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上原美術館の収蔵品から選りすぐりの作品を紹介する「上原コレクション名品選」。今回は、花をテーマにした展覧会と、作品にこめられた祈りのかたちや文字にスポットを当てた展覧会を開催します。
近代館の企画展「花かおる絵画」は、上原コレクションの中から、花のかおりただよう絵画を集めました。ルドンが描く幻想的な≪花瓶の花≫や、林檎の花の甘い香りが田園風景に広がるピサロ≪エラニーの牧場≫など、美しい花々の競演をお楽しみください。
仏教館は「祈りの文字 祈りのかたち」と題して、洋の東西を問わずに祈りに込められた「文字」や「かたち」に着目して作品を展示しています。江戸時代の禅僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)が禅の境地を描いた≪達磨図(だるまず)≫や、ルオーが描いた≪キリスト≫など、さまざまな祈りの「かたち」をご紹介いたします。
展覧会概要
1)展覧会名 上原コレクション名品選
【近代館】 花かおる絵画
【仏教館】 祈りの文字 祈りのかたち
2)会期 2022年1月22日(土)~4月17日(日) 86日間
3)開館時間 9:30–16:30(最終入館は16:00まで)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、変更となっております。
4)会場 上原美術館 近代館・仏教館 〒413-0715 静岡県下田市宇土金341
5)料金 一般1,000円/学生500円/高校生以下無料
※団体10名以上10%割引
※障がい者手帳をお持ちの方は半額になります
当館では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ご来館のお客様へ以下のご協力をお願いしております。
―ご入館時のお願い
・マスクの着用をお願いいたします。(お持ちでない方には、マスクをお渡ししています)
・手指消毒の徹底をお願いいたします。(アルコール消毒液をご用意しております)
・「検温」および「体調確認書」のご記入にご協力ください。
※体調不良の方には、入館をご遠慮いただく場合がございます。
・「3密」を避けるため、やむを得ず入館制限をする場合がございます。
・ラウンジでのお飲み物のサービスを当面の間、休止させていただきます。
―当館での取り組み
・職員は毎日検温し、マスク着用にて応接させていただきます。
・感染症拡大防止のため、受付への飛沫防止アクリル板の設置、手指消毒液の設置、マスクの準備、定期的な館内清掃を強化しております。
―展覧会の見どころ
【近代館】 花かおる絵画
■ ルドンやピサロ、安井曽太郎らが描く花の競演
「梅の花 香をかぐはしみ 遠けども 心もしのに 君をしぞ思ふ」(市川王、天平宝字2[758]年、万葉集)。これは今から1200年以上前に、梅の香りに託して敬愛の心を詠んだ歌です。古来より花の香りにはさまざまな思いが重ねられ、また花そのものの美しさも多くの人々を魅了してきました。花は絵画の題材としても親しまれてきましたが、描かれた花の香りもイメージしてみると、そこには豊かな空間が広がっていきます。
本展では花をテーマにルドンやモネ、ルノワール、マティス、梅原龍三郎らが描いた花の香り漂よう作品をご紹介します。ルドンが描いた≪花瓶の花≫は、アネモネをはじめ、色とりどりの花が咲き乱れています。現実の花が無限の世界と合流するかのように混じりあうその香りは、パステルの不思議な色彩と相まって見る者を幻想的な世界へと導きます。
ピサロの≪エラニーの牧場≫は、牛が草をはむのどかな牧場に林檎の花が咲き誇り、花の甘い匂いが今にもただよってきそうです。さわやかな春の空気が伝わってくる作品です。
■ 新収蔵・初公開となる2点の桜!安井曽太郎≪桜と鉢形城址≫と須田国太郎≪しだれ桜≫
当館で新収蔵した花の作品2点を初公開します。≪桜と鉢形城址≫は、安井曽太郎が埼玉県寄居町(よりいまち)に疎開した1945(昭和20)年に描いた桜の風景。これまでほとんど展覧会に出品されていない大作で、「再発見された幻の名品」です。
須田国太郎≪しだれ桜≫は、画家の円熟期に描かれた京都のしだれ桜。背景から浮かびあがる幽玄な花は西洋東洋のジャンルを越えた不思議な美が漂います。
【仏教館】 祈りの文字 祈りのかたち
■ 洋の東西を越えた祈りのかたち
仏教館は洋の東西を問わず、絵や文字に込められた「祈り」に注目し、写経や仏像、キリストの聖像(イコン)などをご紹介します。
江戸時代に活躍した沼津出身の僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)。白隠は仏の教えを優しく解きあかし、広く人々に伝える手段として、その生涯に多くの書や絵を描きました。当館所蔵の≪達磨図≫は、ぎょろりとした目で上方をにらむかのような達磨を、画面中央に大きく描き、禅の言葉「見性成仏(けんしょうじょうぶつ)」が書き添えられています。墨のみで表現された世界は、禅の境地を伝えるようです。
また仏の教えを伝える経典は文字一つひとつに祈りをこめて書写されました。奈良時代に書写された≪中阿含経(ちゅうあごんきょう)≫は約9mの長さの経典ですが、経文の最後まで謹厳な書体で書かれ、緊張感が伝わってくる作品です。ほかにキリスト教の東方正教会でもちいられる独特な表現で17世紀ころに描かれた≪聖母子像≫、重厚な輪郭線や個性的な色彩が魅力的なジョルジュ・ルオー≪キリスト≫、当館コレクションの顔の一つでもある≪十一面観世音菩薩像≫などの仏像もあわせて展示いたします。
―主な出品予定作品
[近代館]
1.オディロン・ルドン≪花瓶の花≫ 1910年頃 パステル・紙 55.0×40.0cm
2. カミーユ・ピサロ≪エラニーの牧場≫ 1885年 油彩、カンヴァス 54.5×65.5㎝
3. アンリ・マティス≪読書する女性≫ 1922年 油彩、カンヴァス 24.5×33.5㎝
4. 安井曽太郎≪桜と鉢形城址≫ 1945(昭和20)年 油彩、カンヴァス 60.2×72.7㎝ 新収蔵・初公開
[仏教館]
5. 白隠慧鶴≪達磨図≫ 江戸時代 紙本墨画
6. ≪中阿含経巻五十一≫ 奈良時代(8世紀) 紙本墨書
―広報用画像
※画像掲載をする場合、作品クレジットの明記をお願いいたします。
※記載のないものはすべて当館蔵です。