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電子には電荷だけでなく、スピンという磁石の性質がある。これら2つの性質が同時に現れる現象を解明し、工学に応用する科学技術をスピントロニクスという。深見教授らは、スピントロニクスの原理を利用した素子、磁気トンネル接合に注目した。
磁気トンネル接合は、ごく薄い磁石の層で絶縁体の層をサンドイッチした構造をもつ。深見教授らは磁石の層の厚さと形状を精密に設計することで、微弱な電磁波からこれまでの素子を凌ぐ高い電力を得ることに成功した。
実験では、改良した磁気トンネル接合を8個直列に接続した。2.4GHzの電磁波で発電し、コンデンサーを5秒間充電すると、LEDを1分間光らせることができた。
身の回りにあるエネルギーを回収し、発電する技術は環境発電技術(エネルギーハーベスティング)と呼ばれ、持続可能なIoT社会の実現に向けて注目を集めている。
この研究成果は2021年5月18日に英国の科学誌「Nature Communications」に掲載された。
【論文情報】
Title: Electrically connected spin-torque oscillators for 2.4 GHz WiFi band transmission and energy harvesting
Authors: Raghav Sharma, Rahul Mishra, Tung Ngo, Yong-Xin Guo, Shunsuke Fukami, Hideo Sato, Hideo Ohno, and Hyunsoo Yang
Journal: Nature Communications
DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-021-23181-1