2020年10月20日

株式会社ヘリオス



  当社は、遺伝子編集技術を用いて、HLA型*1に関わりなく免疫拒絶*2のリスクを低減する次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell: 以下、UDCと言います。)の作製を進めてまいりました。このたび、臨床グレードのUDC株(臨床株)が完成しましたので、お知らせいたします。



 当社は、2020年6月3日にお知らせしました通り、ヘリオス独自のUDCの研究株を完成しています。このたび、日米欧を含む国内外でのヒトへの臨床応用も可能なレベル(臨床グレード)の細胞株作製にも成功致しました。今後は、臨床応用に向け準備を進めてまいります。



   UDCは、免疫拒絶反応を抑えた他家iPS細胞です。眼科領域、次世代がん免疫細胞、臓器原基等への活用を目指しています。

   通常、移植細胞は患者とのHLA型を一致させない場合には、免疫拒絶反応を起こします。そのため、移植時には免疫抑制剤の投与が必要となりますが、患者の負担も大きくなります。免疫抑制剤の投与を回避するためには、自らの細胞から作製する自家iPS細胞の使用が望ましいのですが、この作製には多くの時間と多額の費用が必要となります。

   UDCは、遺伝子編集技術を用い、免疫拒絶反応の抑制を可能にするiPS細胞です。当社のUDCは、他家iPS細胞から拒絶反応を引き起こすHLA遺伝子を除去し、その細胞に免疫抑制関連遺伝子、および安全装置としての自殺遺伝子を導入した、安全な細胞医薬品の原材料となる細胞です。iPS細胞本来の特長である無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安全性を高めた再生医薬製品創出のための次世代技術プラットフォームです。



 当社は、UDCを用いた再生医療等製品の自社開発の推進および研究機関等との連携を模索しながら、さらなるパイプラインの充実を図ります。

 本件に関して、業績への影響につき今後開示すべき事項が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。



以上



*1 HLA型

HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球型抗原)は、すべてのヒト細胞に発現しており、免疫にかかわる重要な分子です。体内では、自分のHLA型と異なるものはすべて異物と認識され、免疫反応により拒絶・攻撃されます。よって、臓器移植においてはHLA型の一致が非常に重要になります。



*2 免疫拒絶反応

他人の細胞や臓器を移植した場合、移植された細胞・臓器(移植片)が異物として認識され、免疫細胞に攻撃・排除される反応です。



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 ヘリオス独自のユニバーサルドナーセル臨床株完成のお知らせ