2019年3月4日



金沢工業大学



再生可能エネルギーによる地産地消を目指す

白山麓キャンパス小エリア直流電力網実証実験が第2段階へ。

地元産木材チップを使ったバイオマスボイラによる電熱連携を実現。

双方向高速充電器も国内の大学ではじめて導入し*1、

EVを使ったエリア間の仮想配電線実証実験を加速。



【報道機関向け説明会】

平成31年3月12日13時から14時30分まで

金沢工業大学白山麓キャンパス KIT Innovation Hubで開催



金沢工業大学 地方創生研究所では白山麓キャンパス内に、IT技術を用いて電力を制御する小エリア直流電力網(DCマイクログリッド系)を構築しています。ここではコテージ間をDC(直流)母線で接続し、再生可能エネルギーによる地産地消を目指した社会実装実証実験を進めています。



このたび新たにバイオマスボイラを導入し、地元産の木材チップを使った熱と電気利用の実証実験が可能となりました。さらに国内の大学ではじめて双方向高速充電器も設置し*1、EV(電気自動車)を使ったエリア間の仮想配電線実証実験も加速させます。

国連全加盟国が達成を目指す、世界を変えるための17の目標「SDGs」(Sustainable Development  Goals)は、再生可能エネルギーの比率拡大と自然災害に強靭な社会の実現も主要な目標として掲げています。現代社会では大規模な発電所が広域の電力を集中的にまかなっていますが、世界有数の災害大国である我が国では、一箇所の発電所の停止によりエリア全体が停電してしまう脆弱さも露呈しています。

小エリアでの直流電力網は、再生可能エネルギーの導入拡大が比較的容易で、自然災害時にも自立運転可能、EVを仮想配電網として活用しエリア間で電気を融通しあうことにより停電に強い、という特徴があります。太陽光発電や風力発電は発電出力が変動しますが、バイオマスや地熱、小水力発電などの出力安定型再生可能エネルギーとベストミックスし、蓄電池等を導入して変動を吸収するとともに、自立運転時にも蓄エネ装置として活用します。



白山麓キャンパスにおける太陽光や地元森林資源を活用した再生可能エネルギーによる実証実験は、地域特性を活かした再生可能エネルギーの利用促進モデルとなるとともに、SDGsに貢献する取り組みとして大きな期待が寄せられています。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201903033813-O4-PI8t0znj

熱と電気のエネルギー地産地消シェアモデル



【本研究の社会的意義】

(1)直流システムにバイオマス発電を連系

交流システムは我が国の電力基盤として幅広く普及していますが、1箇所の事故が直ちに全エリアに波及するという脆弱性を内在しています。このため電力系統への波及事故防止のための法的規制があり、分散型エネルギーシステムの導入における課題の一つといわれています。一方、直流システムは多種多様な発電電力を統合し蓄電システムと組み合わせることで電力系統への事故波及を極小化することが出来るため、小型分散型再生可能エネルギーの活用に向いています。さらに、交流と異なり、電力を安定供給する制御も比較的容易です。

すでに白山麓キャンパスに設置済みの太陽光発電や蓄電池等に追加して、今回、バイオマス発電(北菱電興株式会社、株式会社イクロス、株式会社成宏電機、みなみ設備工業株式会社)を追加しました。バイオマスボイラの熱を、騒音や振動が少なく理論熱効率が高いと言われているスターリングエンジンで電気に変換します。この電気は、直流システムに接続し、地産地消に適した需要家本位の自律分散型制御を実証実験します。バイオマス由来の発電システムを直流システムに直接接続するケースは世界的にも例がほとんどありません。バイオマスボイラの出力は燃料の投入量で調整が出来るため、エネルギーのベースロードとして運用が可能であり、積雪が多い里山コミュニティーでの主役となります。





