半数以上がアライの考え方に共感も知識不足で行動に至らない実態が明らかに

2021年5月26日
P&Gジャパン合同会社

LGBTQ+への理解者・支援者を育成する「アライ育成研修」ローンチに先駆け調査
6月はプライド月間! LGBTQ+とアライ(理解者・支援者)に関する全国調査

LGBTQ+を理解・支援
半数以上がアライ*の考え方に共感も
知識不足で行動に至らない実態が明らかに

共感しても行動しない理由、4割強は「身近にいない」「自分に何ができるかわからない」から
※ 「アライ」とは仲間や同盟を意味する英単語「Ally」が語源で、一般的にLGBTQ+への理解者・支援者を指します。 P&Gでは、「アライ」の考え方は、LGBTQ+以外にも通ずるものであると考えており、障がいや人種など様々なマイノリティに対する理解者・支援者においても、 同様に「アライ」と定義していますが、本調査では、LGBTQ+に対する理解者・支援者の「アライ」に限定して実施しています。

「平等な機会とインクルーシブな世界の実現(Equality &Inclusion =E&I)」を経営戦略の一環として掲げるP&Gジャパン合同会社(本社:神戸市/以下P&G)は、LGBTQ+の「アライ(理解者・支援者)」の輪を広げる「アライ育成研修」を開発し、社外への無償提供を開始します。その開発に当たり、日本における「アライ」の実態を探るべく、15歳〜69歳の5,000人を対象に全国調査を行いました。調査設計に当たっては、多様なジェンダーやセクシュアリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんにご協力いただきました。主な調査結果は以下の通りです。

LGBTQ+を理解・支援する「アライ」 言葉の認知は低いが半数以上が共感
●LGBTQ+を理解・支援したいと思う「アライ」。
 言葉の認知率は7.7%と低いが、53.8%がアライの考えに共感。
●しかし、共感者の69.1%は「アライとして行動していない」のが実情。
●共感しても行動しない理由、1位「身近にLGBTQ+の人がいない」43.8%、
 2位「自分に何ができるかわからない」40.3%。
●アライに共感する人のうち半数近くがアライ研修に「参加したい」(42.4%)、
 7割以上が「他の社会課題に役立つ」(76.3%)と支持。

LGBTQ+に関する知識・理解不足が浮き彫り。知識不足がアライの行動へのブレーキに
●ストレート層の41.7%がLGBTQ+が「身近にいない」と回答。
 日本の人口の約1割がLGBTQ+の実態を78.3%が「知らない」。
●LGBTQ+について3人に1人が「話題にしにくい」(33.2%)、周囲の人と「話題にする」のは9.5%と
 まだまだ閉鎖的な日本。
●話題にしにくいと感じるのは、LGBTQ+について「知らない」「わからない」から来る不安感と
 知識不足が要因に。

LGBTQ+層の半数が今の社会に「生きづらさ」を感じている
●LGBTQ+層の約半数が「自分らしく生きられない」(44.9%)と生きづらさを感じている。
●LGBTQ+有職者が最も生きづらいコミュニティは「職場」。
 「アライがいる」職場が3.6%しかないのも影響しているのかも?

調査概要 
■実施時期:2021年4/21(水)~4/26(月)
■調査手法:インターネット調査 
■調査対象:15歳〜69歳、人口構成比に合わせて5,000人
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。

日本における「アライ」の実態
 「アライ」とは仲間や同盟を意味する英単語「Ally」が語源で、一般的にLGBTQ+への理解者・支援者を指します。P&Gの「アライ」の考え方は、障がいや人種など様々なマイノリティに対する理解者・支援者においても、同様に「アライ」と定義していますが、本調査では、LGBTQ+に対する「アライ」の現状について調べました。

■日本の人口構成比5,000人の性のあり方に関する認識 9.7%が「LGBTQ+」を自覚
 まず、15歳〜69歳の5,000人に、自身の性自認・性的指向を聞きました。すると、生まれた時の性別と現在の自分の認識している性別が同一で、恋愛や性的な関心の対象が異性のストレート層※が90.3%、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング、クィア、アロマンティック・アセクシュアルなどのLGBTQ+層が9.7%でした。今回の調査は人口構成比に合わせて5,000人を対象としていますが、年代別に見ると、LGBTQ+の割合は10代19.2%、20代14.6%と若い世代が多くなっています[図1]。
※本調査では回答者が答えやすいよう、LGBTQ+ではない「シスジェンダー・ヘテロセクシュアル」の人々を「ストレート層」として表記しています。


