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アッヴィ合同会社
アッヴィ、ABBV-951(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物)について、進行期パーキンソン病患者さんの治療薬として、日本における製造販売承認を申請
- パーキンソン病は患者数が増加傾向にある指定難病1
- ABBV-951は外科的手術を必要としないホスレボドパおよびホスカルビドパ水和物の持続皮下注射剤
- パーキンソン病治療におけるアンメットニーズに応える、新たな治療選択肢の可能性
アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長:ジェームス・フェリシアーノ)は、本日、ABBV-951(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物)について、進行期パーキンソン病患者さんの治療薬として製造販売承認を申請しました。ABBV-951は、レボドパ/カルビドパ(以下、「LD/CD」)の分子構造を改良してアッヴィが開発した、ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物から成る製剤であり、外科的手術を必要としない持続皮下注射剤として開発中です。
パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が壊れ、ドパミン産生量が減ることによって発症します。大脳皮質からの指令が筋肉に伝わることによって体は動きますが、この大脳皮質の指令を調節し、体の動きをスムーズにしているのがドパミンです。 ドパミンが減ると、体が動きにくくなったり、ふるえが起こりやすくなったりします。そのためパーキンソン病は、振戦(ふるえ)、筋固縮、動作緩慢や平衡障害などの症状を特徴とした進行性かつ慢性の神経障害であり2、根治療法は未だ見つかっていません。パーキンソン病は50代ごろから症状がみられ、日本国内における患者数は約16万人と年々増加傾向にある指定難病です1。
現在、パーキンソン病薬物治療では、LD/CDの併用が標準治療とされています3。レボドパ(以下、「LD」)は脳内で代謝されドパミンに変わりますが、末梢(脳内に移行する前)の段階で代謝されてしまうと脳内へ移行できなくなります。そのため、末梢でのLDの代謝を抑えるカルビドパ(以下、「CD」)の併用により、LDが脳内で代謝され、ドパミンに変わることで効果を発揮します。
しかし、疾患の進行に伴い脳内のドパミン濃度が不安定になり、経口LD/CD薬の頻回な服用が必要となります。一部の患者さんでは平均10-11錠/日の経口投与により、患者さんおよび介護者の双方の負担が大きくなります4。また、疾患の進行に伴い、経口薬、貼付薬、皮下注射剤といった治療では適切な症状のコントロールが困難となることがあります。こうした症状のコントロールが困難な進行期パーキンソン病患者さんに対する治療選択肢として現在利用可能な治療方法は、手術を必要とするデバイス補助治療が主となり、侵襲性が低く、入院や術後の管理などの患者さんへの負担が少ない、新たな治療選択肢へのアンメットニーズがあると考えられます。
アッヴィはこうした状況を背景にABBV-951の開発に着手し、このたび国内での製造販売承認を申請しました。今回の申請は、複数の第I相/III相臨床試験の結果に基づいています。なお、日本と同様にアンメットニーズが存在する世界各国においても、今後ABBV-951の申請が予定されています。
パーキンソン病について
パーキンソン病の患者数は全世界で1,000万人以上といわれています5。パーキンソン病は振戦、筋固縮、動作緩慢および平衡障害を特徴とする進行性かつ慢性の神経障害です2。パーキンソン病の運動症状は、脳におけるドパミン産生細胞の消失によって引き起こされ、ドパミン産生細胞の約60~80%が消失した時点で発現し始めます2。症状は経時的に緩徐に悪化し続けます6。パーキンソン病に対する根治的治療法は知られていませんが、症状の軽減に有用な治療法があります7。
パーキンソン病が進行すると、「オン」状態(症状が概ねよく制御されている)から「オフ」状態への変動が起こります。この間、振戦やこわばりが再び出現し、動作がさらに困難になります8。日常活動を著しく妨げるジスキネジア(不随意運動)が現れることもあります9。運動機能の日内変動やジスキネジア等の運動合併症の発現は、病気の進行とレボドパ濃度の変動に起因し、治療開始2~5年後に50%、治療開始10年で約80~100%の患者さんで報告されています9。
ABBV-951について
ABBV-951(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物)は、持続皮下注射用のLD/CDのプロドラッグ溶液で、経口治療薬で運動症状を制御できない進行期パーキンソン病の治療薬として現在試験が進行中です。
神経疾患領域におけるアッヴィ
アッヴィは、神経・精神障害を抱える患者さんがその人らしく生きるため継続した取り組みを行っています。この未踏の地への挑戦を重ねるごとに、患者さん、介助者や臨床医の皆さんのためにソリューションを発見し提供していくという固い決意と情熱を抱き前進しています。当社の神経疾患領域のポートフォリオは、アルツハイマー病、双極性障害、うつ病、片頭痛、パーキンソン病、脊髄損傷、脳卒中後痙縮、統合失調症、脳卒中等の神経・精神障害に対する承認された治療法と強固なパイプラインで構成されます。
当社は神経疾患分野の研究に積極的に投資を行っており、マサチューセッツ州ケンブリッジおよびドイツのルートヴィヒスハーフェンに研究施設Neuroscience Discoveryを構えます。当社はこの難しい治療領域における研究とレジリエンスにより、神経・精神障害についての病態生理への理解を深め、人々の生活に変化をもたらす疾患修飾療法へと繋がる可能性のある創薬ターゲットを探求しています。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、Instagram、YouTubeやLinkedInやでも情報を公開しています。
日本においては、1,400人を超える社員が、医療用医薬品の開発、輸入、製造販売に従事しています。自己免疫疾患、肝疾患、神経疾患、がんの各領域を中心に、患者さんの人生を豊かにしたいと願い、日々の業務に取り組んでいます。詳しくは、www.abbvie.co.jpをご覧ください。
1.厚生労働省 平成29年患者調査(傷病分類編)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/dl/h29syobyo.pdf Accessed February 17, 2022.
2.About Parkinson's: Parkinson's 101. The Michael J. Fox Foundation for Parkinson's Research. Available at: https://www.michaeljfox.org/understanding-parkinsons/i-have-got-what.php#q2. Accessed October 27, 2021.
3.Varanese S, Birnbaum Z, Rossi R, et al. Treatment of advanced Parkinson's disease. Parkinsons Dis. 2011;2010:480260.
4.Bhimani R. Understanding the burden on caregivers of people with Parkinson's: a scoping review of the literature. Rehabil Res Pract. 2014;2014:718527.
5.Statistics. Parkinson's Foundation. Available at: https://www.parkinson.org/UnderstandingParkinsons/Statistics#:~:text=More%20than%2010%20million%20people. Accessed October 27, 2021.
6.Parkinson's Disease: Challenges, Progress, and Promise. National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Available at: https://www.ninds.nih.gov/Disorders/All-Disorders/Parkinsons-Disease-Challenges-Progress-and-Promise. Accessed October 27, 2021.
7.Parkinson's Disease. National Institute on Aging. Available at: https://www.nia.nih.gov/health/parkinsons-disease. Accessed October 26, 2021.
8.Wearing off and motor fluctuations. European Parkinson's Disease Association. Available at: https://www.epda.eu.com/about-parkinsons/symptoms/motor-symptoms/wearing-off-and-motor-fluctuations/. Accessed October 27, 2021.
9.Freitas ME, Hess CW, Fox SH. Motor Complications of Dopaminergic Medications in Parkinson's Disease. Semin Neurol. 2017;37(2):147-157. doi:10.1055/s-0037-1602423).