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2019年2月に設置されたバイオマス発電装置

【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201903033813-O2-EiMdDTqL

2019年2月に設置されたバイオマス発電装置。地元産の木材チップを使用





(2)熱と電気を相互連携しエネルギーシェア

電力事業者の大規模発電は、エネルギーの大半が熱として失われています。一方、バイオマス発電は需要家近傍に設置することから、熱は熱として利用でき、熱と電気の両方で地元産木材チップの保有エネルギーを最小限のロスで活用することが可能となります。すなわち、熱は熱のままベースロードとなる熱空調(熱暖房等)として利用し、不足する部分や変動する部分を電気空調で補い、さらにその電気もバイオマス発電で供給します。

また、熱と電気エネルギーの両方ともコミュニティー間で共有し無駄なくシェアします。従来、熱、または、電気だけの単独のエネルギー融通は多数の事例がありました。今回の実証実験では、熱と電気の両方を相互に連携、すなわち、各需要家での熱と電気の消費状態を見て相互融通し無駄をミニマム化します。これにより、地域におけるエネルギーの最大限活用が可能な、熱と電気のエネルギー地産地消シェアモデルの実現を目指します。



(3)双方向高速充電器を導入しEVを仮想配電線として活用

太陽光発電は設置箇所で日照が違うため発電量が異なります。このため、地方全体でみれば、太陽光発電の電力が過剰で捨てざるを得ないところと、クリーンでない電力で不足分を補う必要のあるところが出てきます。そこで、平野部の扇が丘キャンパスでEVを充電し、山間部の白山麓キャンパスで利用するなどして、EVを動く蓄電池として活用。あたかも、仮想の配電線として、電気を輸送する実証実験を行います。電気の輸送だけのためにEVを移動させるのは現実的ではありません。両方のキャンパスで教職員が常時移動しているため、その移動に合わせて電力を輸送する、ワークプレースチャージングとして実証実験を行います。

 また、電力系統停電時にEVを避難所等に移動させて非常用電源として活用することが想定されています。ただし、EV自身の移動にも電力を消費します。このため、実質的にどの程度EV電力が使えるのか、などを事前に推定しておく必要があり、このための基礎データ収集にも活用します。EVの仮想配電線機能により、地域でのエネルギーレジリエンスにも貢献します。





【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201903033813-O3-kF65xPVJ

国内の大学ではじめて設置*1された双方向高速充電器。EVを仮想配電線として活用



(4)バイオマス発電は地域の林業活性化にもつながる

森林資源は光合成により、もともと空気中にあった二酸化炭素を取り込んでいます。このため、燃焼させて空気中に二酸化炭素を排出しても炭素の総量が増えない「カーボンニュートラル」の優等生です。さらに、植林することで地域の林業産業活性化にも繋がります。白山麓キャンパスではバイオマスボイラに地元産の木材チップを使用し、地方創生に貢献します。



*1:電力系統、需要家、太陽光発電、定置型蓄電池、EV(電気自動車)の5個の設備を同時接続し、電力系統、定置型蓄電池、EVの3個の設備に対し双方向に充放電が可能な装置として国内の大学ではじめて設置。2019年2月28日時点。金沢工業大学調査。





【報道機関向け説明会】

[日時]平成31年3月12日13時から14時30分まで

[会場]金沢工業大学白山麓キャンパス KIT Innovation Hub(石川県白山市瀬戸辰3-1)

[スケジュール]

13:00~13:05 ご挨拶 金沢工業大学産学連携局長 河合儀昌

13:05~13:20 プレゼン 金沢工業大学電気電子工学科教授 泉井良夫

13:20~13:25 プレゼン 北菱電興株式会社、株式会社イクロス

13:25~13:30 プレゼン 株式会社成宏電機

13:30~13:35 プレゼン 株式会社アイケイエス

13:35~13:45 質疑応答

13:45~14:00 バイオマス設備見学

14:00~14:15 コテージ見学

14:15~14:30 双方向高速充電器 見学

14:30 終了



当日、取材をご希望される方は、恐れ入りますが学校法人金沢工業大学広報課まで

3月11日(月)17時までにメールにてご連絡をお願い申し上げます。

電話番号076-246-4784  FAX番号 076-248-7318

E-mail :koho@kanazawa-it.ac.jp







情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 直流電力網実証実験が第2段階。バイオマスボイラによる電熱連携実現。双方向高速充電器も国内の大学初導入