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アッヴィ合同会社
アッヴィ、ウパダシチニブ水和物について、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に対する成人患者さんの治療薬として、日本における適応追加承認を申請
- 体軸性脊椎関節炎は10代~30代での発症1が多い炎症性疾患
- ウパダシチニブは治療選択肢拡大の可能性を持つ1日1回投与の経口剤として開発中
- X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎を有する患者さんを対象とした、日本を含む国際共同第 III 相試験のデータから得られた結果に基づく申請
アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長 : ジェームス・フェリシアーノ)は、本日、ウパダシチニブ水和物(以下、「ウパダシチニブ」)について、既存治療で効果不十分なX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(以下、「nr-axSpA」)の成人患者さんに対する治療薬として適応追加承認を申請しました。ウパダシチニブは低分子のJAK阻害剤で、nr-axSpAを適応症とする1日1回投与の経口剤として開発中です。
体軸性脊椎関節炎は、主に脊椎や仙腸関節など体軸骨格が侵される一連の炎症性疾患で、強直性脊椎炎(以下、「AS」)およびnr-axSpAの2つに大別されます。AS患者さんでは、X線画像で明らかな仙腸関節の構造的損傷が認められますが2、nr-axSpAでは臨床的にX線画像で仙腸関節の構造的損傷を示す明確な画像所見が認められません2。AS、nr-axSpAともに、疾患の原因は未だ明らかとなっていませんが、遺伝的な要因が関与していると考えられています。
また、日本におけるnr-axSpAの有病率は、欧米など他地域と比較して0.0006%3と低く、国内では稀な疾患の1つとも言えます。日本人患者さんを対象とした疫学調査では、nr-axSpAの推定発症年齢は、男性では10代と30代、女性では30代にピークを認めると報告されています1。
nr-axSpAに対する治療として、国内では非ステロイド系抗炎症薬(以下、「NSAID」)が第一選択薬とされています。2種類以上のNSAIDを計4週間以上使用しても効果不十分である患者さんに対しては生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による治療が推奨されています4,5。
しかしながら、NSAIDで効果不十分となり、より高度な全身治療を必要とする場合、利用可能な生物学的製剤はいずれも皮下投与となります。こうした状況から、患者さんに負担の少ない治療選択肢へのアンメットニーズがあると考えられます。
アッヴィはこうしたnr-axSpA患者さんのアンメットニーズに応えるため、nr-axSpAを適応症とする1日 1回投与の経口剤として、ウパダシチニブの開発に着手し、このたび適応追加を申請しました。
今回の申請は、2種類以上のNSAIDで効果不十分又はNSAIDに不耐容/禁忌であった活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の成人患者さんを対象とした、日本を含む国際共同第 III 相試験(M19-944 試験 Study 2)の結果に基づいています。
体軸性脊椎関節炎(axSpA)について
体軸性脊椎関節炎は、脊椎に発症し、背部痛、運動制限および構造的損傷を引き起こす慢性の炎症性疾患です2。臨床的に強直性脊椎炎(AS)またはX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)と定義された2つのサブセットで構成されます2。強直性脊椎炎の患者さんでは、X線画像で明らかな仙腸関節の構造的損傷が認められます2。X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎は、臨床的に単純X線撮影で仙腸関節の構造的損傷を示す明確な画像所見がないことと定義されます2。
ウパダシチニブについて
アッヴィが自社開発したウパダシチニブは、低分子の選択的JAK阻害剤で、複数の免疫関連疾患の治療薬として開発が進められています。本剤は機能的選択性を示し、JAK2のペアを介してシグナルを伝達するサイトカイン受容体と比較して、JAK1またはJAK1/3を介するシグナル伝達を優先的に阻害します6。ウパダシチニブは2020年1月に、既存治療で効果不十分な関節リウマチの患者さんに対する治療薬として日本における製造販売承認を取得しました。また、2021年5月には、既存治療で効果不十分な関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、8月には既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する治療薬として、適応追加承認を取得しました。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、Instagram、YouTubeやLinkedInやでも情報を公開しています。
日本においては、1,400人を超える社員が、医療用医薬品の開発、輸入、製造販売に従事しています。自己免疫疾患、肝疾患、神経疾患、がんの各領域を中心に、患者さんの人生を豊かにしたいと願い、日々の業務に取り組んでいます。詳しくは、www.abbvie.co.jpをご覧ください。
1.厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)分担研究報告書 強直性脊椎炎全国疫学調査に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202011012A-buntan1.pdf Accessed February 28, 2022.
2.Deodhar AA, Understanding Axial Spondyloarthritis: A Primer for Managed Care. Am J Manag Care. 2019;25:S319-S330.
3.Matsubara Y, Nakamura Y, Tamura N, et al. A nationwide questionnaire survey on the prevalence of ankylosing spondylitis and non-radiographic axial spondyloarthritis in Japan. Mod Rheumatol. 2021.
4.脊椎関節炎診療の手引き 2020. 日本脊椎関節炎学会,厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「強直性脊椎炎に代表される脊椎関節炎の疫学調査・診断基準作成と診療ガイドライン策定を目指した大規模多施設研究」班. 診断と治療社. 2020.
5.日本リウマチ学会. 乾癬性関節炎(関節症性乾癬,PsA),強直性脊椎炎(AS)および X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)に対するインターロイキン(IL)-17阻害剤使用の手引き(September 2021) https://www.ryumachi-jp.com/pdf/guide_IL-17_PsA_AS_nr-axSpA.pdf
6.RINVOQ [Summary of Product Characteristics]. AbbVie Deutschland GmbH &Co. KG;Jan 2022.Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/rinvoq-epar-product-information_en.pdf