 
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■LGBTQ+を理解・支援する「アライ」言葉の認知率は7%と低いものの、半数以上が「考えに共感」、10代は8割が共感
 全員に「アライ」という言葉を知っているかと聞くと、「詳しく知っている」1.8%、「聞いたことがある程度」5.9%と、認知率はわずか7.7%でした[図2]。
まだまだ知られていないことから、アライがLGBTQ+を支援し差別や偏見をなくそうと働き掛ける人のことと説明し、その上でアライの考え方をどう思うか聞くと、半数が「共感する」(53.8%)と回答。10代79.9%、20代62.7%と若い世代の賛同率が高くなっています[図3]。アライという考えは社会から受け入れられそうです。

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■しかし、「アライ」として具体的に行動できているのは2割「アライ」の考えに共感する人でも3割にとどまる
アライとしての行動には、「性的指向や性自認に関する嫌がらせを止める」「周囲にLGBTQ+に関する理解を広める」「性の多様性に関する自身のLGBTQ+知識を深める」などの行動があります。
これらの行動がとれているか確認すると、約2割程度(20.7%)しか行動できていないことがわかりました。アライに共感すると答えた人でも、3割(30.9%)しか行動できていません[図4]。

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■アライとして行動しないのは、LGBTQ+やアライに関する知識不足が原因? アライに共感する人でも4割以上は「身近にLGBTQ+の人がいない」
 アライとしての行動をしないと答えた2,651人にその理由を聞くと、「身近にLGBTQ+の人がいない」(35.2%)、「自分に何ができるかわからない」(32.5%)が行動しない2大要因となっています。アライ共感層では「身近にLGBTQ+の人がいない」43.8%、「自分に何ができるかわからない」40.3%と、2大要因を理由に挙げる人がより多くなっています[図5]。
 本調査では、9.8%の方がLGBTQ+であると回答していますが、アライに共感する方でも4割以上は「身近にLGBTQ+の人がいない」と回答しています。LGBTQ+やアライに関する知識や情報の不足が、アライとしての行動を阻害しているのかもしれません。

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■アライ育成研修は、LGBTQ+支援だけでなく、「さまざまな社会課題にも役立つ」とアライ共感者の76%、10代の78%が賛同
 そこで、全員にアライのことを具体的に学べる場や研修プログラムがあったら参加したいかと聞くと、4人に1人が「参加してみたい」(25.3%)と関心を示しました。アライ共感層では42.4%と関心度がさらに高くなっています[図6]。

 さらに、アライについて学ぶことが、人種差別、子どもの貧困、障がい者差別などの社会課題にも役立つと思うかと聞くと、半数が「役立つと思う」(50.7%)と答え、アライ共感層では76.3%と約8割近くが賛同しています。年代別に見ると、将来を担う10代では78.2%と8割が賛同しています[図7]。
アライについて学ぶことは、LGBTQ+の支援はもとより、さまざまな社会課題の解決にも役立つ、意義あるプログラムと受け止められているようです。

 
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「LGBTQ+」に関する日本の実態
■回答者の4割強が、身近にLGBTQ+層が「いない」と回答
■日本の人口の1割程度がLGBTQ+という実態を約8割の人が「知らない」
 ストレート層4,514人に身近にLGBTQ+の人がいるかどうか聞くと、「いる」8.6%、「いない」 41.7%、「わからない」49.8%でした[図8]。今回の調査では9.7%がLGBTQ+でしたが(前述図1)、そのほかの調査でも、日本の人口の1割程度がLGBTQ+といわれています。このことを知っているかと聞くと、 「知っている(詳しく知っている+聞いたことがある計)」と答えたのは2割足らず(21.7%)で、全体の約8割(78.3%)は「知らなかった」と答えています[図9]。人口の1割、つまり10人に1人がLGBTQ+です。 「いない」のではなく「見えていない」ことによって、自身の言動が当事者を傷つけてしまうことにもつながる可能性があります 。

