皮膚関連やしびれなどの副作用の大半は、治療10年後でも減少がみられなかった

報道関係各位
2022年5月11日

認定NPO法人 乳がん患者友の会きらら
及び 特定非営利活動法人JASMIN

 
乳がん経験者における、皮膚関連副作用に関する意識調査 -乳がん患者会9団体、369名が回答から浮かび上がった実態- 皮膚関連やしびれなどの副作用の大半は、治療10年後でも減少がみられなかった

認定NPO法人乳がん患者友の会(代表:中川 圭)とNPO法人JASMIN(代表:中浜 力)は、乳がん治療経験者における治療後における、皮膚関連副作用の推移を明らかにすること目的に、全国の患者会の協力を得て調査を実施しました。
その結果、60%以上が治療に随伴ずる副作用を自覚し、治療後10年以上経過しても、その諸症状の多くは低減がみられないことが示されました。主な結果は以下の通りです。

●乳がんの治療を経験した女性の60%以上が、手術、薬物、放射線などによる治療に随伴する皮膚関連の副作用を自覚していた

●副作用の種類は、選択した治療法により差がみられる

●乳房、頭髪、爪など皮膚関連部位や、痛み、しびれなどの感覚異常などのなかで、脱毛・髪質の変化以外は、10年以上経過しても低減がみられなかった

出典:Progress in Medicine Vol.42 No.3 2022

乳がん治療を経験した女性を対象としたアンケート調査の結果から、乳がん経験者の多くは長期にわたり皮膚に関連する症状に悩み、負担を感じていることが示されました。さらに、その程度には個人差があることも示唆されました。
医療関係者や患者支援団体、さらには企業をふくむ社会は、この調査結果から示された、乳がん治療経験者の長期にわたる負担を理解していただき、継続的かつ能動的に手を差し伸べ、その低減に努めていただければ幸いと考えます。

本件に関する問い合わせ先:
特定非営利活動法人JASMIN 事務局長 岸  純
kishi@npo-jasmin.org
080-4186-3063

1)特定NPO法人乳がん患者会きららについて
認定NPO法人乳がん患者友の会きららは、乳がん患者とその家族のために、会員相互のボランティアで運営される自助グループとして、有志の患者が立ち上げました。毎月の定例会や、年に一度の500人規模の「乳がんフォーラム」を過去23回継続開催するなど、乳がんに関する情報提供やピア活動を行っています。第23回日本乳癌学会学術総会(2015年)では、「日本乳癌学会ならびに日本の乳がん治療や予防の啓発活動に多大な貢献をした患者団体」として表彰されました。

〒732-0008 広島市東区戸坂くるめ木1-20-2
理事長 中川 圭*
電話:090-7543-6202
https://brcakirara.org

*理事長 中川 圭の活動
・広島県がん対策推進委員会委員
・広島大学病院医療安全監査委員会委員
○これまでの主要経歴
・一般社団法人日本乳癌学会診療ガイドライン患者向け小委員会委員
・がんプロフェッショナル養成プラン「銀の道で結ぶがん医療人養成コンソーシアム」外部評価委員
・一般社団法人日本病理学会「学術研究活動の社会への情報発信」査読委員
・広島県がん対策推進委員会情報提供・相談支援部会委員

2)特定非営利活動法人 JASMINについて
特定非営利活動法人 JASMINは、一般生活者および、医療ならびに関連領域に従事する人々に対し、国内外における医療・保健に関する意見、試験・調査・研究成果、情報の発表および交換を促す機会となる会議やセミナーの開催、教育プログラムの開発、ネットワーク構築等を支援し、かつ、その成果を広く発信する事業を行うことを通して、医療ならびに保健水準の向上に寄与することを目的とし、2009年に東京都の認証を受けて設立された特定非営利活動法人です。これまで、主にがんの薬物療法に随伴する副作用の実態と、その対応を検討する有志のコンセンサス会議を組織し、情報発信に努めてきました。

〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-4 伊豆ビル3階
理事長 中浜 力
事務局長 岸  純
電話: 03-5843-2026
http://www.npo-jasmin.org

調査の目的:
がん治療において皮膚の副作用は頻繁に引き起こされます1)。抗がん剤においては、分子標的薬による皮膚の副作用報告は多数あり2)、また放射線療法においても95%の患者で何らかの形の皮膚損傷が起こると報告されています3)。皮膚の副作用は、そのほとんどが生命を脅かすものではありませんが、完全に避けることは困難であり、また患者の治療計画やQOLに大きな影響を及ぼす場合もあります。そのため、これまでにも薬物療法や放射線療法、手術などの急性期における皮膚の副作用の影響については比較的よく検討されておりますが、その一方で治療が一段落し、日常生活や社会生活を送っている乳がん経験者における長期の皮膚関連症状と、それによる負担は十分に調査されておりませんでした。

一方、乳がん経験者が日常生活や社会生活を営む上で、身体的、精神的に多くの負担を抱えることは、医療者の視点、あるいは、患者会の視点で日々感じていることでした。

今回の調査では、乳がん経験者が抱える身体的負担の一つと推定される、治療に随伴する、長期に及ぶ皮膚関連症状と、それに対する本人の意識、負担感を知ることを目的としてアンケート調査を実施しました。対象は全国の乳がん患者団体の会員、あるいは関係する20歳以上の女性乳がん経験者とし、回答は、郵送による回答、あるいはホームページ上に設けられた回答用特設ページを通じて行う事としました。

今回の調査によって、新たに乳がん治療後の皮膚関連症状と、その日常生活への影響が明らかにされることで、患者自身や医療者、さらには社会的な認識を高め、乳がん患者の治療後のQOL維持向上を支援することの必要性が示されることを期待いたしました。

1) 野澤桂子. アピアランスケアとは. 野澤桂子、藤間勝子編 南山堂;2017. P2-18
2) 山本有紀ほか EGFR阻害薬に起因する皮膚障害の治療手引き 臨床医薬, 2016 32(12):941-949
3) McCuestion M. Evidence-based skin care management in radiation therapy: clinical update. Semin Oncol Nurs, 2011 May;27(2):e1-17.doi: 10.1016/j.soncn.2011.02.009.

調査の主体:
本調査は、以下により企画・実施されました。(調査期間:2020年3月20日~6月15日)
1) 身原京美(身原皮ふ科・形成外科クリニック院長)
2) 認定NPO法人乳がん患者友の会きらら
3) 特定非営利活動法人JASMIN

身原京美1):調査計画の立案、調査票案の検討および調査結果の分析
中川 圭2):調査計画の立案、調査票案の検討および調査結果の分析
大石敏実2):調査方法の立案、調査票案の検討および調査結果の分析
岸  純3):調査方法の立案、調査の実施および調査結果の分析

 
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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 乳がん経験者における皮膚関連副作用に関する意識調査 -乳がん患者会369名が回答から浮かび上がった実態