2018年6月19日



窪田製薬ホールディングス株式会社

(コード番号 4596 東証マザーズ)



「エミクススタト塩酸塩」の増殖糖尿病網膜症を対象とした臨床第2相試験の 解析結果において黄斑浮腫を改善する可能性を示唆



 窪田製薬ホールディングス株式会社(以下「当社」)は、当社100%子会社のアキュセラ・インク (米国)が実施した、「エミクススタト塩酸塩」(以下、「エミクススタト」)の効果を探索的に評価するための増殖糖尿病網膜症を対象とした臨床第2相試験(以下、「本臨床試験」)のデータを解析した結果、エミクススタト投与群はプラセボ群と比較して網膜黄斑部の浮腫を改善する可能性が示唆され、統計学的有意差が認められたことをお知らせいたします。



 本臨床試験の結果におきましては、網膜症の発症や悪化に関連するバイオマーカーである VEGF(血管内皮増殖因子)濃度の軽度改善が示唆されたことを2018年1月15日付の「増殖糖尿病網膜症に対する「エミクススタト塩酸塩」の臨床第2相試験においてバイオマーカーの改善を示唆」にて公表しておりますが、この度、副次評価項目を含めた全データに対する詳細な解析により糖尿病網膜症および糖尿病黄斑浮腫の進行に関連のある網膜の厚みや網膜全体の容積において改善が認められました。

 

 本臨床試験は、多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で、増殖糖尿病網膜症の重症度に関連して設定した様々な評価項目に対し、経口投与によるエミクススタトの効果を調べることを目的に実施いたしました。重要な副次評価項目は、中心窩領域網膜厚におけるベースラインから85日目の変化であり、SD-OCT(スペクトラルドメイン光干渉断層計)を用いてエミクススタトの効果を評価しました。被験者登録した患者24名のうちエミクススタト投与群へは、5mgから40mgの最大耐量(許容できない副作用を引き起こすことなく投与できる薬物または治療の最大の用量)の薬剤を投与いたしました。



 本臨床試験の結果から、エミクススタト投与群はプラセボ群に比べ中心窩領域網膜厚の減少において、統計学的有意差が認められました(事前に設定した有意水準であるp<0.1に対し、p=0.0764で48.1μmの平均差がありました)。黄斑部容積においてもエミクススタト投与群はプラセボ群に比較して減少しており、統計学的有意差が示されました(p=0.0263で、0.361 mm3 の平均差がありました)。



 網膜の中心部である中心窩領域の網膜厚の増加は、糖尿病網膜症患者の視力低下の主要原因と言われています。今回の臨床試験結果から、エミクススタトを投与することで網膜黄斑部の浮腫の進行を抑制する可能性があることが示唆されました。当社は、この度の解析により得られた新しいエビデンスにより、エミクススタトの糖尿病黄斑浮腫等への開発の可能性が広がったと考えており、今後大手製薬企業との提携も含め、開発方針を検討してまいります。



 当社の代表執行役会長、社長兼最高経営責任者である窪田良博士は次のように述べています。

「本臨床試験の完了後、全被験者のデータを解析したところ、中心窩網膜厚の減少において統計学的有意差を示していることが明らかになりました。これは極めて意義深い臨床エビデンスと捉えております。このデータ解析結果を今後の開発に活かしてまいります。」





                               以上





◆糖尿病網膜症および糖尿病黄斑浮腫について

 糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌やその働きが慢性的に低下することにより発症し、世界で約4億1,500万人が患っていると推定され(*1)、その3割が合併症として糖尿病網膜症を引き起こすことが報告されています(*2)。日本における糖尿病患者数は約1000万人(*3)、糖尿病網膜症患者数は約300万人(*4)、増殖糖尿病網膜症患者数は約40万人(*5)、糖尿病黄斑浮腫患者数は60万人(*6)と推定されています。



 糖尿病網膜症は成人が失明する主な原因のひとつであり、視野の中心部が黒ずんだり、ぼやけたりする視野障害や視力低下が特徴です。進行性疾患であり、比較的軽症の段階である非増殖糖尿病網膜症と、より重度な増殖糖尿病網膜症があり、このどちらの段階でも糖尿病黄斑浮腫を発症する恐れがあります。



 高血糖が慢性化すると血流が滞り、網膜が低酸素状態になります。すると網膜には酸素不足を補うための新生血管が生じますが、新たに生じた血管は脆くて病的な血管であるため血液成分が漏れ出し、硝子体(水晶体の後ろにある透明なゼリー状の組織)に出血が広がる、もしくは、網膜剥離を引き起こす恐れがあります。糖尿病網膜症は、このような網膜内で発生する血管障害に起因する進行性の疾患で、糖尿病の合併症として発症します。糖尿病黄斑浮腫を発症すると、網膜の中心部にある黄斑が腫れ、視力障害を惹き起こします。



 糖尿病では1型、2型のどちらであっても、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫を発症するリスクがあり、糖尿病歴が長いほどその確率は高くなります。米国眼科学会では、1型糖尿病を15年程患っている約80%の患者が糖尿病網膜症を発症していると推定しています。病気の進行を抑制する治療法はありますが、手術や眼球への注射が必要であり、身体的負担のかからない治療法の確立が求められています。



*1 国際糖尿病連合(IDF) 「糖尿病アトラス 第 7 版 2015」

*2 Market Scope, The Global Retinal Pharmaceuticals &Biologic Market, 2015.

*3 厚生労働省「平成 28 年 国民健康・栄養調査」 

*4 糖尿病リソースガイド, 糖尿病合併症最前線

     http://dm-rg.net/contents/complication/020.html?pr=dmrg001

*5 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013,南江堂,2013(2型糖尿病による糖尿病網 膜症の15%が増殖糖尿病網膜症であるという報告を元に算出。*2も参照)

*6 中野 早紀子,第114回日本眼科学会総会 2010:135(糖尿病黄斑浮腫は糖尿病網膜症の20%に合併するという報告に基づき患者数を算出)





◆窪田製薬ホールディングス株式会社について

 当社は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発および実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。当社100%子会社のアキュセラ・インク(米国)が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組んでいます。当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」において糖尿病網膜症、スターガルト病、加齢黄斑変性への適応を目指し研究を進めております。また、白内障や老視(老眼)の薬物治療を目的とした「ラノステロール」の研究開発および網膜色素変性における視機能再生を目指す「オプトジェネティクス」に基づく遺伝子療法の開発を実施しております。同時に、加齢黄斑変性、増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫の治療を目指し、「バイオミメティックス(生物模倣技術)」の研究開発も進めております。また、PBOSなどのモバイルヘルスを含む医療デバイスの研究開発も手掛けております。

(ホームページアドレス:http://www.kubotaholdings.co.jp





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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 エミクススタトの増殖糖尿病網膜症に対する臨床第2相試験の解析結果で黄斑浮腫改善の可能性を示唆