学生が企業の一員となり9ヶ月間、対話型チャットBotの開発に取り組む。

生み出された成果物は顧客への展開も。
学生が企業の一員となり9ヶ月間、対話型チャットBotの開発に取り組む。
株式会社別川製作所と産学協同教育「KITコーオプ教育プログラム」を実施。

株式会社別川製作所(石川県白山市)との産学協同教育「KITコーオプ教育プログラム」が2021年度行われ、情報工学科4年の須山大輝さんが2021年6月から2022年2月までの9ヶ月間、週3日のペースで株式会社別川製作所の"社員"となり、対話型チャットBotの開発に取り組みました。
LINEの活用に興味があった須山さんは、AIやIoTを用いた課題解決に取り組む株式会社別川製作所 企画開発室で、企業向けクラウド型ビジネスチャットツール「LINEWORKS」を利用して「勤怠管理Bot」と「点検・最終退社チェックBot」を開発。株式会社別川製作所では須山さんが生み出した成果物を今後、顧客むけ製品として展開を検討していく考えです。

【須山さんが開発した「点検・最終退社チェックBot」の概要】
最終退社時のチェック項目をBotと対話しながら確認・報告していくもので、最終退社時に、エアコンやPC、コピー機、プリンター、シュレッダー、給湯室のポット等の電源を切るという指示がLINEWORKSのトークルームで都度、指示され、「完了」のボタンを押していくことで、最終退社時の作業を確認しながら行えます。エアコンは別川製作所が開発したcreerプラットフォームと呼ぶ各種IoTデータを取り込むDXプラットフォームと連動しているため、運転中の台数も把握でき、また電源を落とす機器の場所はトークルームにフロアマップが表示されるため、とても便利なシステムになっています。

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203289197-O1-uXEEjou3
KITコーオプ教育の成果発表を行う須山さん(別川製作所 2022年3月4日)

【9ヶ月間のKITコーオプ教育を終えた須山さんのコメント】
課題から要件定義・技術調査・システム設計・製作・動作検証まで、ソフトウェア開発サイクルを一通り、経験することで、授業が実務につながっていることが実感できました。企業で実際にプロジェクトに携わることで、なぜそれを行うのかという目的意識の大切さや、ディスカッションの重要性、手法はひとつではないこと、報告や提出は相手の時間を考え、余裕を持って行うことの大切さも実感できました。今まで苦手のことは、やる前から諦めることが多かったのですが、今回の体験を通して「やればできる」ということを実感できてよかったです。

【実務家教員とし須山さんの指導にあたった別川製作所企画開発室 中富ゆう子チームリーダーのコメント】
インターンシップは短期のため、どうしても作業的な業務を経験してもらうことが多かったのですが、今回のようなコーオプ教育は、プロジェクトなど、ある程度の期間を必要とする仕事を経験してもらうことができます。大学の授業が企業や社会にどのように活かされるのかを経験することは、授業の意義が実感でき、学生のうちに学びを深めることができます。入社時点で他の新入社員よりも社会人としての知識・経験があることで、戦力になるまでの期間の短縮が見込め、企業にとっても本人にとってもかなりプラスになります。また企業側にとっては、学生ならではの発想や視点が得られ、大学の研究室からの技術指導、アドバイスも受けられるのもメリットだと感じました。勤怠管理Botや最終退社チェックBotの成果は今後のお客様への展開にもつながるもので、大きく貢献してくれました。コーオプ教育は企業・社会に貢献できる有意義な教育だと感じました。ぜひ今後も続けていただけたらと思っています。

【KITコーオプ教育プログラムについて】
コーオプ教育(Cooperative Education.)は20世紀初頭に米国で始まった産学協同教育で、「大学のカリキュラムと、これと同レベルの高い完成度の教育価値を持つ就業体験」が融合したものです。

学生にとっては理論と実践の両面を効果的に学ぶ理想的な教育プログラムであり、企業にとっては企業内研修やOJT(On­the-Job Training)に時間やコストをかけにくくなっている状況の中での新たな専門人材育成プログラムになります。

金沢工業大学では学部4年次と大学院生を対象に「KITコーオプ教育プログラム」として実施しています。履修者は、大学院生の場合は大学院科目「コーオププログラム」の単位として認められます。また、大学院進学予定の学部4年次の場合は、卒業研究に相当する「プロジェクトデザインIII」の活動の一環とするか、大学院科目「コーオププログラム」にあてることができます。 大学と企業が共同して学生に社会実装型の教育実践フィールドを提供することが可能となるコーオプ教育プログラムを核として、「新たな産学協同のプラットフォーム」を形成し、これまでにない製品やサービスの創出を目指すほか、独自ブランド化を共に目指す人材育成システムの構築を目指します。

プログラムの特徴
●企業の社員として4カ月以上の長期間、勤務。
●業務内容について事前に大学と企業で打ち合わせを行い、学生の専門力を把握したうえで業務内容を決定
●企業担当者を実務家教員として招聘
●教育評価の上でも指導教員と連携した教育主導による教育評価を実施。事前学習の実施において企業との連携によりコーオプ教育プログラムの教育効果をさらに高める取り組みを実施
●学生の積極的なコーオプ教育プログラム参加を促すためのキャリア教育を通じた意識の醸成を行う
●正課・正課外で身につけた知識・スキルを活かして、企業での実践的な問題発見解決業務に従事することで、新しい価値を生み出せるイノベーション力を持つ「自ら考え行動する技術者」の育成を産学協同で実現

【株式会社別川製作所と「KITコーオプ教育プログラム」を実施した経緯】
金沢工業大学では2020年度、工学部情報工学科の松井くにお教授の研究室(専門:人工知能)が株式会社別川製作所 企画開発室と、約1年間にわたって共同研究を行い、AIおよびARを活用して工場設備の異常検知に役立てるAndroidアプリの研究開発に取り組みました。
誰にも身近なスマホアプリの機能と株式会社別川製作所 企画開発室が展開するAI・IoTを駆使した分析機能を連携させ、新たな価値、サービスの創出の可能性を追究したもので、録音、解析、通知までをスマホ一台で完結。実用化への一歩を踏み出しています。この共同研究がきっかけとなり、金沢工業大学は株式会社別川製作所と2021年5月、「産学協同教育実施に関する協定書」を締結。2021年6月からKITコーオプ教育が始まりました。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 株式会社別川製作所と産学協同教育「KITコーオプ教育プログラム」を実施