2022年3月22日

株式会社 明治

グミの咀嚼が唾液分泌を促進し、口腔内の潤い対策に貢献
唾液分泌量の増加に伴った唾液中分泌型免疫グロブリンAの迅速な放出を確認
~日本農芸化学会2022年度大会にて発表~

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は鶴見大学歯学部の斎藤一郎教授と共同で、グミまたはガム咀嚼が唾液分泌に与える影響について調査した結果を、2022年3月15日~18日に開催された日本農芸化学会2022年度大会にて発表しました。
 本研究から、グミはガムと比較して咀嚼時の唾液分泌速度を高める効果が期待され、素早く口腔内を唾液で潤すことが示唆されました。また、このとき口腔中には咀嚼前と比較し、唾液分泌量の増加に伴い多くの分泌型免疫グロブリンA(以下、sIgA)※1が放出されていることも明らかとなりました。

【発表内容の結果概要】
 サクソンテスト※2にて唾液量が2~6gの健常な50歳以上65歳以下の女性(N=22名)を対象に、試験食品の咀嚼開始から2分後までの唾液分泌量、唾液分泌速度、および唾液中のsIgAについて評価を行いました。
 その結果、試験開始から終点(0-2分)までの累積唾液分泌量および唾液分泌速度はガムと比較しグミで高い値を示しました。また、試験食品咀嚼前の安静時唾液と、グミまたはガム咀嚼時の唾液に含まれるsIgAを比較したところ、グミおよびガムの咀嚼によって口腔中に放出されるsIgA量は唾液分泌量の増加に伴って向上することが分かりました。

<発表内容>
【演題名】
「グミ咀嚼が唾液分泌に与える効果に関する探索的研究」

【背景】
 超高齢社会の進行に伴い口腔機能の低下が深刻化している中、口腔内が乾燥する悩みを抱える生活者は多いと言われています。口腔内の乾燥は唾液の自浄作用低下等から細菌の増殖を促し、う蝕、歯周病だけでなく口臭の悪化、感染症リスクの増大に繋がることから、この対処法についてグミおよびガム咀嚼による唾液分泌量および唾液分泌速度に与える効果について研究を行いました。

【方法】
 被験者は、サクソンテストにて唾液量が2-6gの健常な50歳以上65歳以下の閉経後の女性(N=22名)を対象とし、ランダム化オープンラベルクロスオーバー試験※3にて実施しました。また、本試験では一般的なグミとガムの違いを見るためにガムは市販のミントガムを使用し、グミは一般的な市販グミと類似の処方とした当社調整グミを使用しました。

【結果および考察】
研究の結果、以下の結果が得られました。
①グミではガムと比較して累積唾液分泌量および唾液分泌速度が有意に高かった(図.1)
②グミは咀嚼初期の唾液分泌に優れ、ガムは安定した唾液分泌を促す(図.2)
③グミまたはガムの咀嚼による唾液分泌量の増加に伴って、口腔中には咀嚼前と比較し多くのsIgAが放出されている(図.3)

 以上の結果から、グミは噛み始めの強い咀嚼刺激と良好な崩壊性から得られる味覚刺激により素早い唾液分泌促進を可能にしていると考えられます。一方、ガムは持続性のある弾力から安定した咀嚼刺激が得られ、継続的な唾液分泌促進効果が得られるものと考えられます。
 今回の結果から、グミおよびガムを咀嚼することが口の潤い低下に悩まれる方の対処法として効果を示すことが期待されました。
 今後は、より研究を重ねることで、食感に特徴を持つ食品の咀嚼を通して口腔環境の改善に繋がるデータ収集および情報発信を継続していきたいと考えています。


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202203228918-O2-mu6Czn43
図.1グミ及びガム咀嚼時の累積唾液分泌量と唾液分泌速度


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202203228918-O3-Ttb6PEQ1
図.2グミ及びガム咀嚼による唾液量の経時的変化


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202203228918-O4-Mqszs01S
図.3咀嚼前後のsIgA濃度変化と唾液中sIgA量

※1 分泌型免疫グロブリンA:免疫の「抗体」の一種で、主に口腔、鼻や目、消化管などの粘膜に存在し、ウイルスや細菌などの異物の侵入を防ぎます。
※2 サクソンテスト:ドライマウス診断方法の一種。2分間ガーゼを咬み、ガーゼに吸収される唾液量から診断され、2g以下の場合、ドライマウスと診断されます。
※3 ランダム化オープンラベルクロスオーバー試験:試験食品などの効果を公平に評価するため、試験参加者のグループ分けをランダムに行う試験です。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 グミの咀嚼が唾液分泌を促進し、口腔内の潤い対策に貢献