◆一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会のために 国連が世界各国・地域とともに進める「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」は、一人ひとりの多様な幸せ(well-being)の実現を目指す取組のひとつだ。岡山大学は歴史的な背景などもあり、このSDGsにいち早く賛同し、全学を挙げて「岡山から世界に、新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」を掲げ、SDGs大学経営を推進している。ゲノム医療はwell-beingを支える次世代の大きな医療のひとつだ。これまでに紹介したように官庁やファンディングエージェンシー(研究費配分機関)、企業などとの連携による研究解析の発展により、ゲノム医療は今後、3つの発展が見込まれている。第1に、がん遺伝子パネル検査の拡大により、より網羅的に遺伝子変異の検索が可能になると予想されている。第2に細胞などの検体ではなく、より簡単で負担の少ない患者の血液サンプルによる解析技術が進むことにより、変化する遺伝子変異の発見が期待される。さらに、現在はがん遺伝子のみの検査であるが、今後全遺伝子検査が可能となることで、全ての遺伝子を解析することが可能となる。これら一連の取組は、岡山大学と岡山大学病院だけのノウハウや人材、設備だけで担うものではなく、医療サービスを開発する企業などの知見も大きな役割を担っており、スタートアップ・ベンチャー企業を含めた共創活動の強化促進が強く求められている。