SABCSで発表されたデータには、画期的なTAILORx(テイラーエックス)試験(Trial Assigning IndividuaLized Options for Treatment [Rx];個別化した治療選択肢を割り当てる試験)に関与した治験責任医師からの2つの発表が含まれており、オンコタイプDX検査を用いた場合の複数の民族群における化学療法ベネフィットおよび生活の質に対する化学療法の影響について、更なる情報を提供する独立解析が示されました。その他の発表には、化学療法不使用のリンパ節転移陽性早期乳がん患者に関する国立癌研究所(NCI)のSEER(シアー)(Surveillance, Epidemiology, and End Results[調査・疫学・最終結果])レジストリの長期アウトカムに関する初めての報告、およびオンコタイプDX検査について40歳未満の女性に特化した初めての試験が含まれていました。
ECOG-ACRIN癌研究グループが2018年6月にNew England Journal of Medicine誌に発表したTAILORx試験の結果の追跡調査として、ロヨラ大学シカゴ校ストリッチ医科大学院医学部教授のKathy S. Albain医師は、人種および/または民族的背景が異なる患者のアウトカムを評価しました。SABCSで報告されたその所見は、黒人、ヒスパニック系およびアジア人を含むあらゆる人種/民族の女性を通じて、再発スコア結果が26未満であれば、早期乳がんにおける化学療法を安全に回避できることを示していて、元のTAILORx試験の結果を裏付けるものとなっています。
ウェイクフォレスト大学医科大学院、社会科学・保健政策学科教授のLynne I. Wagner博士がSABCSで発表した別のTAILORxサブスタディの結果は、患者の生活の質に対する化学療法の悪影響について、追加的なエビデンスを示しています。これらの結果は、リンパ節転移陰性の乳がん患者の大多数で不必要な化学療法の回避を可能にするオンコタイプDX乳がん再発スコア検査の価値を強調しています。
「SEERの9年の実臨床エビデンスは、26をカットオフとした再発スコアによって化学療法の適用を決めるというTAILORx試験が確立した新たなパラダイムを裏付けています。」と、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター、Susan G. Komen集学的乳がん研究奨励プログラム課、乳腺腫瘍内科、FACPプログラム責任者のGabriel N. Hortobagyi医師は述べています。「重要なこととして、SEERのこれらの長期的結果は、リンパ節転移が1から3個であり、かつオンコタイプDX再発スコアが18未満の患者に対してホルモン療法のみで治療するという選択肢も裏付けています。」