Survey」および「 2022 Global Insurance Executive Interviews」の2つの調査を主な情報源としています。これらの一次調査には次の29の市場からのインサイトが含まれています。オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、デンマーク、エジプト、フランス、ドイツ、香港、インド、イタリア、日本、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、アラブ首長国連邦、英国、米国

キャップジェミニについて 
キャップジェミニは、テクノロジーの力を活用して企業ビジネスの変革・推進を支援するパートナーシップにおけるグローバルリーダーです。キャップジェミニ・グループは、テクノロジーを通して人々が持つエネルギーを解き放つことで、包摂的で持続可能な未来を目指し、日々まい進しています。私たちは、世界約50ケ国の34万人に及ぶチームメンバーから成る、極めて多様的で責任感の強い組織です。キャップジェミニは、55年にわたって積み上げてきた経験と実績そして豊かな専門知識を活かし、クラウド、データ、AI、コネクティビティ、ソフトウェア、デジタルエンジニアリング、プラットフォームなど、急速に進化するイノベーティブなテクノロジーを原動力として、戦略から設計、オペレーションに至るまで、お客様の幅広いビジネスニーズすべてに対応して、お客様から厚い信頼をいただいています。グループ全体の2021年度の売上は、180億ユーロです。
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Efmaについて
Efmaは、金融サービス機関の意思決定者のネットワーキングを容易にすることを目的として、1971年に銀行および保険会社によって設立された国際的な非営利団体です。銀行や保険会社がイノベーションと変革を推進するための適切な意思決定を行えるよう、質の高いインサイトを提供しています。130カ国以上の120を超える金融グループが加入しています。パリに本部を置き、ロンドン、ブリュッセル、アンドラ、ミラノ、ブラチスラヴァ、イスタンブール、ドバイ、東京、クアラルンプール、ソウルに拠点があります。

【本件に関するお問い合わせ先】
キャップジェミニ株式会社
マーケティング&コミュニケーションズ
marketingjapan.jp@capgemini.com

1 経済損失は、世界で保険対象となる自然災害と保険対象とならない自然災害の合計で構成される
2 Swiss Re Instituteの「Sigma Explorer」を参照した2022年3月14日時点の数字

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 気候変動に対応するレジリエンスの実現には 保険会社によるビジネスモデルの抜本的な変革が必要