2019年7月31日



大日本住友製薬株式会社



統合失調症および双極性障害うつを対象としたルラシドンの国内における製造販売承認申請について



大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、7月31日付けで、「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を適応症として、ルラシドン塩酸塩(一般名、以下「ルラシドン」)の国内における製造販売承認申請を行いましたので、お知らせします。



ルラシドンは、当社が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、ドパミンD2、セロトニン5-HT2A、セロトニン5-HT7受容体に親和性を示してアンタゴニストとして作用し、セロトニン5-HT1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。ルラシドンは、当社グループの中核製品であり、米国などで「LATUDA®」の製品名で販売されており、北米における2018年度の売上収益は1,845億円でした。



このたびの国内での申請には、ルラシドンの統合失調症を対象としたフェーズ3試験(JEWEL試験)および双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験(ELEVATE試験)のデータが含まれています。JEWEL試験およびELEVATE試験の速報結果については、それぞれ2019年1月10日付けおよび2017 年6月9日付けのプレスリリースでお知らせしています。



当社は、ルラシドンが国内で承認されれば、統合失調症および双極性障害におけるうつ症状の新たな治療選択肢を提供することができ、国内における両疾患の治療に貢献できるものと期待しています。





(ご参考)

【ルラシドン塩酸塩について】

ルラシドン塩酸塩は、当社が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、ドパミンD2、セロトニン5-HT2A、セロトニン5-HT7受容体に親和性を示し、アンタゴニストとして作用します。セロトニン5-HT1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。また、ヒスタミンH1およびムスカリンM1受容体に対してはほとんど親和性を示しません。

ルラシドンは、統合失調症治療剤として、2010年に米国、2012年にカナダ、2013年にスイス、2014年に欧州およびオーストラリア、2016年に台湾、ロシア、シンガポール、タイおよび香港、2017年にブラジルおよびUAE、2018年にマカオおよびベネズエラ、2019年に中国で承認されています。また双極Ⅰ型障害うつに対する適応追加の承認を、2013年に米国、2014年にカナダ、2017年にロシア、ブラジルおよび台湾で取得しています。



【統合失調症について】

統合失調症は慢性的で深刻な疾患であり、しばしば脳に重篤な障害を引き起こします。日本では約80万人が罹患していると言われています。その症状には、幻覚・妄想、普通ではない考え方および興奮した体の動きならびに感情表現、注意力、記憶機能または実行機能の低下などがあります。



【双極性障害におけるうつ症状について】

双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す慢性的で深刻な疾患であり、日本では約22万人が罹患していると言われています。多くの患者さんは躁状態よりもうつ状態を呈する傾向があります。「双極性障害におけるうつ症状」の主な症状として、抑うつ、活動への関心および喜びの欠如、著しい体重減少、不眠、倦怠感、無価値観、集中力の低下、繰り返す自殺企図が報告されています。



【JEWEL(Japan and Europe Working to Evaluate Lurasidone)試験について】

本試験は、統合失調症患者を対象とした、日本を含む数か国で実施された多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較フェーズ3試験です。

本試験の結果、主要評価項目である投与6週間後の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS:Positive and Negative Syndrome Scale)※1合計スコアのベースラインからの変化量において、主要な解析対象集団(ITT: Intent to Treat、478名)では、ルラシドン40㎎/日投与群(245名)はプラセボ投与群(233名)に対し、統計学的に有意な改善(ルラシドン40㎎/日投与群:-19.3、プラセボ投与群:-12.7、p値<0.001)を示しました。また、副次評価項目である投与6週間後のCGI-S※2のベースラインからの変化量においても、ルラシドン40㎎/日投与群はプラセボ投与群に対し、統計学的に有意な改善を示しました。



※1陽性・陰性症状評価尺度(PANSS):主として統合失調症の精神状態を全般的に把握することを目的とした評価尺度です。陽性尺度7項目、陰性尺度7項目、総合精神病理尺度16項目の合計30項目で構成され、各項目は1(症状なし)から7(最重度)までの7段階で評価されます。

※2 臨床全般印象評価尺度-重症度(CGI-S):疾患の重症度を1(正常)から7(非常に重度の精神疾患)の7段階で評価する尺度です。



【ELEVATE(Establishing Lurasidone: EValuation of its Antidepressant Treatment Effect)試験について】

本試験は、双極I型障害うつ患者を対象とした、日本、アジアおよび欧州の一部で実施された多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較フェーズ3試験です。

本試験の結果、主要評価項目である投与6週間後のMADRS(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale)※3合計スコアのベースラインからの変化量において、主要な解析対象集団(ITT、522名)では、ルラシドン 20~60 mg/日投与群(182名)はプラセボ投与群(171名)に対し、統計学的に有意な改善【ルラシドン 20~60 mg/日投与群:-13.6、プラセボ投与群:-10.6(調整済みp値:0.007)】を示しました。ルラシドン 80~120 mg/日投与群(169名、-12.6)は、プラセボ投与群(171名)に対し改善を示しましたが、統計学的に有意ではありませんでした(調整済みp値:0.057)。



※3 MADRS:患者のうつ症状の重症度を評価する尺度です。外見に表出される悲しみ、言葉で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、制止、感情を持てないこと、悲観的思考、自殺思考の10 項目から成り、項目ごとに0~6(高いほど重症)の範囲で評価されます。



                                                      以 上



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 統合失調症および双極性障害うつを対象としたルラシドンの国内における製造販売承認申請について