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「知っているつもり」は危険?LGBTQ+層の悩みを理解しているつもりでも、実はギャップが…
 ストレート層のうち、LGBTQ+層の悩みを知っていると答えた1,331人(29.5%)に悩みの内容を聞くと、「男女分けされている場所の使用」「結婚・パートナーシップ」「カミングアウト」が挙げられました。一方、LGBTQ+層本人が答えた自身の悩みは「差別や偏見」「LGBTQ+当事者は周りにいないと思われている」「結婚・パートナーシップ」の順となり、両者の意識にギャップが生じています[図11]。上記のようにLGBTQ+に関して存在も言葉もあまり知られていないことから、悩みについても想像でしかないことがうかがえます。

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■LGBTQ+について、まだまだ話題にしにくい風潮あり
 全員を対象に、LGBTQ+について話題にしにくい風潮があるかと聞きました。すると、3人に1人が「話題にしにくい風潮がある」(33.2%)と答え[図12]、17.7%がLGBTQ+に関して自らの考えを明らかにすることに「不安を感じる」と答えています[図13]。一方、LGBTQ+に関して周りの人と話すことがあるかと聞くと、「話すことがある」のは全体では9.5%しかいませんでした[図14]。これらの結果を当事者、非当事者層で分けて見てみると、話題にしにくい風潮についてはストレート層(32.9%)もLGBTQ+層(35.8%)もほぼ同じように感じていますが、自らの考えを明らかにすることについては、LGBTQ+層の約4人に1人の方が「不安」(24.9%)を感じています。一方、LGBTQ+について周りの人と話題にするのは、ストレート層では8.0%とLGBTQ+層(23.7%)の3分の1しかいませんでした。

 
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LGBTQ+層の意識
今回の調査ではLGBTQ+層は9.7% 486人でした。486人を対象に調査を行いました。

■LGBTQ+層の2人に1人は生きづらさを感じている 若年層ほど多い傾向に
 自分らしく生きられない、自分らしい生活ができないと感じた経験を聞くと、LGBTQ+層の約半数が「自分らしく生きられない」(44.9%)と答えました。年代別に見ると、10代では65.7%が生きづらさを感じていますが、おおよそ年代とともにその割合は少なくなっています[図16]。

 
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■カミングアウト率は2割 50代以降は9割以上がカミングアウト未経験
 自身がLGBTQ+であることを周囲に伝えるカミングアウトの経験について聞きました。すると、「複数人にしたことがある」16.9%、「一人だけにしたことがある」5.3%となり、2割(22.2%)がカミングアウトをしています。
 年代別に見ると、10代は43.3%と多く、また、20代から40代は一定数がカミングアウトしていますが、50代(7.1%)・60代(2.7%)では1割以下と少なくなっています[図17]。

 
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■LGBTQ+層が生きづらいと感じるのは、10代は「学校」、20代以降は「職場」がトップ
 LGBTQ+層に自分らしく生きるのに苦労を感じる人間関係やコミュニティはどこか、と聞いた結果が[図18]です。
10代は「学校」(61.2%)が最も多く、次いで「家族」(40.3%)、「ストレートの友人」(25.4%)の順となりました。 一方、20代〜60代になると「職場」で苦労を感じる割合がトップで、働き盛りの30代では実に6割(57.1%)が「職場」で苦労を感じています。
 LGBTQ+層の有職者294人で見ると、45.2%とほぼ半数が「職場」と答えました[図19-1]。また、自分らしく生きていくことに関して困っていることを聞くと、「職場の制度に関すること」(19.7%)がトップに挙げられ、「差別や偏見に関すること」(15.3%)以上に切実な問題となっています。また、「LGBTQ+は周りにはいないと思われていること」(11.2%)も、LGBTQ+層にとって働きづらい職場と感じる一つの要因となっています[図19-2]。

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■職場でのアライの存在はわずか3.6% 
 LGBTQ+層にとって最も生きづらいコミュニティである職場で、LGBTQ+層を支援するアライの存在はどうなっているのでしょうか。ストレート層も含む有職者3,223人に職場にアライがいるかと聞くと、「いる」と答えたのはわずか3.6%でした[図20]。
 もし職場にアライがいたら、職場での生きづらさが改善されるかもしれません。アライを育成することが、職場全体の環境改善につながり、ひいてはLGBTQ+に関する差別や偏見のない社会の実現につながると考えられそうです。
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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 LGBTQ+とアライ(理解者・支援者)に関する全国調査